理科系人間のマクロビオティックメモ

マクロビオティック・健康に関する考察と情報をつれづれなるままに。

新谷先生講演会「汚れた腸が病気をつくる」

2005-08-30 | マクロビを学ぶ
マクロビという考え方」で紹介されていた、新谷(しんや)弘実先生(アルバート・アインシュタイン医科大学外科教授)の講演会に行ってきました。

新谷先生は「世界で初めて大腸内視鏡の挿入法を考案し、大腸内視鏡によるポリープ切除に成功(1969年)。日米で30万人以上の胃腸内視鏡検査と10万人以上のポリペクトミーを行っているこの分野の第一人者」(講演資料より)。先生の本のうち、最近出版された「病気にならない生き方」はまだ読んでいないのですが、「胃腸は語る」を読んでいたので、それを予備知識として臨みました。

会場はかなり盛況。参加者200名以上だったようです。話には聞いていましたが、新谷先生は今年70歳とはとても思えない若々しい方でした。趣味のハーモニカを披露されて講演開始。

まず「よい腸相・悪い腸相」として、健康な腸と病んだ腸の内視鏡ビデオを上映。腸相のビデオは以前にも見たことがありましたが、とにかく人によって差が激しいですね。よい腸はツルッとしているのですが、悪い腸はひどいもの。必ずしもガンなどの病気を持った人だけじゃないと思うのですが、荒れれば荒れるものです。動物性食品(肉類や牛乳・乳製品)をよく食べる人はそうなりやすいとのことです。私は自分の胃や十二指腸の映像は何度も見ているのですが小腸や大腸は見たことがないので、どうなっているのか心配になります。

食べ物の話では「主食(米)をしっかり食べる」「植物性食品中心(動物性は15%に)」など、マクロビオティックと共通する話が多くありました。特にタバコ、アルコール、牛乳は絶対やめた方がよいと強く言われていました。逆に、マクロビオティックで「体を冷やす(陰性が強い)」としてあまり摂らない方がよいとされる果物や生野菜については「酵素の摂取に役立つ」ので積極的に食べるべしという話。このへんは少し違います。マクロビだと酵素の摂取には発酵食品(味噌、漬物、納豆など)を活用することになると思います。

「酵素」についてわかりやすかったのは「酵素には3つの用途がある」という話。食品から摂ったり体内で生成されたりした酵素は「体の維持(免疫力、治癒力)」「消化」「解毒」の3つに使われます。したがって大食や肉類の食べ過ぎで消化に酵素を消費したり、異物(添加物、農薬や医薬品)の解毒のために酵素を使ってしまうと免疫力や治癒力が落ちて病気にかかりやすくなるというもの。

特に薬については、「どうしても症状をやわらげないといけないときには使わざるをえないが、再発防止などのために漫然と飲むのは絶対にやめるべき」という話でした。十二指腸潰瘍の再発防止のために薬をずっと飲んでいた私には耳の痛い話です。特に、是非について参加者から質問の出たH2ブロッカー(胃酸分泌を抑制する薬の1つ)を「一番悪い薬」と言われていました。

肝に銘じておかないといけないと思ったメッセージは「現代医学は分析学になってしまっている。医学では体のことはまだ1%もわかっていない」ということ。現役の医者の先生の言葉です。これを聞いて、
・局所的にではなく、体全体として考える
・経験側(先人の知恵)を尊重する
ことが大事だと思ったのでした。

一般常識との違いを強く感じるアイテム(牛乳、薬など)については、改めて書いてみたいと思っています。

P.S. 「1日1~2回やるとよい」と言われていた「コーヒー・エネマ(肛門から管を入れて腸内洗浄)」、ちょっと私にはできそうにありません(^-^;)。
P.P.S. 新谷先生は9/6の「おもいッきりテレビ」に出演されるそうです。興味のある方は見てみられてはいかがでしょうか。

マクロビオティックガイドブック

2005-08-23 | 本の感想
・マクロビオティックガイドブック―体と心をはぐくむ食養法 (日本CI協会, 正食協会)

マクロビオティック関連の団体である日本CI協会と正食協会が共同で作成した、その名の通りマクロビオティックのガイド本です。Amazonなどでは在庫があったりなかったりですが、健康食品店に行くとよく置いてあります。

100ページちょっとの中に、マクロビオティックの基本的な考え方、陰陽の話、食品の選び方などについて簡潔にまとめてあります。食べ物の陰陽表もちゃんと載っています。レシピや手当て法、各種情報のページもあるので、最初に読まないといけないところはかなり少なく、とっつきやすい本です。

レシピのところは「基本食から作ってみよう」というだけあって、料理下手には役に立つ基本的なものばかりです。私はこれまでにきんぴらやひじきれんこんを何回か作りましたが、未だにこの本を見ながらでないと作れません。つくづく覚えが悪い。

今まで、食生活の改善に興味のありそうな何人かの人にこの本をあげたのですが、マクロビオティックの実践を始めた人は今のところ皆無です。「3つのこと」で書いたこととも関連しますが、ある程度自分の状況に危機感を持っていて、かつこの本に書いてあることに何かピンとくること(単に「ヘルシーでよさそう」とかではなく)がないと行動にまでは移さないものなのかもしれません。それと今見返してみるとこの本、最初の部分(マクロビオティックの紹介)がちょっと宗教がかった感じがするかな? 別に宗教が悪いわけではありませんが、とっつきやすいかどうかという意味で。

いずれにせよ、マクロビオティックを知らない人に面倒くさがらずに読んでもらいたいならこの本がいいのではないかと思います。

食べる割合(3) ごはんとルー

2005-08-13 | マクロビを学ぶ
暑い時はカレー。寒い時もカレー。カレーライスはもはや日本料理。我が家でも時々思い出したように「カレー食べたい」ということになります。ルーには動物性食材・砂糖完全不使用で添加物なしのものを選ぶこともありますが、若干コクに欠けます。大手の中ではS&Bゴールデンカレー(子供向けは「カレーの王子様」)がBSE対策として牛由来原材料(牛脂など)を使っていない(砂糖や魚由来成分は入っていますが)ので、最近はこれを時々食べます。

恥ずかしながら私も最近になってやっとカレーの作り方を覚え、玄米を炊いてカレーを作ります。玄米は白米と同じくらいカレーによく合います。それはいいのですが、妻と私とではカレーライスの食べ方がだいぶ違うことに最近気づきました。妻は私がよそったカレーライスに「ルーが足りない」と言って大量に補充しているのです。

妻曰く「ルーがごはんの倍ぐらいあるのがいい。少ないと最後にごはんが余ってしまう」。私にとってはそれはルーが多すぎです。あくまでごはんをおいしく食べたいので、逆にごはんの方が多め、だいたいごはんとルーを6:4ぐらいで食べるのがちょうどよい加減です。これが妻の好みだと1:2つまり6:12ということになりますから、ごはんに対するルーの比率は私の3倍ということになります。

また、「最後にごはんが余ってしまう」というのが私には不可解で、どんな割合であってもその割合に合わせてごはんとルーを食べていけばいいじゃないかと思うのですが、「そんなにごはんばっかり食べられない」とのこと。マクロビの「食べる量の半分以上は穀物で」という話を持ち出そうかと思いましたが、やめておきました。

この「ごはんとルーの比率」の話をいろんな人にして好みを聞いてみると、私と同じ「ごはん多め派」と妻と同じ「ルー多め派」にきれいに分かれました。なんとなく、前者は男に、後者は女性に多いようです。大ざっぱに言って「ごはんを中心に食べる人」と「ルーを中心に食べる人」。同じカレーライスでも人によって食べ方というかとらえ方が違うもんだと思ったのでした。

胃痛とつきあう(8) NUD

2005-08-12 | 一病息災
~ 2004年夏 ~

この年の春に横浜での単身生活が解けて大阪へ帰り、仕事の方は楽になったのですが、胃の不快感や痛みは続いていました。

夏に恒例の胃カメラ検査を受けました。通算10回目、もう慣れたものです。結果はその前の年と同じで、十二指腸潰瘍の再発はなく、胃の中もきれいでした。それなのになぜいつまでも痛むのか?

この時はすでにマクロビオティックの存在を知り、食生活を変えることで胃の方も根本的に治さないといけないのではないかと思っていたので、検査の結果を聞いた時に医者の先生に「結局、どうすれば治るんでしょう?」と尋ねてみました。

開口一番「うーん、決め手がないんですよね」。その後の話を要約すると、

・この症状はNUD(Non-Ulcer Dyspepsia: 非潰瘍性消化不良)と言われるものである
・原因はストレスだと考えられるが、じゃあストレスをなくすために仕事をやめましょうかというわけにもいかないから、決め手がない
・当面は胃酸を抑える薬を飲みながら様子を見るしかない

とのことでした。

下の参考ページの解説に照らすと、私の場合は主として「潰瘍症状型」(潰瘍がなくても空腹時痛や胸焼けなど潰瘍症状を訴えるタイプ)で少し「運動不全型」(いつまでも胃の中に食物が残っている感じがするタイプ)も入ったNUDということになりそうです。対策としては「ストレスを避ける」「食生活を改善」そして「胃酸分泌抑制剤、粘膜保護剤を飲む」となるわけで、実際そういう薬を毎日飲んでいました。

でも、これでは出口が見えません。先生も言われた通り、普通に仕事をして生活している限りストレスをなくすことは不可能ですから、「原因はストレス」と言われた瞬間に打つ手がなくなってしまいます。食生活を改善するといっても具体的にどうすればいいのかは教えてくれません。その状況で薬だけ漫然と飲み続けるのでは治りそうにありません。

というわけで、いずれは薬をやめて、食事療法などの別の方法でちゃんと治さないといけないなと思ったのでした。

[参考ページ]
NUDと慢性胃炎 (港町内科皮膚科)

3つのこと

2005-08-09 | マクロビを学ぶ
先週末は、大学時代からやっている音楽関係のイベントに参加していました。旧知のメンバーと楽しんできたのですが、みんな相応の年齢になっていることもあり、健康に関して悩みを抱えている人が多くなってきたなというのを例年にも増して感じました。

同様の悩みをそれなりに抱える1人として最近思うのですが、人が自分の健康を改善するための行動をきちんと起こす(食事を改善するとか運動を始めるとか)のは、「危機感」「ゆとり」「方法論」の3つがあるときなのではないでしょうか。これらが3つともそろわないとなかなか行動を起こせないような気がします。

まず現状に対して「このままではやばい」という危機感がないと本気で対策を打とうという気になれないものです。「一病息災」ということと通じるものがあります。

さらに、行動を起こすだけの物理的・時間的・精神的ゆとりがあること。危機感があっても、仕事が忙しすぎるとか精神的に切迫しているとかいう状況ではついつい後まわしになり、何かを始めることは難しくなります。ただし危機感が非常に強い場合(ガンにかかってこのままでは死んでしまうとか)にはゆとりがどうとか言っていられないわけで、即行動を起こすでしょう。したがって危機感の強さ次第ではあります。

そして「方法論」。これは平たく言えば、「どうやればいいかについての知識」「正しいやり方の指針」という感じでしょうか。健康ブームとも言える昨今、いろんな情報が氾濫していて、逆に何をやったらいいのかよくわからない状況にあります。正しいやり方を知ってそれに沿った行動を起こさないと、効果が上がらないとかかえって体を壊してしまうとかいうことになりかねません。

これらに対してマクロビオティックはどういう関係にあるかというと、まず健康になるための方法論を示すことは重要な使命でしょう。そして正しく危機感を持つ(いたずらに危機感をあおるのではなく)ための知識・指針を示すことも大事です。さらにひょっとしたら、ゆとりを持って楽しく行動を起こすためにも役立つものなのかもしれません。

そんなことを考えていたら、マクロビ四天王の一人である大森英櫻氏が亡くなられたことを知りました。私はお会いしたことも直接お話を聴いたこともないのですが(ですから「先生」という呼称は使わずにおきます)、氏が示されたマクロビオティックの考え方、方法論はこれからも勉強して自分なりに活用していきたいと思っています。謹んで御冥福をお祈りします。

肉を断つ(5) まとめ

2005-08-05 | マクロビを学ぶ
思ったより楽に肉をやめられたという話に対し、macrobi papaさんから「普通の人が肉をやめられないのは、肉がなかったら何を食べてよいのかわからないというのもあるかも」というコメントをいただきました。確かにそうですね。前に「じゃあ何を食べるの!?」という話でも書きましたが、やめたあと何を食べてよいのかわからない、やめたあとの食生活に困るというのは大きな要因の1つに挙げられそうです。

これを含めて考えると、体に害のあるものをやめるときの悩みというのは以下の3つに分けられるような気がします。

(1) やめたものを食べたいという欲求を抑えるつらさ
(2) やめたあとの食生活のさびしさ
(3) やめることによる栄養の不足

(1)と(2)は似ていますし密接に関係していますが、異なる悩みです。(2)は好きなものをやめる場合にたいていついてくる悩みだと思いますが、他のものに楽しみを見つければ解決します。例えば肉の場合なら、野菜中心の食事が前よりおいしく豊かに感じられるようになれば(2)は緩和されます。そのための食生活の指針を示すということもマクロビオティックの役目の1つだと思います。

(1)(3)の事情はものによって異なり、肉の場合は(1)はさほどではありませんが、前回書いた通り(3)の問題はあります。逆に甘いもの(砂糖)の場合は(3)は問題になりませんが(1)が大変。何をやめるにしても一筋縄ではいきませんね。精進精進。