理科系人間のマクロビオティックメモ

マクロビオティック・健康に関する考察と情報をつれづれなるままに。

胃痛とつきあう(5) 再発

2005-03-30 | 一病息災
~ 199X年 ~

十二指腸潰瘍をやった時から再発防止のために処方されていた薬、セルベックスガスモチンはずっと飲み続けていたのですが、さぼりさぼりでした。喉元過ぎれば... とはよく言ったもので、少し調子がよい時などはどうしても薬を飲むのがおろそかになります。

何年のことだったかもう忘れてしまいましたが、そうこうしているうちにまたかなり痛みだし、胃カメラで検査したところ潰瘍が再発していると言われました。

十二指腸潰瘍や胃潰瘍は再発しやすい病気と言われています。なぜなのかを調べてみたのですが、結局潰瘍のできる人はその原因となるもの(ストレス, 食生活など)がなかなか排除されないからまたできやすいというだけのことのようです。あと、胃カメラで見てみると十二指腸壁に潰瘍の跡がくっきり残っており、なんとなくその部分がまた潰瘍になりやすいのではないかという気がしてきます。

仕事上のストレスにしても食生活にしても特に改善していませんでしたから、再発したのは順当というか不思議はないという感じがしました。1回目の時と同じくきつい薬を飲んで治しました。

最近は十二指腸潰瘍・胃潰瘍の発症や再発にからむものとしてピロリ菌と呼ばれる細菌が注目されています。私も後にピロリ菌の検査を受けることになるのでした。

「ベジタリアンの医学」(2) マクロビオティック, 代替医療

2005-03-23 | 本の感想
・ベジタリアンの医学 (蒲原聖可) 平凡社新書

この本で印象深かったことのメインは前回書いた栄養素についての話と「多種類の植物性食品を組み合わせて適切に摂取すればベジタリアン食で栄養が不足することはなく、逆に様々な生活習慣病の予防などに効果がある」という結論なのですが、他に感じたことを少し。

・マクロビオティックについての記述
「日本人が始め、アメリカで広く知られるベジタリアン食」という位置づけで紹介していますが、「単なるベジタリアン食というより、生き方・思想である」とも述べています。
穀物(玄米)だけの食事、いわゆる7号食はやはり栄養が不足するという見解です。病気の治療に一時的に使うのはいいのかもしれませんが。私は家に一人でいて食事を自分で何とかしないといけないとき「ええい、7号食じゃ!」と玄米にごま塩だけの食事をすることがあるのですが、これは怠け者の単なる言い訳です。
それと、自然塩や未精製の植物性脂肪、湧き水などの使用は安全性の点(不純物混入のおそれ)から推奨できないとあるのですが、マクロビでも最近はそのあたりムチャな指導はしないのではないでしょうか。

・代替医療
ベジタリアニズムが医学界では「代替医療(Alternative Medicine)」の1つとしてとらえられているというのには違和感を覚えました(それが事実と反するという意味ではなく、そういう現状に対する違和感です)。代替医療というのは「通常の医療である現代西洋医学以外の医療」という意味ですが、「食生活の改善は通常の医療に含まれていない」というニュアンスを感じてどうも納得できないものがあります。とはいえ、普通の(西洋医学の)医者に行って受ける治療・アドバイスに同じ印象を受けるのも事実です。そのあたりは「胃痛とつきあう」シリーズでいずれ書いてみたいと思っています。

「ベジタリアンの医学」(1) 栄養素

2005-03-16 | 本の感想
・ベジタリアンの医学 (蒲原聖可) 平凡社新書

けろさんのブログで紹介されていたこの本を読みました。ベジタリアンと呼ばれる人たちの食生活について、現代医学・栄養学に基づいて様々な観点から淡々と述べられています。

ベジタリアン食というと栄養が不足するのではないかと思われがちですが、この本では「多種類の植物性食品を組み合わせて適切に摂取すればベジタリアン食で栄養が不足することはなく、逆に様々な生活習慣病の予防などに効果がある」と結論づけています。これは今では専門家の間の一致した見解となっているようです。

ベジタリアンたち(1)」でも書いた通り、ベジタリアンにもいろんな種類があり、肉・魚に加えて卵や乳製品も摂らない人たちをビーガン(Vegan)といいます。マクロビオティックをまじめにやると、ベジタリアンでの分類ではビーガンに相当します。この本に基づくと、ビーガンの栄養摂取について気になるのは以下の3つです(他の栄養素は問題なし)。

・ビタミンB12(血液の生成に必要)
活性型の(体に吸収される)ビタミンB12は動物性食品にしか含まれません。必要量は非常に少なく(1日に2μg台)、しかも体内に貯蔵がきくという性質がありますが、不足していると何年も経ってから欠乏症になることも考えられます。菜食を厳格に実践している人はサプリメントやB12添加食品を使う必要があるのかもしれません。

・ビタミンD(骨の形成に必要)
ビーガンはビタミンDが不足しがちになるような書き方がされています。しかし他で調べてみると、ビタミンDには植物性食品に含まれるD2(きのこ類に多い)、動物性食品に含まれるD3(魚介類・卵に多い)などがあり、体内での働きは同じだそうなので、ビーガンでも十分摂取可能ということにはならないんでしょうか?

・鉄分(酸素を運搬し貧血を防ぐ)
ビーガンでも不足しないようです。肉に含まれるヘム鉄の方が野菜の非ヘム鉄よりも吸収がいいのですが、ビタミンCと一緒に摂ることにより非ヘム鉄も吸収が促進されます。ただし気になったのは以下の記述。
~ マクロビオティックなど一部のベジタリアンでは、鉄不足が認められることがあります。この場合は、ベジタリアン食の不適切な選択方法に原因があります。~
実は私はマクロビを始めてから立ちくらみがするようになったので、肉を食べないせいで鉄分が不足してるのかなと思っていました。最近あるところで「マクロビオティックをやる人は根菜ばかり食べる傾向があり、葉野菜が不足しがち」という話を聞き、なるほどと思いました。マクロビでは陰性に傾いた人(冷え性とか)を指導することが多いので、比較的陰性な葉野菜より陽性な根菜を勧めがちで、結果としてほうれん草などに多く含まれる鉄分が不足するということがあるのではないでしょうか。

結局、動物性食品を摂らない場合にどうしても不足するのはビタミンB12だけのように思いますが、他の栄養素も不足しないようにバランスを考えることが必要です(これは肉食していても同じですが)。それを陰陽だけでコントロールできればいいのですが、当面は現代栄養学の助けを借りながら考えていこうと思います。

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マクロビや健康に関する本がたまってきたので、たまに感想を書きます。これを機にAmazonのアソシエイト・プログラムというやつに入ってみました。上記リンクからどなたかがこの本を購入すると私に少しだけ入るという寸法。こういうもので金もうけをする気はありませんが(というかそんなにもうかるわけがありませんが)、おもしろそうではあります。
追記: Amazonのアソシエイト・プログラムはこのブログでは停止しました。

何を食べないのか

2005-03-15 | マクロビを学ぶ
前回の「じゃあ何を食べるの!?」にはhallick先生mihooさんからコメントをいただき、なかなか氏のブログで採り上げてもらいました。あまり肩ひじ張らず、玄米菜食のおいしさ・楽しさを伝えることが大事ですね。

最近は健康問題に関心のある人が結構多いせいか、逆に「どういう食べ物に気をつけないといけないか」という話に発展することもあります。そういう話を何度かしているうちに、以下のような説明のしかたをするようになりました。

今の日本では、我々は体によくないものをいろいろと食べさせられています。それらは以下の3種類に分けられます。

(1) 化学物質
  食品添加物、農薬、薬など
(2) 精製食品
  白砂糖、精製塩、化学調味料、白米など
(3) 動物性食品
  肉、魚、卵、牛乳と乳製品など

(1)(2)(3)の順に体に悪いと言えます((2)(3)の順序はかなり大ざっぱですが)。そこで食生活を改善するためにこの順番で減らしていくことが考えられます。

まず(1)は食品ではないので、病気の時の薬を除き、減らすのにガマンは必要ありません。少しの費用と手間はかかりますが。

・調味料(塩・醤油・みそ・みりん・料理酒など)を無添加・伝統製法のものにする
  (厳密に言うと、精製塩を自然塩にするのは(2)への対処)
・無添加の食品をなるべく選ぶようにする
・野菜を無農薬のものにする
・薬をなるべく飲まないようにする(急病の時など、しかたない場合もあり)

日本人は平均すると1年に4kg(!)の食品添加物を食べているそうです。これを少しでも減らしたいところです。

(2)を減らすのには覚悟が必要です。特に砂糖。

・白米を玄米にする(苦手な場合は混合して炊いたり時々にしたりしながら徐々に)
・砂糖の入っている食品(特に菓子類)をなるべく食べないようにする
・白砂糖を代替糖(オリゴ糖・米飴など)に替える
・化学調味料の入っている食品をなるべく摂らないようにする
  (ところで、食品の原材料名のところに化学調味料は「調味料(アミノ酸等)」と書かれています。なぜこんな変な表記をするのでしょう?)

最後に(3)。これも、好きな人が減らすのは大変。

・肉・魚・卵をなるべく食べないようにする
・牛乳・乳製品をなるべく摂らないようにする

この説明は必ずしもマクロビオティックの考え方に沿っていないかもしれませんが、(2)(3)は極陽性・極陰性のものが中心になっているはずです。これらを避けた上でさらに陰陽のバランスのとれた食事をするように注意しましょうということになります。

「じゃあ何を食べるの!?」

2005-03-08 | マクロビを学ぶ
マクロビを始めてからかなり体重が減ったので、最近まわりの人に「やせたねー!」とよく言われます。これだけ言われるということは、昔太った時もみんな「太ったな」と思ってたんでしょうね。ほとんど言われませんでしたが。さて、「やせたねー!」のあとはやせた理由を聞かれることになるのですが、いきなりマクロビオティックがどうとか言っても通じないので、「米を玄米にして、おかずは肉や魚や乳製品を食べないようにしてるんです」と言っています。それに対する反応として多いのは以下の3つ。

(1) 「じゃあ何を食べるの!?」
(2) 「ベジタリアンになったの?」
(3) 「ヘルシー!」

(2)については「ベジタリアンたち(1)」「ベジタリアンたち(2)」で少し書きました。今回は(1)の話。(3)については別の機会に。

「何を食べるの!?」の意味するところは、主に「普通はおかずに肉とか魚の料理を食べるのに、どっちも食べなかったら何をおかずにするの?」ということだと思うのですが、この質問にいつもうまく答えられないのです。

「いや、野菜とか豆とか海草の料理で十分おいしいですよ」と言うのですが、「どんな料理?」とつっこまれると困ってしまいます。「野菜の蒸したのとか豆腐とかひじきの煮たのとか...」とか言っても全然おいしそうに聞こえないでしょうし。私自身は普段食べているものにかなり満足していて食事は楽しいのですが、肉も魚も乳製品も卵も食べないということは、ともかく食べるものの種類を狭めていることは確かなわけです。

一方、マクロビ料理を作っておられる人たちのブログを見ているととても楽しそうで、「マクロビオティック料理は奥が深い」と書かれているのをよく見かけます。実際、書かれている料理はどれもおいしそうです。それと「何を食べるの!?」とのギャップ。どういうことなんでしょう。

玄米菜食を実践するには、ある程度その考え方を知って納得することが必要ですし、実践しているとだんだん玄米や野菜がおいしく感じられるようになってきます。さらに無農薬のおいしい野菜やよい調味料などを選ぶようになって余計においしくなったりもします。結局こういうステップを踏まないとギャップは埋まらないような気がして、「何を食べるの!?」に対する適切な答え方が見つからないのです。どなたかうまい答え方を御存じの方がおられましたらぜひ教えてください。

砂糖の周辺(4) 甘いものを控えるには(後編)

2005-03-04 | マクロビを学ぶ
砂糖を使った甘いものを控えるにはどうすればいいのかについては、ブログ「マクロビという考え方」の「うまく甘いものをとる方法」でも議論がありました。難しいですね。砂糖不使用のお菓子は私もいくつか買ってみましたが、いかんせん高い上にバリエーションが少ない。大手菓子会社の普通の(砂糖入り)お菓子の広範さと価格は圧倒的です。

自分で作る場合は、代替糖(砂糖以外の糖分)を使う手があります。我が家では砂糖を全部捨ててしまい、たまに「ぜんざい食べたい」というようなときはオリゴ糖、玄米水飴、羅漢果などを使うようにしています。

ブログ「桜子の美健楽ダイエット・ダイアリー」の中の心(食欲コントロール系)カテゴリで、甘いものを抑えるための心がまえや対処法を書かれています。その中の「甘味&ジャンク食欲は“麻薬”」によると、甘いものやジャンクフードへの食欲を抑える有効な方法は、

(1) 3~6ヶ月間の完全断ちをしてから
(2) 以後は少量を味わって食べる

だそうです。(1)により中毒の原因である脳内快楽物質が減少して禁断症状が自制しやすくなるので、そのあと(2)で少量だけゆっくり味わって食べるようにすれば、満足しかつ食べ過ぎないようにできるとのこと。といっても(1)を実行するのは大変だと思いますが。

前回書いたように砂糖は麻薬のようなもので、またチョコレートなどは「チョコレートからヘロインまで」(A.ワイル・W.ローセン、第三書館)というドラッグ本があるぐらいです。いずれにしても(1)をやるには、ヤクザ映画で更生しようとする男が部屋にこもって七転八倒しながら体からヤクが抜けるのを待つシーン(って通じますか?)を思い出してがんばる必要があるかも。別に部屋にこもる必要はありませんが。

砂糖の周辺(3) 甘いものを控えるには(前編)

2005-03-02 | マクロビを学ぶ
いろんな人の話を聞くと、マクロビで「できるだけ食べないように」と言っているもののうちどうやら砂糖(甘いもの)をやめるのが一番大変なようです。例えば肉については、肉好きの私がほぼやめられたことからするとそれほどでもない(あくまで比較論ですが)し、精製塩は自然塩にすればいいし、食品添加物や農薬はそもそも食べたいものではありません。しかし甘いものが人を束縛する力というのは相当なものがあります。

特に女性の場合、ストレスがたまるとエストロゲンというホルモン(食欲を抑える)が出なくなってしまうので甘いものがほしくなるそうです。男の場合はアンドロゲンという男性ホルモンが生まれつき脳に存在し、その作用で甘いものをセーブすることができます(これもあくまで比較論)。この話を聞いてから、女性が甘いものに走るのを「辛抱が足りない」と思わないようになりました(脱線しますが、テレビを見てる時に話しかけられても聞いてないのは男の脳の構造によるものなので大目にみてほしい)。

砂糖には

・食べると気分が落ち着く、ストレスがおさまる
  糖分にはセロトニンという精神安定物質を分泌させる働きがあるため
・構造が単純な上に化学精製されていて純度が高いので、その分精神安定効果が高い
・しかし精製されていることによっていろいろな害がある
  インシュリン異常分泌、低血糖、ミネラル喪失、体を冷やすなど

という性質があります。この「精製されているがゆえに快感が大きいが害も大きい」という構図は精製麻薬(コカイン、ヘロインなど)と全く同じです。他に砂糖特有の性質として

・たくさん食べてもいやにならない
  料理で100gも200gも使う(お菓子だとそれぐらい入れますよね)調味料は砂糖だけ
・時と場所を選ばない
  バッグに肉をしのばせている人はいないが、甘いものは仕事中でも食べられる

これらの事情が余計にやめにくくさせています。砂糖というのはこれだけ厄介なものだということを肝に銘じておく必要があります。

...と理屈を並べても、食べたいものは食べたいんですよね。簡単にやめられる方法はないんですが... つづく。