イクジイ、イクメンなどは、もうかなり前のこととなりましたが、その気持ちはよくわかります。
例の、H氏からこのほど配信されてきました記事に、このことに関連する内容がありました。 テレビなどでお馴染みの、
尾木直樹さんの 「おじいちゃんになって世界が一変した」 というタイトルの記事です。
話がちょっとそれますが、昔は、ガキ大将というのがいました。 ガキ大将は、大体大勢の仲間(子分?)を
従えて、威張って見えますが、よく見ると、それぞれの子分を褒めたり、いなしたり、適度に仕事(役割)を
命じたりして、上手に操っているのですね。 そこには、無視同然の扱いはなく、全員に目配りがきいていて、
退屈させていないのですね。
ただ、身体がでかくて、腕力があるだけではガキ大将は務まらない。ガキ大将たる素養として、相手の心を
うまくつかむ、適度な刺激も与えるなど、このような能力を持っていないといけないようです。
何事もそうですが、そこに相手を読む、注意をひきつける何かを持っていないと、コミュニケーション、リーダーシップ
などには向かない。 頭が良い、知識が豊富だけではだめなんですね。
最近テレビで見ましたが、若いお父さんが、絵本の読み聞かせ講座を受講して、わが子に読み聞かせを通じて
コミュニケーションを深める・・そんな内容でしたが、 読み聞かせ講座受講により、“話し方” のテクニックではなく、
聞く立場に立った話し方を学ぶのだそうです。 物語を通じて、聞いている子供の心に入り込むというような感じ
なんだそうです。
お待たせしました。 配信された記事を以下にコピペさせていただきますが、ここでは、“かわいい孫” との
接し方について、感動を込めた内容として語られています。
尾木ママオフィシャルHPより
**********************************
「おじいちゃんになって世界が一変した」
尾木 直樹(教育評論家) 文藝春秋 2015年4月号 p254-261
【要旨】著名人が祖父母として「孫育て」を語る、また、孫から祖父母へメッセージを贈る大特集「孫との時間」の記事。
「尾木ママ」としてメディア等で親しまれている教育評論家・尾木直樹氏が、二人のまだ幼い孫をもつ「ジイジ」としての
経験も踏まえながら、あるべき孫の育て方を語っている。厚生労働省が後援する2013年度「イクメン オブ ザ
イヤー」のイクジイ部門賞を受賞した尾木氏は、孫ができたことで「世界が一変した」ほどの感動を覚えながら、
孫の親(自分の子)との情報共有や役割分担、叱り方や距離感のつかみ方、情操の育み方などを実践的にアドバイス。
祖父母だからこそしてあげられること、自分の人生経験を語り伝えていくことの重要性などについて、自らの考えを
述べている。
------------------------------------------------------------
教育評論家の活動をはじめて35年ほどになりますが、ラジオ番組などで教育相談を受けるなかで気づいたことが
あります。それは10年ほど前から、親よりもおばあちゃんからの相談が多くなったことです。いまはだいたい8割方が
おばあちゃんではないでしょうか。私たち団塊世代を中心に、それだけ孫の成長を気にかけている方がたくさんいる
ということがわかります。昔と違って孫の数が少ない時代ですから、おじいちゃんとおばあちゃんになれば、誰だって
お孫ちゃんにメロメロ。ついつい可愛がりすぎて、ママとパパから文句を言われる…なんてことはみなさん経験している
でしょう。
実は私もその一人です。60代半ばに相次いで二人の孫ができて、立派におじいちゃんの仲間入りを果たしました。
それまでは想像もしませんでしたが、おじいちゃんになったらまるで世界が一変したような気分です。
ジイバアの子育て支援は、何事も控えめが第一。押し売りではなく “御用聞き” が基本です。孫かわいさの
あまり、過干渉になってしまうと、お孫ちゃんにもパパママにもよくありません。とくにおばあちゃんは、子育て経験が
あるから口八丁手八丁でしゃしゃり出てしまいがちです。実はうちの妻も同じ。私は著書で何度とな「過干渉は
よくありません」 と書いてきたのに、まさかわが家で妻が孫に対してこんなことになるとは思ってもみませんでした。
でもホントは、おばあちゃんがママと同じように振る舞うのはいいことではありません。一番身近にママがいて
パパがいて、それから少し離れたところにジイジやバアバがいる、そういう関係性が大切なのです。ママとパパは
親の責任感からいろいろプレッシャーをかけがちですから、ジイバアは避難所になってあげる。ジイバアまでが
距離を詰めて重くのしかかったら、お孫ちゃんは本当に息苦しくなります。
いまは60代70代といっても、みなさん元気ですから、むしろ仕事でもボランティアでも積極的にもっと社会参加して
ほしいと思います。お孫ちゃんは本当にかわいいものですが、「孫だけが生きがい」 となってはいけません。
運動や趣味など何か自分の楽しみを持ったうえで、お孫ちゃんをかわいがるのが一番いいように思います。
子育てでよく苦労するといわれるのが褒め方、叱り方です。とくにジイバアの場合、褒め方と叱り方でもパパママとは
少し違うところがあります。子どもは「褒めて育てる」が基本ですが、小学校の高学年ぐらいから親に褒められると
逆にプレッシャーを感じる子もいます。その点、ジイバアはいい意味で無責任な立場ですから、褒めるときも
ストレートに自分の感動を伝えればいいのです。「毎日、朝顔に水をやりつづけて、えらいなぁ」。親が忘れがちな
日々の些細ながんばりも、そうやってどんどん褒めてあげてください。
その一方で、叱るときにはちょっと注意が必要です。親ほど孫に密着していないジイバアは、叱ったあとの
フォローができません。お孫ちゃんを叱ったら必ずママかパパに「今日こんなことがあって、きちっと叱っておいたから」
と報告しましょう。そして「今日おじいちゃんから叱られたでしょ。おじいちゃんは憎くて言ってるんじゃないよ。
あなたのことが大好きで、心配のあまり言ってくれたんだよ」 ときちんとフォローしてもらう。プレゼントと同じで、
ママたちとの情報共有が何より大切ということです。
反対に、パパママがお孫ちゃんを叱ったときにうまくフォローしてあげるのもジイバアの役目です。パパママと
孫のやりとりを見ていると、親子間の誤解や行き違いに気づくことがあります。孫がいま一つ納得がいかない様子なら、
気持ちに余裕のあるジイバアが、誤解や理解不足を解いてあげられるかもしれません。「パパがああ言ったのは、
きっとこういう意味だと思うよ」。 そう言って詳しく解説してあげます。このとき注意したいのは、パパママの代弁者に
ならないこと。親と同じ目線でお説教するのでなく、あくまでジイバアの立場を維持しつつ解説してあげるのです。
ジイバアの育児はあくまで後方支援が基本とはいえ、私たちの世代から孫たちに伝えていくべきこともあります。
正しいお箸の使い方、ペンの握り方、お辞儀や正座などです。日本の伝統文化や礼儀作法をきちんと伝えることは
年寄りの責務ですし、お孫ちゃんが大人になってから恥をかかないためにも重要です。もしママやパパから
「お箸の持ち方なんてどうでもいいよ」と言われたら、まず親たちを説得するぐらいの姿勢が必要です。
「お箸の使い方は大切だと思うよ。上手にお箸が使えれば脳の発達も違うんだよ」
昔の伝承遊びも、ぜひお孫ちゃんに教えてください。竹トンボや竹馬をつくってあげたり、お手玉やあやとりで
一緒に遊んであげたり。たとえばお手玉は、ふつうにまわす単純動作でも集中力は高まりますし、反対まわしにすれば、
いつもの習慣と違うので、これがまた脳の発達を進めます。
私もお孫ちゃんに独楽まわしの技を見せてあげています。ピュッと投げて手のひらにチョンと載せるとか、
紐を伝わせて右手から左手に移すとか。お孫ちゃんは目を丸くして大よろこびです。これこそジイバアの出番、
真打ち登場でしょう。
いまや子どもが大好きなおもちゃはスマホです。保育園のおもちゃ箱には親たちが寄付した古いスマホがたくさん
入っています。でもそうした時代だからこそ、たくさんの絵本を読ませることをおすすめします。それも、できれば
読み聞かせしてあげたいものです。たとえ読み方が下手でも、肉声にまさるものはありません。膝の上に載せて
読んで聞かせれば、耳だけでなく背中などから声の振動が伝わり、その響きを心地よく感じながら物語の感動を
共有することができます。
読み聞かせの効用はいくつもありますが、見逃すことができないのはいじめ問題への効果です。いじめっ子は
他者への共感能力が乏しく、鈍感な子に育ってしまった結果ともいえます。絵本の読み聞かせは、共感能力の高い
子に育てるうえでも効果があると思います。 「このウサギちゃんはすごくよろこんでるね。 でも、こっちのウサギ
ちゃんは泣いてるよ。どうしたのかな?」。そうやって絵本の世界に一緒に入り込んでいき、他者の気持ちを察する
ように問いかけるだけでも、共感能力は自然と高まっていきます。
ある日、娘から改まったようにこう頼まれました。「これから折に触れて、この子にお父さんの人生体験を
たくさん話してやってください」。孫もおじいちゃん、おばあちゃんの昔話を聞きたがるものです。私たちと孫は、
「枯れゆく命」と「萌えいずる命」の関係です。親は子どもにとって人生の同伴者ですが、私たちは「先に逝く者」です。
ですから、おじいちゃんとおばあちゃんには、ぜひお孫ちゃんに自分の人生体験を語ってほしいと思います。
そこには他人の話や書物からは得られない多くの教訓が詰まっているはずです。
コメント: もちろんそのまま応用できるわけではないが、本記事の内容は、ビジネスの現場における部下との
接し方を考える際にも参考になるのではないか。直属の上司が「親」とすれば、そのまた上司は「祖父母」となる。
誉めたり叱ったり、指導、激励する場合の情報共有の重要性、部下への心理的圧迫などについては、家庭も職場も
同じく慎重であるべきだろう。これまでの人類の歴史は、上の世代や経験のある者が、続く者たちを導くことで発展
してきた。「どのように導くか」は、この社会を持続させるうえできわめて重要な課題であることは間違いない。 Copyright:株式会社情報工場
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます