何だかじわじわと変な盛り上がりを見せていることがありますね。
シーキングザベスト、レコード勝ちで巻き返し 土曜回顧 テレビ愛知オープン・立夏Sなど(でありんぐ・はぁと)@あかちゃんぷさん
に端を発し
アメリカ三冠レースに関する、若干の考察(血統の森+はてな)@momdoさん
がちょいと疑問を投げ掛け
アメリカ三冠に関して(REVERY_L_ELEKTRA: AnotherSide)@Marlさん
が詳しいデータと共に解説され
米三冠路線は厳しい?(appletree's notes)@appletreeさん
が「あくまで偏見」とかおっしゃりつつも綺麗にまとめた感のある何だか面白い流れになっています。
えー、いまさらなんですがmomdoさんのところに登場する「チャット仲間」ってのは私のことだと思います、はい。で、私は「三冠路線が厳しいというよりもむしろ種付料の問題でしょ」と言った張本人なのです。変な問題提起してすみません。じゃ、いくぞー。ここからは私も「偏見」で書きますのでおかしいと思った方は何か書いて下さいませ。間違っているところも多々あると思いますので・・・。アメリカの生産者の立場なんて想像でしかわかんないし。ちなみに私は繁殖面に重点を置いた考え方だということを先に言っておきます。
プリークネスS戦線06-その1 色々な記事をご紹介(あさ◎コラム)@1972さん
のコラムで紹介されている記事によりますと
要するにこの上の話にエッセンスが集約されていると考えるのです。私はチャットの中で
「日本の競馬は『旦那さんの趣味』、アメリカの競馬は『エンターテイメント性のあるビジネス』、欧州(英・愛・仏辺り)の競馬は『伝統に裏打ちされたビジネス』」だと思うという趣旨の発言をしたのですが、日本と比較すると他の二地域では「合理性の追求」という意味で先を行っている印象を受けます。要は「種牡馬としての価値を落とさないためなら早期引退も止むを得ない(というかむしろ積極的に早期引退する)」という姿勢がはっきりと出ていると言えます。日本よりも「マネーゲーム」という印象を強く受けるのです。
アメリカの競馬はダートが中心であるため、芝中心のレース体系を汲む地域よりも平均的に少し距離が短い、つまり大目標とする距離が10f(2000mちょい)前後ということもありますが、お馬さんを売る生産者の立場ではむしろ「必要経費をどれだけ早くペイできるか」というのがネックになっているのではないかと考えています。「古馬の9~10f路線で大活躍」が目標ではなく、まずは2歳の早い時期にサッサと勝ち上がって重賞路線なりに顔を出すことが目標になってくると思います。Kentucky Derbyまでは10f戦が行われないという暗黙の了解の下では、2歳戦では6f~8f辺りに集中しますし、年を跨いでも夏近くまでは9fを走れれば充分ということになります。三冠路線に向かわないお馬さんにとっては短距離路線もありますし。むしろ一部の大規模な生産牧場以外は三冠路線は重要なものではないとも考えられます。私の感じる限りでは「夢よりもビジネス」であろうと見受けられます。従って「早熟性とスピード」というのが生産面において求められる最も重要な要因であり、種牡馬にもそういったものが求められていると考えます。
最近のアメリカにおいてその年を代表するような活躍を見せたお馬さんは大半が$100,000前後での種牡馬入りが約束されていると感じられます。勿論これは血統やその他の種牡馬など様々な要因が複雑に絡み合ってくることは確実ですが、大体$100,000が基準になっていると考えます。中にはGhostzapperのように初年度から$200,000なんてのもいますが、これは高いベイヤー指数を連発していたからこその芸当であって、普通とは言えません。
さて、個々の三冠路線のお馬さんの話に移る前にまずは表を出します。
「早熟性とスピード」を感じさせるような三冠路線の2レース以上で素晴らしい競馬を見せたお馬さんというのは印象面でも大きいものがあるでしょう。Belmont S.で12馬身以上の差をつけ圧勝したBig Red TrainことPoint Given、国民的な人気を誇った(と思う)Smarty Jonesのover $100,000はわかりますし、血統的に申し分の無いFusaichi Pegasus, 同じくEmpire Makerが同じくover $100,000というのも納得のいくところです。
それとは逆に12fのBelmont S.だけを勝ったお馬さんの種付料がそこまで高くならない(Empire Makerは他も色々勝っているので除外)のも何となく頷けるというものです。その点、Birdstoneなどは2歳時にChampagne S.を、Belmont S.後にはTravers S.を勝っているにも関わらずこの種付料というのはいささか意外ですが、同期にSmarty Jonesがいたことがそもそも不運の始まりだったということでしょうか。SaravaがBelmont S.後に8戦負け続けて引退したこと、Commendableが同じく4戦負け続けたことによる種付料の低さというのも「12fでの勝利のイメージが尾を引いたために現役を続けざるを得なかった」とも言えるかもしれません(←少し拡大解釈気味ではあるけれど)。日本におけるライスシャワーと言うとわかりやすいでしょうか。この理由付けは少し無理があるとしても、特にSaravaの場合は「引退時期を逃したための種付料の低下」はに関しては言えると思います。勿論SaravaのBelmont S.がロングショットだったために、引退できなかったというのもあるかとは思います。これはMonarchosの場合も言えるかもしれません。MonarchosのDerby時はタイムは優秀でしたが、空前のハイペースによるものとされフロック気味に扱われた気もしますし、あくまで現役を続ける必要もあったかもしれないのですが、引退時期を延ばしてしまったことによる種付料の低下は納得のいくところだと思います。
また、この「引退時期を逃す→負け続け→種付料低下」というのは逆に考えると「その後が不確定であればあるほど」高額な種付料が期待できるという考えに通ずるものがあります。近年のアメリカで言うところのVindicationであり、日本におけるアグネスタキオンのシンジケートが莫大な金額になったようなものです。「どれだけ素晴らしい潜在能力を持つと周囲に感じさせるか」と「どれだけ戦績に傷を付けずに引退させるか」が種牡馬としての価値に大きく影響するということでしょう。
上の引用文の「現役を続ける上でのメリットとデメリット」を考えると「怪我をしたら早期引退」という流れは当然になってしまうと考えます。私の意見としては「三冠が厳しいことよりも、その後に現役を続けるメリットが少ない」から、三冠で大活躍すれば「アガリ=引退」になるということです。その際に「もうちょっと走らせようよ」という意見に対して「軽い怪我」はいわば「引退の都合の良い理由」なのだと思います。ビジネスだけで考えると$100,000の種付料がとれるならその時点で引退すればいいわけですしね。ちょっと寂しくもありますが。まとまってないなぁ・・・。
そうえいば私がmomdoさんとのチャットで保険料の話を持ち出さなかったのは、英国などでの障害馬に対する保険は知っていたのですが、平地のお馬さんに対する保険の存在をきちんと把握していなかったということが理由なのですが、そのお陰で結論が長引いてしまった感があるようで。しかし、他の方々の興味深いご意見を聞けたというのは非常に良かったと思います。では。
シーキングザベスト、レコード勝ちで巻き返し 土曜回顧 テレビ愛知オープン・立夏Sなど(でありんぐ・はぁと)@あかちゃんぷさん
に端を発し
アメリカ三冠レースに関する、若干の考察(血統の森+はてな)@momdoさん
がちょいと疑問を投げ掛け
アメリカ三冠に関して(REVERY_L_ELEKTRA: AnotherSide)@Marlさん
が詳しいデータと共に解説され
米三冠路線は厳しい?(appletree's notes)@appletreeさん
が「あくまで偏見」とかおっしゃりつつも綺麗にまとめた感のある何だか面白い流れになっています。
えー、いまさらなんですがmomdoさんのところに登場する「チャット仲間」ってのは私のことだと思います、はい。で、私は「三冠路線が厳しいというよりもむしろ種付料の問題でしょ」と言った張本人なのです。変な問題提起してすみません。じゃ、いくぞー。ここからは私も「偏見」で書きますのでおかしいと思った方は何か書いて下さいませ。間違っているところも多々あると思いますので・・・。アメリカの生産者の立場なんて想像でしかわかんないし。ちなみに私は繁殖面に重点を置いた考え方だということを先に言っておきます。
プリークネスS戦線06-その1 色々な記事をご紹介(あさ◎コラム)@1972さん
のコラムで紹介されている記事によりますと
スペクタキュラービッドは走るたびに保険料が上がり、4歳時には100万ドルの保険料がかかったそうです。つまり、走ることには何の経済的なメリットはない状態になってしまったのですが、それでも、オーナーのMeyerhoff氏はBidの走る姿を見るために現役を続行させたそうです。
BarbaroのオーナーであるJackson夫妻のもう一頭のダービー出走馬であるShowing Upを管理しているTagg師(Funny Cideの調教師でもある)は、「最近リスクを取るには馬の価値が上がりすぎてしまった。もしBarbaroが3冠馬になれば、その価値は55億円を超えるだろう」と語ります。
仮に、20億円の馬がいるとして、その保険料は安く見積もっても4.5%で、9000万円。これに加えて、騎手と調教師への支払いが6000万円、さらに輸送費が1000万円。4歳で仮に3億円稼ぎ出したとしても、馬主の手元には半分以下しかのこりません。そして、実際に3億稼ぐ保証はどこにもない。その一方で、今すぐ種牡馬入りし、80~100頭の牝馬に500万円から1000万円の種付け料で種付けを行なえば、1年に4~10億円の金額が確実に入ってくる。
つまり、馬主は確実に入ってくる4~10億円と、入ってくる保証のない2億円を比べることを余儀なくされます。かつては、種付け料が安かった上に種付け頭数も多くても40頭前後だったので、トップホースでも古馬として走らせることが可能だったわけです。
要するにこの上の話にエッセンスが集約されていると考えるのです。私はチャットの中で
「日本の競馬は『旦那さんの趣味』、アメリカの競馬は『エンターテイメント性のあるビジネス』、欧州(英・愛・仏辺り)の競馬は『伝統に裏打ちされたビジネス』」だと思うという趣旨の発言をしたのですが、日本と比較すると他の二地域では「合理性の追求」という意味で先を行っている印象を受けます。要は「種牡馬としての価値を落とさないためなら早期引退も止むを得ない(というかむしろ積極的に早期引退する)」という姿勢がはっきりと出ていると言えます。日本よりも「マネーゲーム」という印象を強く受けるのです。
アメリカの競馬はダートが中心であるため、芝中心のレース体系を汲む地域よりも平均的に少し距離が短い、つまり大目標とする距離が10f(2000mちょい)前後ということもありますが、お馬さんを売る生産者の立場ではむしろ「必要経費をどれだけ早くペイできるか」というのがネックになっているのではないかと考えています。「古馬の9~10f路線で大活躍」が目標ではなく、まずは2歳の早い時期にサッサと勝ち上がって重賞路線なりに顔を出すことが目標になってくると思います。Kentucky Derbyまでは10f戦が行われないという暗黙の了解の下では、2歳戦では6f~8f辺りに集中しますし、年を跨いでも夏近くまでは9fを走れれば充分ということになります。三冠路線に向かわないお馬さんにとっては短距離路線もありますし。むしろ一部の大規模な生産牧場以外は三冠路線は重要なものではないとも考えられます。私の感じる限りでは「夢よりもビジネス」であろうと見受けられます。従って「早熟性とスピード」というのが生産面において求められる最も重要な要因であり、種牡馬にもそういったものが求められていると考えます。
最近のアメリカにおいてその年を代表するような活躍を見せたお馬さんは大半が$100,000前後での種牡馬入りが約束されていると感じられます。勿論これは血統やその他の種牡馬など様々な要因が複雑に絡み合ってくることは確実ですが、大体$100,000が基準になっていると考えます。中にはGhostzapperのように初年度から$200,000なんてのもいますが、これは高いベイヤー指数を連発していたからこその芸当であって、普通とは言えません。
さて、個々の三冠路線のお馬さんの話に移る前にまずは表を出します。
Year | Kentucky Derby | Preakness S. | Belmont S. |
---|---|---|---|
1999 | Charismatic $35,000(3年目) | Charismatic $35,000(3年目) | Lemon Drop Kid $50,000 |
2000 | Fusaichi Pegasus$150,000 | Red Bullet $30,000 | Commendable $10,000(2年目) |
2001 | Monarchos $25,000 | Point Given $125,000 | Point Given $125,000 |
2002 | War Emblem ¥8,000,000 | War Emblem ¥8,000,000 | Sarava $5,000 |
2003 | Funny Cideセン馬 | Funny Cideセン馬 | Empire Maker$100,000 |
2004 | Smarty Jones$100,000 | Smarty Jones$100,000 | Birdstone$10,000 |
2005 | Giacomo(現役) | Afleet Alex$40,000 | Afleet Alex$40,000 |
「早熟性とスピード」を感じさせるような三冠路線の2レース以上で素晴らしい競馬を見せたお馬さんというのは印象面でも大きいものがあるでしょう。Belmont S.で12馬身以上の差をつけ圧勝したBig Red TrainことPoint Given、国民的な人気を誇った(と思う)Smarty Jonesのover $100,000はわかりますし、血統的に申し分の無いFusaichi Pegasus, 同じくEmpire Makerが同じくover $100,000というのも納得のいくところです。
それとは逆に12fのBelmont S.だけを勝ったお馬さんの種付料がそこまで高くならない(Empire Makerは他も色々勝っているので除外)のも何となく頷けるというものです。その点、Birdstoneなどは2歳時にChampagne S.を、Belmont S.後にはTravers S.を勝っているにも関わらずこの種付料というのはいささか意外ですが、同期にSmarty Jonesがいたことがそもそも不運の始まりだったということでしょうか。SaravaがBelmont S.後に8戦負け続けて引退したこと、Commendableが同じく4戦負け続けたことによる種付料の低さというのも「12fでの勝利のイメージが尾を引いたために現役を続けざるを得なかった」とも言えるかもしれません(←少し拡大解釈気味ではあるけれど)。日本におけるライスシャワーと言うとわかりやすいでしょうか。この理由付けは少し無理があるとしても、特にSaravaの場合は「引退時期を逃したための種付料の低下」はに関しては言えると思います。勿論SaravaのBelmont S.がロングショットだったために、引退できなかったというのもあるかとは思います。これはMonarchosの場合も言えるかもしれません。MonarchosのDerby時はタイムは優秀でしたが、空前のハイペースによるものとされフロック気味に扱われた気もしますし、あくまで現役を続ける必要もあったかもしれないのですが、引退時期を延ばしてしまったことによる種付料の低下は納得のいくところだと思います。
また、この「引退時期を逃す→負け続け→種付料低下」というのは逆に考えると「その後が不確定であればあるほど」高額な種付料が期待できるという考えに通ずるものがあります。近年のアメリカで言うところのVindicationであり、日本におけるアグネスタキオンのシンジケートが莫大な金額になったようなものです。「どれだけ素晴らしい潜在能力を持つと周囲に感じさせるか」と「どれだけ戦績に傷を付けずに引退させるか」が種牡馬としての価値に大きく影響するということでしょう。
上の引用文の「現役を続ける上でのメリットとデメリット」を考えると「怪我をしたら早期引退」という流れは当然になってしまうと考えます。私の意見としては「三冠が厳しいことよりも、その後に現役を続けるメリットが少ない」から、三冠で大活躍すれば「アガリ=引退」になるということです。その際に「もうちょっと走らせようよ」という意見に対して「軽い怪我」はいわば「引退の都合の良い理由」なのだと思います。ビジネスだけで考えると$100,000の種付料がとれるならその時点で引退すればいいわけですしね。ちょっと寂しくもありますが。まとまってないなぁ・・・。
そうえいば私がmomdoさんとのチャットで保険料の話を持ち出さなかったのは、英国などでの障害馬に対する保険は知っていたのですが、平地のお馬さんに対する保険の存在をきちんと把握していなかったということが理由なのですが、そのお陰で結論が長引いてしまった感があるようで。しかし、他の方々の興味深いご意見を聞けたというのは非常に良かったと思います。では。