理科系人間のマクロビオティックメモ

マクロビオティック・健康に関する考察と情報をつれづれなるままに。

肉を断つ(4) 吸収力不足

2005-07-28 | マクロビを学ぶ
肉を食べるのをほぼやめられたのはよかったのですが、弊害もありました。

ほぼ菜食に移行してからしばらく経ったころ、時々立ちくらみがするようになりました。その名の通り、座った状態から急に立ち上がるとクラッとくるのです。それまでは長い間(多分10年以上)一度も経験していなかったので、これは食生活を変えたせいだと思いました。他にも、滅多にしなかった肩こりがするようにもなりました。

調べてみると、栄養素としては鉄分が不足しているということになるようです。鉄分には肉や魚などに多いヘム鉄と、野菜や穀類に含まれる非ヘム鉄があり、ヘム鉄の方が吸収されやすいのです。再び肉をたくさん食べるようにすればおさまるのはわかっているのですが、それでは元の木阿弥。そこで一時的にヘム鉄のサプリメントや鉄剤を試してみましたが、あまり変わらず。特に鉄剤を飲むと便秘になったので、弊害の方が大きい気がしてやめました。

いろんな人に教えていただいたりした内容を総合して考えると、肉は栄養の吸収がよいため、それに体が慣れて吸収力が落ちているようです。食べ物を分解・吸収する時に使われる酵素の観点からいうと、菜食に移行するには野菜を分解する酵素がまだ十分ではなく、腸内環境や酵素を菜食に合った状況にもっていく必要があります。このへんのことは、hallick先生のブログアトピー治療の回に書かれています。

肉をたくさん食べることは様々な害をもたらしますが、一方で肉にはビタミンやミネラルなども多く含まれているため、急に食べるのをやめてそれを補うことができないと不具合が発生するのです。これに対して砂糖の場合は糖分以外に栄養が全くないので、逆に急にやめても不都合はないと思われます(やめたことによるストレスからくる害は別ですが)。

これもhallick先生の記事に書かれている話ですが、こういう症状のことになると、マクロビでは「好転反応」という言葉がよく出てきます。正しい食事に移行した際に一時的に生じる不快な症状(発疹、だるさ、痛みなど)のことを指しますが、好転反応はあくまでも排出や治癒のための短期間の症状であるはずで、私が経験しているのは好転反応とは言えないと思います。何でも「好転反応」ですますのは危険ですので、きちんと原因を考えて必要な対処をすべきです。

一般論としては、肉をやめるにも徐々に減らしていくべきだということになると思うのですが、前回までに書いたように私の場合は急にやめたからこそやめられたので、自分としては「これでいいのだ」とバカボンのパパ的に納得しています。体が菜食に適応するまで、腸の活動を盛んにする発酵食品(味噌、納豆など)を多めに食べるとか、必要に応じてサプリメントを使うとかで対処していきたいと思っています。

肉を断つ(3) 食べたものを食べたくなる

2005-07-20 | マクロビを学ぶ
以前、食べたいものを我慢することについてなかなか氏と話していた時、氏は「結局、食べたものを食べたくなるのである」と言っていました。食べるとまた食べたくなる。つまり、ずっと食べないでいれば案外それですむものでも、食べてしまうとさらにどんどん食べたくなって、そのうちやめるのが難しくなるということです。確かに、体がそれほど欲しているわけでもないのに惰性で食べているようなことはあります。

もう少し掘り下げて考えると、我慢という観点から食べ物は以下の3つに分けられるように思います。

(1) 食べても食べなくても食べたくならないもの
(2) 食べると食べたくなるが、食べないと食べたくならないもの
(3) 食べても食べなくても食べたくなるもの

早口言葉のようになってしまいましたが、要するに(1)は普段どういうふうに食べていようがいつでもやめられるもの、(2)は普段食べているとやめられないように思うが(ほぼ)完全に断ってみるとやめられるもの、(3)はやめるのが真に困難なものということになります。

何がどれに入るかは人によって違います。私の場合、魚は(1)のようです。飲み会などで時々食べますが特に「また食べたい!」とはなりません。多分(3)に属するのが米。海外出張などで2週間ぐらい食べないことはあるものの、ずっと食べないというのは耐えがたい。やめようとしたことはありませんが。

で、この分け方でいうと肉も(3)だろうと以前は思っていたのですが、前回書いたように思ったより楽に(ほぼ)やめることができたところをみると、どうやら(2)のようです。ただし(1)ではないので、普段少しずつでも食べているとだんだん元に戻ってしまいます。そういう意味では、徐々にではなく急にやめたからこそやめられたのかもしれません。

実はケーキやアイスクリームや和菓子も結構好きなのですが、私の場合は甘いものはどうやら(2)のようです。食べだすと続けて食べてしまいますが、いったん食べないと決めれば全くなくてもどうということはありません。でも甘いものが(3)に入る人は多そうです。前に砂糖の話で書いたように、(3)のものをやめるにはなんとかしばらく断って(2)に近い状態にしないといけないのかも。

肉を断つ(2) 吸収速度

2005-07-11 | マクロビを学ぶ
私のような、男で比較的がっしりした体格で血行のよいタイプの場合、体内の活発な代謝とエネルギー消費を補うために肉を好むようになることが多いようです(マクロビ本に出てくる「陽性の固太りタイプ」)。年齢とともに脂っこいものが減ってはきますが、基本的な嗜好としては変わらず。同類だと思われる人と話をすると「肉をやめるのは無理ですよー」とよく言われます。

私もそう思っていたのですが、実際に肉をほぼ食べない生活に移るのはタバコをやめた時に比べればかなり楽でした。これには、前に砂糖の話でも書いたように肉は甘いものやタバコと違って食事の時だけガマンすればよい(仕事しながらつまんだりするような習慣がない)という環境・文化の違いもありますが、加えて体内での吸収の遅さということも影響しているように思います。

砂糖の場合はショ糖が腸内で急速にブドウ糖に分解されて血液から脳に届きますし、タバコを吸うと肺からニコチンがすぐに血液に入って脳に達します。こうして短時間で快感(気分が落ち着くなど)を覚えることになります。これに対し動物の肉のタンパク質は、肉だからといって食べるとすぐに人間の体を構成するタンパク質になるわけではなく、いったんアミノ酸に分解されてから必要な形のタンパク質に再合成され、そのプロセスにはかなり手間がかかります。脂肪分にしても分解にはかなり時間が必要です。これによって消化器官に負担がかかったり消化の過程で有害物質が出たりするわけですが、食べてからすぐに快感を覚えないので、それがなくなったときのつらさも小さいということなのではないかと考えています。

とはいえ、体としては依然として肉を求めているわけで、嫌いになったわけではありませんから、やめるには十分な動機が必要です。それには体に悪いということを理解してイメージを持つことが重要ですが、ともかくその気になりさえすれば(ほぼ)やめることは可能だという印象を持っています。

さらに、今回は徐々にではなく急にやめたというところが1つのポイントでした。その話は次回に。

肉を断つ(1) 大いなる飽き

2005-07-07 | マクロビを学ぶ
マクロビオティックを始める時に肉・魚・乳製品を極力食べないことにしたわけですが、それまでは肉ばかり食べていました。魚はほとんど食べなくなっていたので、普段のごはんのおかずというとほとんど牛・豚・鶏のどれかでした。野菜もそれなりにたくさん食べていましたが。

自分ではそれほどとは思っていなかったのですが、妻によると、休みの日の昼食などに私が「弁当でも買ってくるか」と言って出るといつもカツ弁当とか焼肉弁当ばかり買ってくるので、ちょっとウンザリしていたそうです(言ってくれればいいのに... 言ってもムダだと思われていたのか)。

また、一人で外食するとなるとトンカツばかり食べていた時期があり、そんな自分に嫌気がさしてもいたのですが、減らすこともできませんでした。今から考えると、肉の味(というか脂分)にも肉ばかり食べている自分にも「大いなる飽き」がきていたのですが、それでもおいしいので食べ続けていたという状態だったようです。

今は家や職場では肉も魚も全く食べず、飲み会などでは普通は魚だけ食べるようにしているので、肉を食べるのは月に1度の邪食の日と、肉を食べないのがあまりにも不自然な店(焼肉屋とか串カツ屋とか)に飲み会で行った時だけ。多くても月に3回ぐらいです。以前は月に50回は食べていたと思いますから、劇的な変化です。

肉を食べるとなぜ体に悪いかはマクロビでなくてもよく解説されています。簡単にいうと「血が汚れるから」ということだと思います。その理由として「肉は酸性食品だから」とか「肉は消化が大変で、その過程で老廃物が出るから」という説明もありますが、「約37度ある腸の中で肉が腐り、発生した毒素が血液に入るから」という説明が一番わかりやすいと思いました。わかりやすすぎて「そんな簡単な話でいいのか」とも感じますし、実際には善玉菌・悪玉菌や酵素など、いろんな因子がからんでいるようですが、他の人にもこの話が一番納得してもらえます。肉の腐ったのはタチが悪そうですから。

さて、肉を食べなくなってわかったこと2つ。

(1) 肉を(ほぼ)やめるのは思ったほど難しくない
(2) 肉は体に悪いが、急にやめると逆に弊害もある

これらについて次回から1つずつ書きます。