(私には合わない話でした)
『わたしを離さないで』(byカズオ・イシグロ)、読了。
ハードカバーを図書館で借りた。因みに2005年初出。
ある漫画とモチーフが似てるとか、ドラマが話題になったとか、ノーベル賞を取ったとか、そんな幾つもの話題が世に出る度、いつか読むかと心に留めて、やっと読めた。
読み始めて早々に混乱した。
「提供」「介護人」「保護官」「展示館」「交換会」「販売会」etc。
私たちの日常とは異なる意味で使われているだろう謎単語が、これでもかと襲ってきたためだ。
それら謎単語と匹敵する勢いで出てくる単語が「セックス」。
登場人物らは寄ると触るとセックス。一体この作品世界は何なのか。
それに、ただでさえ、或る「介護人」の回想録の形なのに、その中で更に想起が何度も出てくる。
つまり時系列がひんぱんに前後する。
未出の話題が章の終わりに突然湧いて、面食らいながら読み続けて、忘れかけた頃にその未出についての説明が出てくる、というパターンが繰り返される。
全体の半分を遥かに超えた、300ページ超まで読んで、やっと世界観が説明されたが。
その説明を受けて、逆に分からなくなった。
主人公たちは謎施設に監禁されてもいない、情報統制もされてない、なのに誰も体制に反抗しない。
外界が荒廃しきってるようでもない。
クローン技術だけ進んでて、他の文化も文明も倫理観も止まってる。
「提供」の真相もストレート。
自分としては寧ろ、あり得ないから除外してたくらい。
二度も三度も体から臓器抜かれて、普通にセックス(!)してるというのは流石にどうかと。
夢も希望も実も蓋も救いも無い、私には胸の悪くなる話でした。
それでは。また次回。