『意気投合』
新潮文庫、番号39、『ボッコちゃん』収録。
そうはならんやろ!なっとるやろがい!
……読み終わった時、そういうツッコミ入れたくなった。
星新一ショートショートの十八番、異星人とのファーストコンタクト。
私たちの所に彼らが来る場合と、私たちが彼らの所に行く場合とがあるが、本作は後者。
てっきり御しやすい与しやすい相手だと油断してたら、エライ目に遭うパターン。
ただ、冒頭にも掲げたように、勢いで読み終わった後に改めて読み返すと、細かいツッコミ所が浮かんでくる。
何で本作の地球人たちは、宇宙船から全員いっぺんに降りちゃったのか。
最初の内は、不測の事態に備えて警備の人が残るんじゃないのか。
月着陸の時だって、一人は船内に待機してたんだが。(まあ着陸できなかったからなんだが)
着いた先の異星人も謎が多い。
地球人たちを「神の御使い」と思ったなら尚更、「ではコレを使わせていただきます」的な儀式とか何とかやらなくて良いのか。
くれた物はゼンブ問答無用で消費していいと思ってるくらい警戒心が薄いのか。
それに、そもそも金属が非常に少ない環境なのに文明が進んでる(ように見える)というムジュン。
複雑な機械には、強度のある金属が確実に必要じゃなかろうか。
という事はもしかしたら、金属に匹敵する性能を持つ別の物質があったりしないか。
そうすれば地球人たち、無事に帰れるハッピーエンドもあり得るか。
更に言うなら、星作品だからこの程度の、比較的穏やかな?オチで済んでるのかもしれない。万が一、「地球人たちそのもの」を天からの授かり物だと思ったら、そしたら惨劇一直線。
何が恐ろしいって、もしそういう展開だったとしても、本作の地球人たちの調査では「感情+」(=好意を持ってる)という判定になるだろうって事。
この通り、価値観は立場によって変わる、という教訓が、今回のお話である。
それでは。また次回。