次年度の国の予算を決めるにあたって、先ずは、例年8月末日期限で各省庁が
とりまとめ、それ(概算要求)を財務省に提出して、年末に大臣折衝を経て、次
年度予算(案)ができ、年度末に向けて国会で審議され決定されます。
しかし、今年の概算要求は、新型コロナの影響から、例年の1か月遅れの9月
(今月)末日にその期限が変更されています。そして、新型コロナ対策について
は別途要求できるとあります。
財務大臣発言要旨(部分)(R2.7.21)
今からもう45年も前のことが想い出されて、うろ覚えですが何となく懐かしい
感じもして、この「概算要求」に思いが至りました。
当時私は、電信電話事業の年度設備増設計画を立案する部署の ある担当部門に
在籍していましたので、次年度建設計画を国の概算要求締め切りまでに郵政省
(当時)に提出すべく繁忙を極めていました。 確か、全体で1兆○○億円の設備
増設計画のうち、私の担当で6千○○億円ほどの計画額だったように記憶しています。
この中で、当時、第5次5か年計画の2年目(1975年)ということで、電話の増設
が年間400万加入の大量増設におよぶ急成長時代でした。とにかく第5次5か年計画
末には、「全国どこでも申し込めばすぐつく電話」(積滞解消)を目指していた
時代です。
以下のグラフにありますように、電話の加入数のピークは1997年で、6322万加入
だったのですが、その後ケイタイ電話など移動体電話の普及で現在(2019年)の
(固定)電話は、2000万加入を下回っているのですね。特に若い人たちは、固定
電話にはほとんど関心がありませんね。
電話加入数の推移(NTTより)
↑ ↑ ↑
1975 1997 2019
ですが、当時は、いくら増設しても、申し込みが増える一方で、建設可能の目
いっぱいまで増設に追われていたのでした。 年間に400万加入の電話を増設する
ためには、当時、この2倍以上にあたる1000万加入ほどの規模の増設計画が必要だ
ったのです。
担当省庁への予算説明に当たって、「年間400万加入の増設なのになぜ設備的に
1000万加入もの増設予算が計上されているか?」などの質問を記憶しています。
いわゆる、ミクロ、マクロの観点の相違で、日本に電話局が1つであれば、400万
の増設に対しては400万の増設予算でいいですが、実際には、全国にたくさんある
電話局個々に、電話需要があり、それらの需要予測を合算すると400万よりはるか
に多く、それらをさらに精査してトータルを決めていたのです。 なかなか理解
されなかったことがありました。
さらに1つの電話局で見ても、例えば5万加入の増設だからといっても、交換設
備などの設備単位があり、それらを丁度5万加入にすることもできないのですね。
そして、キチキチに増設計画を立てると毎年同じ部分の増設工事が発生すること
になりますから、少なくとも1年先までを含めた計画とならざるを得ない、また、
ケーブルなどは工事頻度を抑える観点から、増設に余裕を見る必要があることな
ど、説明には苦慮したところです。
新型コロナで、予算の概算要求時期が1か月遅れたことから、半世紀ほど前の
ことが懐かしく想い出されたのでした。
秋の並木路
Carla Boni - Viale d'autunno - Festival di Sanremo 1953
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