国語塾長、情報集めて考えます・書きます的ブログ

国語塾詳細はkokugo.m@ozzio.jpへどうぞ。塾猫常駐。

目に青葉山ホトトギス初鰹・・・5月の有名俳句・・5月先取りです

2020-04-28 07:01:09 | 国語的随想
思い出のグリーンランドのお花畑
アイスランド、フェロー諸島、グリーンランド
辺境(世界の果て)だが、私の好きなエリア(バイキングたちの故郷)である
新型コロナウイルスは、ここにも入っていた・・・





目に青葉山ホトトギス初鰹  山口素堂
(めにあおば やまほととぎす はつがつお やまぐちそどう)

5月来ると、必ずどこかで目にする俳句です。
作者の山口素堂は江戸中期の俳人。
目にまぶしい新緑(青葉)ときれいな声でなくホトトギス、そうして口福の初鰹。
いいなあ。。。(目を細めて)
初夏の江戸人が好んだものがよく分かる句です。
この俳句は有名ですが、名句かといえば、そうではないと思います。
理由は、3つも季語をよみこんでいるからです。
基本的に季語は1つというルールがありますので。
それでも読み継がれ、歌い継がれてきたこの俳句、みごとに「初物好み」というツボを押さえています。

江戸っ子は「女房を質に入れても初鰹を食え」といわれました。
        ↑
 これが分からない人のために
 質に入れても・・・・質屋という商売がありました。この店では、お金にこまった時に何か手持ちの品を持って行って、お金を貸してもらえます。
だから手持ちの換金できる高価な品がない人(男)は、1時的にでも奥さんを質屋に預けてお金を借りてまだ走りの高価な初鰹を食べるという意味です。
現代では間違いなく虐待(ドメスティック・バイオレンス)で、逮捕されるレベルですが。
それほどまでに、江戸っ子は、初物を珍重(ちんちょう)したということです。
「まな板に 小判一枚 初鰹」(宝井其角)
などという俳句も残っています。
まな板の上の初鰹=小判1両
ってことですね。
ちなみに作者の宝井基角(たからいきかく)は、蕉門十哲(しょうもんじってつ)といわれる、松尾芭蕉の高弟(弟子)の1人です。

小判1枚は260年も続いた江戸時代で変動があるので、現代のお金にすると・・一概には言えませんが10万円前後はあったと思います。
いずれは旬の味としてもっとお得に口に入るのに、そんな高価な走りの鰹に江戸人はこだわったのか。
それは「粋(いき)だねえ」といわれたいからです。
江戸っ子は「宵越しの金は持たねえ」のがかっこいいとされていました。
       ↑
地道にこつこつお金を貯めるのは野暮(ダサい、かっこわるい)ぱっと派手に使うのがかっこいい,という美意識。
粋は、今の言葉で言うと「かっこいい」「クール」です。
高価な物を財布の中身をはたいて求めるって、見栄っ張り(みえっぱり)かな,と思いますけど。
もう一つ、初物を食べると寿命が伸びるといわれていたからです。
初物七十五日」(初物を食べると寿命が75日のびる)
なんていうことわざがあります。

5月になると「新茶」がでますね。
新茶を好んで喫する人は今も一定数いますね。
これは江戸人の「初物」好みの名残かも知れません。
※喫する(きっする)・・・食べる、飲む・・・「茶を喫する」 
            (良くないことを)こうむる、うける・・・「苦杯を喫する」

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする