うまさいと

お馬さんは好きですか?

05年「英・愛・仏」の3歳路線を広く浅く振り返る(前半)。

2005-07-05 03:10:51 | 競馬
文章力の無い私がまとめるというのもアレなのですが、ここらで一つ自分の中で整理する、ということで考えてみる企画です。勿論、全てを網羅的に取り上げるのではなくて、印象に残ったことを幾つかという形にはならなかったか今回は。ということで、トラセン用に書いてみたのですが、何だかうまくいかないなぁ。とりあえず、トラバはまだ待っておいて、誰かが間違いを指摘してくれるのを待って、その上で余分なところを省き、トラセンにトラバを発射しようかと考えてます(魂胆みえみえ)。ちなみに、いつも長いと言われる私でさえ「今回は長いな」と思った程のエントリなので、途中でやめるのもありかと・・・。うわ「本文は10,000文字以内です」って怒られた。なので、半分に分けますか。

ちなみに、昨年のまとめはこんな感じでした。

04/12/16 04年欧州主要路線を振り返る(前半)。
04/12/20 04年欧州主要路線を振り返る(後半)。


今年の上半期の欧州は、古馬中距離路線がBagoのちょい負け続き、いつも不安定なRaktiの浮き沈み、そしてOuija Board, North Lightの戦線離脱などもあり、やや低空飛行だったこともあり、毎年以上に3歳戦に注目が集まりました。ということで、今回は主に英・愛・仏の3歳路線にスポットを当ててみたいと思います(独・伊については勘弁して下さい)。

欧州平地開幕前に注目されていたのは、牡馬ではDewhurst S.(GB G1 T7f)を勝ったShamardal(シャマーダル)1*, Middle Park S.(GB G1 T6f)制覇のAd Valorem(アドヴァロレム)2*, National S.(IRE G1 T7f)は快勝のDubai Millenniumの忘れ形見Dubawi(ドバウィ)3*, Racing Post Trophy(GB G1 T8f)制覇のMotivator(モティヴェイター)4*, Prix Jean Luc Lagardere(FR G1 T1400m)を勝ち、G1での2着が2度あるOratorio(オラトリオ)5*という5頭辺り。牝馬ではPrix Morny(FR G1 T1200m), Prix Marcel Boussac(FR G1 T1600m)とG1連勝を飾ったDivine Proportions(ディヴァインプロポーションズ)6*が飛び抜けた評価を得ていた、というところでしょうか。また、Montjeu産駒のMotivator、Giant's Causeway産駒のShamardal、Dubai Millennium産駒のDubawiと、新種牡馬の仔が当初から注目を集めていたということも特筆すべきことでしょう。

さて、クラシックの時期になると途端に騒がしくなるのがA O'Brien厩舎所属のお馬さん。昨年は「ツクバシンフォニーの半弟」ということである意味注目だったYeats(イェーツ)が体調不良で、Antonius Pius(アントニウスピウス)は斜行という悪癖により、実に消化不良なクラシックシーズンを送ってしまっただけに今年は巻き返しを期待したいところ。12f路線ではRob Roy(ロブロイ), Grand Central(グランドセントラル)などの1勝馬が人気を集めていましたか。最終的にはこの二頭は圏外だったわけで、やはり競馬は難しいなぁと思うわけです。

例年通り8f(いわゆるギニー路線)と12f(こちらはダービー路線)を跨いで走るお馬さんが有力馬の中にも(牡馬ならOratorio、牝馬ならVirginia Waters)おり、なおかつ今年はPrix du Jockey Club(FR G1 T2100m)が今年から300m短縮されたことにより、Poule d'Essai des Poulains(FR G1 T1600m)に向かわないお馬さんの前哨戦的な役割を果たしていたPrix Lupin(FR G1 T2100m)が廃止されました。しかし、一線級のお馬さんの距離選択の幅が広がったともとれるわけでして、今年の場合はShamardalというお馬さんが出現したために、この距離短縮は一応の成功を見たと評価していいのではないかと思います。ということで、だらだら続いた前置きはここまでにしましょうか。



まず欧州3歳G1戦線の開幕を告げる2000 Guineas S.(4/30 GB G1 T8f: 英2000ギニー)で狼煙をあげたのはA O'Brien師の隠し玉Footstepsinthesand(フットステップスインザサンド)7*でした。こちらはGiant's Causeway産駒で、2歳時にKilavullan S.(IRE G3 T7f)も勝っていました。そして同時にこれが最後の出走にもなってしまいました。Oratorioは4着、期待された1番人気のDubawiは大きくヨレて5着に敗れました。

続いて行われた1000 Guineas S.(5/1 GB G1 T8f: 英1000ギニー)では最後方から突っ込んできたVirginia Waters(ヴァージニアウォーターズ)8*が勝ち、Giant’s Causeway産駒の1番人気Maids Causeway(メイズコーズウェイ)*9が2着に入りました。この勝利で、Ballydoyle陣営は前日の2000 Guineas S.と合わせて、両ギニー制覇という快挙を成し遂げました。そしてFootstepsinthesandは戦線離脱するものの、Virginia WatersはIrish 1000 Guineas S.からOaks S.へという進路を取ることが発表されます。

二週後のフランスでは、Prix de la Grotte(FR G3 T1600m)からPoule d'Essai des Pouliches(5/15 FR G1 T1600m)に向かった女王Divine Proportionsは貫禄を見せました。ペースメーカーが出遅れたものの、2番手追走から後続を引き離し、結局5馬身差の圧勝。タイムもPoule d'Essai des Poulainsよりも0.7秒速いものでした。

一方、その直後に行われたPoule d'Essai des Poulains(5/15 FR G1 T1600m)では、ドバイの地で大敗を喫していたShamardalが逃げ切って復活の勝利を飾りました。そしてPrix du Jockey Clubに向かうことが決定し、初年度から仏競馬界の思惑通りにことが運ぶこととなりました。そしてフランスのクラシックを制したDivine Proportions, Shamardalの両頭はフランスに留まり、Prix Diane, Prix du Jockey Clubへと向かうことが決定します。

この英仏のマイル戦が終わった時点で、牡馬はGiant's Causeway、牝馬はKingmamboが春シーズンの中心になるであろうことが如実に浮かび上がってきました。Virginia WatersとDivine Proportionsは非常に似た血統構成であることもまた興味深く、この二頭の対決が待ち望まれていました。


5月も半ばを過ぎ、いよいよクラシック戦線も熱を帯びてきます。英仏のギニー路線の有力馬が集結するIrish 2000 Guineas(5/21 IRE G1 T8f)では、2000 Guineas S.では断然の人気だったDubawiにとっては仕切り直しの一戦。道中では前の方につけ、やはりヨレはしましたが今回は完勝。2着はOratorioでした。また、2000 Guineas S.を制したFootstepsinthesandは坐石のためにここを回避しました。

その一週間後のPrix Saint-Alary(5/22 FR G1 T2000m)ではVadawina(ヴァダウィナ)*10が最後方追走から直線だけで差し切って4馬身差で勝利。2着のArgentina*11(アルジェンティーナ)もAllez Franceを曾祖母に持ち、早くから将来を嘱望されたお馬さんでした。直後に行われた古馬戦Prix d’Ispahan(FR G1 T1850m)ではVadawinaの叔父にあたるValixirが勝利するという小規模な牝系爆発が起こったこともまた付け加えておきたいと思います。

また、同日のIrish 1000 Guieas(5/22 IRE G1 T8f)においては、1000 Guineas S.で6着に敗れていたSaoire(シーラァ:otowayaさん、ありがとうございます)*12が快勝。2着のPenkenna Priness(ペンカンナプリンセス)と合わせてPivotal産駒のワンツーとなりました。Maids Causewayは5着、1番人気のVirginia Watersは8着に、2歳時に牡馬相手にPhoenix S.(IRE G1 T6f)を制していたDamson(ダムソン)*13も9着に敗れました。とはいうものの映像を見ると、明らかに内側を走ったお馬さんが有利っぽい感じではありましたが・・・。


ということで、後半に続きます。


文中に数字をうったお馬さんの戦績を何となく載せてみました。
今後の参考に上と見返してみるのもいいかもしれません。

1* Shamardal: Giant's Causeway×Helsinki(Machiavellian), F1-l
05 St. James's Palace S.(GB G1 T8f)
05 Prix du Jockey Club(FR G1 T2100m)
05 Poule d'Essai des Poulains(FR G1 T1600m)
04 Dewhurst S.(GB G1 T7f)
04 Vintage S.(GB G2 T7f)

2* Ad Valorem: Danzig×Classy Women(Relaunch), F5-f
2nd 05 St. James's Palace S.(GB G1 T8f)
04 Middle Park S.(GB G1 T6f)

3* Dubawi: Dubai Millennium×Zomaradah(Deploy), F9-e
05 Irish 2000 Guineas(IRE G1 T8f)
3rd 05 Derby S.(GB G1 T12f10y)

4* Motivator: Montjeu×Out West(Gone West), F8-h
05 Derby S.(GB G1 T12f10y)
05 Dante S.(GB G2 T10f88y)
2nd 05 Eclipse S.(GB G1 T10f7y)

5* Oratorio: Danehill×Mahrah(Vaguely Noble), F9-c
05 Eclipse S.(GB G1 T10f7y)
2nd 05 Irish 2000 Guineas(IRE G1 T8f)
3rd 05 St. James’s Palace S.(GB G1 T8f)
4th 05 2000 Guineas S.(GB G1 T8f)
04 Prix Jean Luc Lagardere(FR G1 T1400m)
04 Futurity S.(IRE G2 T7f)
04 Anglesey S.(IRE G3 T6f63y)
2nd 04 Dewhurst S.(GB G1 T7f)

6* Divine Proportions: Kingmambo×Myth to Reality(Sadler’s Wells), F1-l
05 Prix Diane(FR G1 T2100m)
05 Poule d'Essai des Pouliches(FR G1 T1600m)
05 Prix de la Grotte(FR G3 T1600m)
04 Prix Marcel Boussac(FR G1 T1600m)
04 Prix Morny(FR G1 T1200m)
04 Prix Robert Papin(FR G2 T1100m)
04 Prix du Bois(FR G3 T1000m)

7* Footstepsinthesand: Giant's Causeway×Glatisant(Rainbow Quest), F1-e
05 2000 Guineas S.(GB G1 T8f)
04 Killavullen S.(IRE G3 T7f)

8* Virginia Waters: Kingmambo×Legend Maker(Sadler's Wells), F9-e
05 1000 Guineas S.(GB G1 T8f)
05 1000 Guineas Trial S.(IRE G3 T7f)
4th Oaks S.(GB G1 T12f10y)

9* Maids Causeway: Giant’s Causeway×Vallee Des Reves(Kingmambo), F19-b
05 Coronation S.(GB G1 T8f)
2nd 1000 Guineas S.(GB G1 T8f)
5th Irish 1000 Guineas(IRE G1 T8f)

10* Vadawina: Unfuwain×Vadaza(Zafonic), F20-d
05 Prix Saint-Alary(FR G1 T2000m)
05 Prix Cleopatre(FR G3 T2100m)
4th Prix Diane(FR G1 T2100m)

11* Argentina: Sadler's Wells×Airline(Woodman), F1-x
05 Prix Penelpe(FR G3 T2100m)
2nd Prix Diane(FR G1 T2100m)
2nd Prix Saint-Alary(FR G1 T2000m)

12* Saoire: Pivotal×Polish Descent(Danehill), F1-g
05 Irish 1000 Guineas(IRE G1 T8f)

13* Damson: Entrepreneur×Tadkiyra(Darshaan), F5-b
04 Phoenix S.(IRE G1 T6f)
04 Queen Mary S.(GB G2 T5f)

南アも観てみようよ。

2005-07-05 00:57:31 | 競馬
シーザリオ関連でSA Horseracingを観たので、完全に忘れていたDurban July(SAF G1 T2200m)についてちょこっとだけ触れてみる。
この前くろうまさんに「南アで記事書いて喜んでるのは私達くらいですかね」とか言ってたくせにねぇ。だめじゃんorz
みんなシーザリオなので、ひねくれてみたとも言うのかもしれないなとか思いつつ。ということで

DUNFORD MARCHES TO JULY GLORY(SA Horseracing)

VODACOM DURBAN JULY (Grade 1)
Open to all horses - 2200m
No Horse Jockey Al/Bl Kg Dr Fin Dist Time OP SP
馬番、馬名、騎手、Al/Bl(わからん)、斤量、・・・
12 DUNFORD Anton Marcus A - 52.0 4 1 0.00 135.28 20/1 20/1
14 SILVERPOINT (AUS) Anthony Delpech A - 51.0 10 2 0.50 135.37 20/1 14/1
1 EVENTUAIL (ARG) Bernard Fayd'Herbe A - 58.0 15 3 1.00 135.47 20/1 20/1
19 REVEILLE BOY Piere Strydom A - 51.0 9 4 1.15 135.50 12/1 12/1
11 IRRIDESCENCE Weichong Marwing A - 52.0 11 5 1.30 135.52 7/1 6/1
18 ZEBRA CROSSING Jeff Lloyd A - 51.0 2 6 1.55 135.57 16/1 16/1
2 ALASTOR Garth Puller A B 56.0 14 7 1.80 135.62 40/1 40/1
15 NIGHT WATCH Gavin Van Zyl A - 51.0 7 8 1.90 135.64 10/1 10/1
3 WINTER SOLSTICE Glen Hatt A - 56.0 1 8 1.90 135.64 8/1 8/1
6 ILHA DA VITORIA (BRZ) Brett Smith A - 53.5 17 10 2.00 135.66 16/1 16/1
4 TYSON Chad Little A - 54.5 8 11 2.50 135.75 12/1 10/1
13 THE DECAGON Randall Simons *0.0 A - 52.0 5 12 4.00 136.03 40/1 40/1
5 GREY ARROW Robbie Hill A - 54.0 16 13 5.00 136.22 40/1 40/1
7 WESTERN PROSPECT Kevin Shea A - 53.5 6 14 6.25 136.46 14/1 12/1
10 GANG RELATED M J Odendaal A - 52.5 13 15 6.75 136.56 14/1 16/1
8 DUNSINANE Mark Khan A - 53.0 12 16 8.00 136.80 9/2 4/1
20 JOSHUA'S PRINCESS Gerrit Schlechter A - 50.0 18 17 8.75 136.94 50/1 50/1
9 RABIYA Robbie Fradd A - 53.0 3 18 99.99 136.94 5/2 28/10F
16 ARABIAN GLOW Scratched
17 PAVLOVICH (SNL) Scratched

ということで気の抜けた感じで観て下されば。南ア最大級のレース(この辺りのことに関しては、以前にLucky Boyさんにご教授いただきましたね)であるにも関わらず、ハンデ戦なのですよ。これは勿論私が日本で暮らしているから違和感を覚えるものなのかもしれないのですが。豪州最大のレースであるMelbourne C.(AUS G1 T3200m)がやはりハンデ戦であるのと同じようなものか。

きっちりした戦績、人気馬の解説など、詳しくはくろうまさん@Darkhorse Runsでどうぞ。ということで、こちらではもう少し違った方向に突っ込んだことを調べてみましょうか。くろうまさんのニュースの補足になればいいかなと。

勝ち馬であるDunford(F4-r)は父がShalfordで母がPelican Brief(父Piaffer)という血統。Shalfordは昨年亡くなっていますが、現役時代は欧州で25戦7勝。重賞は3歳時にDiadem S.(GB G3 T6f), 4歳時にはDurk of York S.(GB G3 T6f), Cork and Orrery S.(GB G3 T6f:現Golden Jubilee S.)と3勝しています。しかし、G1になると足らなくなるタイプのお馬さんで、3歳時は1000 Guineas S.(GB G1 T8f)で10着、Sprint C.(GB G1 T6f)では5着、4歳時に重賞連勝で迎えたJuly C.(GB G1 T6f)では7着、Sprint C.(GB G1 T6f)では4着と敗れています。また、3歳冬に遠征したHong Kong Invitation Bowl(HK Non T1400m)では4着でした。ちなみに、ラストランとなったDiadem S.(8着)で勝ったのはWolfhoundでして、こちらはWeekend Surpriseの半弟ですか。こちらも南アフリカで種牡馬入りしてますねぇ。

さて、南アフリカの今年の種牡馬成績(04/8/1~05/6/23)を見ると、この二頭(Shalford, Wolfhound)とも入ってないなぁと。後者はまだ生きているとは思うのですが。それじゃあまりにも淋しいなと思ってよく見てみると、4位にランクインしているAl MuftiはWeekend Surpriseの半弟でありWolfhoundの半兄であることが発覚と。南アメリカには欧米から種牡馬が流れ込んで活躍することも多いわけで、例えば3位にランクインしているFort Woodは名牝Fall Aspenの仔だったりするわけです。どう名牝なんだと問われると説明が面倒臭いので、以前作った資料をどうぞ。

牝系図の部屋(Portage系)@うまさいと

ということで、欧米のいいとこの坊ちゃんが流れ込んでいるというイメージを持っている私なのですが、それは現在のイメージなだけであって、実際のところはどうなのかはわかりません。ということで、何となく勢いで書いてみたけど駄文だなぁ。

ただ一つ言いたいことは「Dunfordは今回で25戦7勝で、父の戦績とちょうど並びましたよ」と。孝行息子に乾杯。