理科系人間のマクロビオティックメモ

マクロビオティック・健康に関する考察と情報をつれづれなるままに。

40歳からの元気食「何を食べないか」 さらに補足

2006-02-17 | 本の感想
REVさんから、「"40歳からの元気食「何を食べないか」 補足"」という記事でさらに返答をいただきました。

 栄養は、体の「健康」を保つための要素だけれども、栄養があれば「健康」を保てる、というものではありません。どの「栄養素」が足りなければ、どういう疾患が発生する、というデータは沢山蓄えられています。また、どの「栄養素」が過剰になると、どういう疾患が発生するか、というデータも、沢山蓄えられています。で、私個人としては、特別な水を飲むと、ガンが治るとか、なにかとなにかを一緒に食べるとガンにならないとか、そういう説は信じていません。
 ただ、あくまでこれは、生理学的、医学的な物語です。人間に最適な栄養素を投与すれば、成人病の発生も癌の発生も最小限に抑えられるかもしれません。でも、それは、社会的な人間には相応しくありません。医学、生理学、栄養学によって提示された枠の中で、食生活という物語を提示する、その際に、伝統的な日本食を中心とする、それは非常に納得できる話です。

ほぼ全面的に賛成です。「社会的な人間」に対して「医学、生理学、栄養学によって提示された枠の中で、食生活という物語を提示する」、まさにその通りだと思います。そういう意味での「バランス」が求められるのでしょう。
 それでも、「食事の中には、分析できない何かがあり、それが、健康に重大な役割を果たしている」という発想がどこかにあるとすれば、やはり私はそれに反対するでしょう。

これは興味深い問題で、例えば「生命のあるものには生命固有のエネルギーがあり、それを食べることが健康に役立つ」という考え方があります。これに対し、「そういうものがあるとしてもそれは(いつかは)分析・検証できるはずだ」という立場をとるのが科学だと思いますし、私もその派です。でも少なくとも現状はわからないことだらけ。では今はどうするか、ということから栄養素や伝統的な日本食という話になるわけですね。

40歳からの元気食「何を食べないか」 補足

2006-02-15 | 本の感想
前回の記事の
食べ物についての基本的な考え方として
・人間が生きていくのにどんな栄養素がどれだけ必要かは誰にもわかっていない
・したがって、栄養素だけを元にした「栄養のバランス」にこだわっても意味がない
・それよりも、日本人は独自の食事で長い間健康にやってきたという実績があるのであるから、日本の伝統的な食文化をベースにした食生活を心がけるべきである
と主張されているところにもマクロビオティックと通じるものがあるように思います。

という部分について、REVさんが"「本当のところは誰にもわからない」論理"で以下のように書かれています。

不可知論→任意の命題の肯定、というコンビネーションの良い見本。
たとえば
「安全運転をしていても、事故にあうことだってある」→「スピード出したって同じだ」
「科学がすべてを説明できるわけではない」→「ヒトは(中略)が造られた」 
というふうに使われる。
・人間が生きていくために必要とされる栄養素は、大体分かっている。
(栄養学の本に書いてある)
 それを摂取すれば、100万年老化せず銃弾にも負けないわけじゃない。でも、逸脱すると不健康になる。
・日本人が独自の食事で「長い間」健康にやってきたのか?平均寿命って昔のほうが長かったのか?
 と、突っ込みたくなる。

なるほど。私の要約はちょっと舌足らずでした。この本の主張するところを改めてまとめてみます。

まず、人間が生きていくのに必要だと思われる栄養素はだいぶわかっていますが、全部でどれくらいあるのか、どれだけ摂ればいいかのは明らかになっていないのが現状でしょう。一般に目安として決められている所要量というのはありますが、それだけ摂っていれば大体健康でいられる、とは限らないし、そんなに摂らなくても(あるいは少々多すぎても)支障のないこともあるようです。また、複数の栄養素の組み合わせにおいてどうなるのか、各栄養素をどういう形で摂るといいのか(生の食品なのか、あるいはどういう調理法か、はたまたサプリメントでもいいのか)も含めると、それこそ「本当のところは誰にもわからない」と思います。

したがって、ミクロな栄養素だけに注目した「バランス」にこだわるのは危険だと言えるでしょう(「意味がない」とまで書いたのは勇み足でしたか(^-^;))。そもそも栄養のバランスがとれた状態というのがどういう状態なのかはっきりわかっていません。

これに対し、日本人は長い歴史の中で独自の工夫を食生活に加えてきて、昔の医療・衛生事情や食料不足を考えれば健康な暮らしを送ってきたと思われます。特に今でいう生活習慣病のようなものは昔はずっと少なかったわけです。だからその経験則をベースに、どんな栄養素がどう作用しているのかはわからないけど伝統的な日本食を中心とした食生活にしていきましょうというのが主張だと思います。分析 vs. 経験則というところでしょうか。

上の安全運転の話に対応させると
・「栄養素の必要量は誰にもわからない」→「ムチャクチャな栄養摂取をしたって同じだ」
ではなく、
・「栄養素の必要量は誰にもわからない」→「栄養素の量という数字に頼らず、これまでの歴史で作られてきた食生活の経験則を活用しよう」
です。ただ、もちろん現代栄養学・医学のよい成果は取り入れていくべきで、どういうバランスで活用していくかという問題になると思います。

40歳からの元気食「何を食べないか」―10分間体内革命

2006-02-12 | 本の感想
・40歳からの元気食「何を食べないか」―10分間体内革命 (幕内秀夫) 講談社プラスアルファ新書

「粗食のすすめ」シリーズで有名な幕内秀夫氏の本です。働く40代をメインターゲットとして、具体的にどういうものをどうやって食べたらいいか、そして何を食べないようにしたらよいかを解説しています。私も40代に突入していますので、興味を持って買って読んでみました。

マクロビオティックという言葉は出てきませんが、主張するところは「米食中心に」「副食は季節の野菜を中心に」「砂糖や油を摂り過ぎない」「動物性食品は肉より魚を」など、かなり共通するところがあります。あまり厳格なことは言わず、かなり現実的な路線で書かれています。

食べ物についての基本的な考え方として
・人間が生きていくのにどんな栄養素がどれだけ必要かは誰にもわかっていない
・したがって、栄養素だけを元にした「栄養のバランス」にこだわっても意味がない
・それよりも、日本人は独自の食事で長い間健康にやってきたという実績があるのであるから、日本の伝統的な食文化をベースにした食生活を心がけるべきである
と主張されているところにもマクロビオティックと通じるものがあるように思います。

印象的だったのは、「添加物の多いコンビニおにぎりと安全なパンはどちらがいいのか」という話。日本のパンには砂糖やバターなどがかなり含まれており、またパン食だとパンに塗るものやおかず・飲み物でどうしてもこってりしたものを摂ることになります。だから総じてパン食は勧められないといことになるわけですが、だからといって外でおにぎりを買おうとすると、コンビニのおにぎりには添加物がいっぱい。私もまわりの人に「コンビニで朝食を買うならパンよりおにぎりにした方がいい」と言うと「でもコンビニのおにぎりには添加物が多いから」とよく言われます。

この問いに対する正解はありませんが、自分の食生活をトータルにみて自分で答を出すべきというのがこの本の主張だと思います。その1回だけを見ればパンの方がおにぎりよりよいということになるかもしれませんが、そこでパンを選択する人は他の場面でもパンやこってりしたものを選び、そういうものが中心の食生活になってしまうかもしれません。そこまで含めて考えた上で選ぼうということです。全体としてごはんを中心とした食生活を確立した上で、かつなるべく添加物を避けるようにできれば理想的ですが。

40代に限らず、忙しくて食事が乱れがちという人には参考になる本だと思います。

「からだの自然治癒力をひきだす食事と手当て」

2005-12-29 | 本の感想
・からだの自然治癒力をひきだす食事と手当て (大森一慧) ソレイユ出版

マクロビオティックの考え方と様々な手当て法を解説した本です。著者は故・大森英櫻翁の奥さん。陰陽のバランス、「身土不二」「一物全体」や食品ごと・季節ごとの食べ方などの基本について述べたあと、具体的な食事療法・手当て法についてかなりのページを割いています。本全体ではかなり内容がありますが、5章以降(後ろの3分の2近く)の手当て法はリファレンスとして必要な時に読めばいいので、最初に読むべき部分はそれほど多くありません。手当て法の部分は、自分や家族が体調をくずしたときなどによく見ています。

大森英櫻翁の講義録などを読むと、動物性食品や砂糖の摂取についてかなり厳しく戒めていたりしてストイックなイメージがあるのですが、奥さんのこの本はあまり厳しいことは言わず、バランスを重視した書き方になっているのでとっつきやすいのではないでしょうか。動物性食品の毒消しの方法も載っています。

大森英櫻翁の場合には、無双原理の根本から説かれているのと病気を治すための食事に関する講義や文章が多いためにどうしてもストイックな内容になり、対してこの本ではあくまで普通の人の一般の生活でどうすべきかを書かれているのでマイルドな内容になる、というのがあるのではないかと思っているのですが、どうでしょうか(識者のコメント求む)。

この本で印象的だったのは、毒消しの方法のところに「砂糖の毒消し法はありません」とあること。肉・魚・乳製品や酒に加えて、タバコですら毒消しの方法(味噌)が載っているのに。ただし、「砂糖の害で脳神経がボケたときに、良質のでんぷん質(ご飯やくず練り)にごま塩を加えたものを食べさせると、よだれがダラダラ出て治ることがあります」とのことです。

マクロビオティックに興味を持った人のうち割とちゃんと本を読んでくれそうな人にはこの本を、そうでない人にはマクロビオティックガイドブックを勧めることにしています。

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最近あまりにも忙しくて、更新の時間が全くとれませんでした。今年の記事はこれが最後です。今日から不在にしますので1週間ほどネット不通になります。みなさんよいお年を! 来年もよろしくお願いします。

「胃腸は語る」

2005-09-12 | 本の感想
・胃腸は語る―胃相 腸相からみた健康・長寿法 (新谷弘実) 弘文堂

先日講演会レポートを書いた新谷先生の本です。大腸内視鏡(コロノスコープ)による検査・治療の第一人者として、胃や腸の様子「胃相・腸相」と病気(特に生活習慣病)との関係、胃相・腸相をよくする(→健康を保つ)食生活、健康のために摂るべき食品・栄養素の詳細などについて書かれています。

胃相・腸相の話では、食生活がよくないと胃や腸の状態が悪くなること、それが病気を招くことが解説されているわけですが、「胃相・腸相」を掲げているからには、よい胃相・腸相、悪い胃相・腸相がどんな状態なのかをビジュアルでもう少し詳しく書いてあった方がよかったと思います。講演会の時のようにビデオで見せることは無理としても。

あとの章はわかりやすい内容でした。食べ物だけでなく、水の飲み方についてもある程度詳しく書かれているのは勉強になります。さらに、ガンを中心とする主な病気と食生活について。個人的には「胃のピロリ菌(胃・十二指腸潰瘍の原因とされる)を安易に薬で除菌するのは危険」というのが耳の痛い話でした。何年か前に薬で除菌しましたので。

各食品や栄養素の話はかなり詳しくなっています。「今の食生活では早死にする」を読んだ時にも感じたことですが、ビタミンやミネラルの摂取不足には特に気をつけなければならないと思いました。

先日の講演で詳しく説明のあった酵素については、研究が進んだのが4、5年前からだそうで、この本はその前に書かれているからか、ほとんど記述がありません。

食生活の指針だけでなく、病気別・栄養素別に少し細かい話を読みたい人にはおすすめの本です。全体的な考え方をサッと知りたいとか酵素(エンザイム)に関することを読みたい場合は、先生の「病気にならない生き方」(私はまだパラパラと見ただけですが)の方がいいかもしれません。

マクロビオティックガイドブック

2005-08-23 | 本の感想
・マクロビオティックガイドブック―体と心をはぐくむ食養法 (日本CI協会, 正食協会)

マクロビオティック関連の団体である日本CI協会と正食協会が共同で作成した、その名の通りマクロビオティックのガイド本です。Amazonなどでは在庫があったりなかったりですが、健康食品店に行くとよく置いてあります。

100ページちょっとの中に、マクロビオティックの基本的な考え方、陰陽の話、食品の選び方などについて簡潔にまとめてあります。食べ物の陰陽表もちゃんと載っています。レシピや手当て法、各種情報のページもあるので、最初に読まないといけないところはかなり少なく、とっつきやすい本です。

レシピのところは「基本食から作ってみよう」というだけあって、料理下手には役に立つ基本的なものばかりです。私はこれまでにきんぴらやひじきれんこんを何回か作りましたが、未だにこの本を見ながらでないと作れません。つくづく覚えが悪い。

今まで、食生活の改善に興味のありそうな何人かの人にこの本をあげたのですが、マクロビオティックの実践を始めた人は今のところ皆無です。「3つのこと」で書いたこととも関連しますが、ある程度自分の状況に危機感を持っていて、かつこの本に書いてあることに何かピンとくること(単に「ヘルシーでよさそう」とかではなく)がないと行動にまでは移さないものなのかもしれません。それと今見返してみるとこの本、最初の部分(マクロビオティックの紹介)がちょっと宗教がかった感じがするかな? 別に宗教が悪いわけではありませんが、とっつきやすいかどうかという意味で。

いずれにせよ、マクロビオティックを知らない人に面倒くさがらずに読んでもらいたいならこの本がいいのではないかと思います。

「食べもので病気は治せる」

2005-06-27 | 本の感想
・食べもので病気は治せる―桜沢・大森の正食医学理論 (石田英湾) 新泉社

私が最初に読んだマクロビオティック関係の本です。マクロビ四天王の1人である大森英桜氏の正食医学を中心に、マクロビオティックの歴史や陰陽などの基本、現代医学との違い、正食のあり方などについて書かれています。

正直言って、かなり読みにくい本でした。いきなり「宇宙の秩序」を説かれても理解(というか実感をもつこと)が難しいし、同じようなことを何度も読まされる上に文章もうまくありません。特に、正食医学の概要を述べているI~III章の内容はもっと簡潔にすませてほしかった。IV章以降の玄米正食や陰陽についてももう少し系統立てて説明してくれるとよかったのですが。どうも大森氏の活動についてはわかりやすく書かれた本があまりないようで、残念なことです。

とはいえ、食事療法というものの存在やマクロビオティックの考え方の基本の基本のようなものはこの本で理解でき、そんなに効果のあるものならもっといろいろ調べてみようという気になったのでした。その後読んだ本にはもっとわかりやすいものもありましたので、ここでおいおい紹介していこうと思います。

「いまの食生活では早死にする」

2005-06-12 | 本の感想
・アメリカ上院栄養問題特別委員会レポート いまの食生活では早死にする―自分の健康を守るための指針 (今村光一 抄訳・編) リュウブックス

ジョージ・マクガバン議員を委員長とするアメリカ上院栄養問題特別委員会が1977年にまとめた食生活の現状に関する報告書、通称「マクガバン・レポート」を元に、欧米だけでなく日本の食生活についても考察し警告を発する本の改訂最新版です。マクガバン・レポートについてはマクロビ本でよく引き合いに出されるので、どんな内容なのか知りたいと思っていました。

この本が紹介されていたけろさんのブログでのコメントのやりとりで「男性向きの本だ」という話がありましたが、まさにその通りだと思います。あくまで調査結果と現代医学・栄養学の研究成果を元にしていますが、主張していることは「未精製穀物を中心に」「砂糖を減らす」「動物性食品を減らす」など、マクロビオティックとかなり共通しています。引き合いに出される理由がよくわかりました。

この本で挙げられている現代食生活の問題の中では、カロリー源の問題(動物性・砂糖の過剰)にも増してビタミン・ミネラルの不足が克服困難に感じられました。多種類のビタミンやミネラルのうちいずれが不足しても健康に悪影響があるという性質がある(この本では「生命の鎖」という言葉で表現)上に、化学肥料や農薬によって食品中の含有量が減ってきているからです。

マクガバン・レポートに出てこない(と思われる)ものも含めた様々な研究結果についても紹介されています。その中で興味深かったものをいくつか拾ってみます。

・アメリカに移住した人たちは、世代を経ると各ガン(大腸ガン、胃ガン、乳ガンなど)の発生比率がアメリカ人に似てくる
・脂肪を多く摂ると、腸内細菌のうちデオキシコール酸という発ガン性物質を生成する細菌が増える(→ 欧米人のように大腸ガンが増えると考えられる)
・脂肪は肥満の原因となるだけでなくインスリンの働きを直接阻害する性質があり、摂り過ぎると糖尿病の原因となる。逆にでんぷん質にはインスリンの効率を高める性質がある
・20世紀初頭のアメリカ人は今よりもカロリー摂取量が多かったが、肥満などという問題はなかった。今は食事のバランスが悪く、エネルギー代謝効率が低下している(同時に、カロリーだけを指標にしてもダメということを表していると思います)
・マクガバン・レポートによると、アメリカ人の摂取カロリーの24%は砂糖。また北欧三国ではカロリーの60%を脂肪と砂糖で摂っている。20世紀初頭には30%以下だった

食生活について、情緒的・思想的でないものを読みたい人にはオススメの本です。

「デブの帝国」

2005-04-17 | 本の感想
・デブの帝国―いかにしてアメリカは肥満大国となったのか (グレッグ・クライツァー) バジリコ

ふざけたような邦題と表紙ですが、中身はまじめです。

アメリカへ行って、そこでかいま見ることのできる彼らの食生活に驚かされた経験のある人は少なくないと思います。レストランで出てくる料理の量、脂っこさ、砂糖・バター・ハチミツなどの使い方。それにコーラのような甘いものばかり飲んでるし。友人に聞いた話では、全摂取カロリーのうちアメリカ人全体の平均で7%、子供ではなんと10%~20%をソフトドリンクから摂取しているそうです。お茶を飲めばいいのにと思ってしまうのですが。

近年アメリカでは肥満が激増しています。この本では、その原因となった事柄を政治・教育・食品産業を中心につづっています。高果糖コーンシロップ(HFCS: 日本人が発明)・パーム油などの安価な甘味料・油の開発と政府の推進、ジュースやファーストフードの自動販売機・屋台の学校周辺への設置、外食産業のスーパーサイズ戦略などなど。日本も同じような方向に進んでいることは間違いないわけで、他山の石としなければなりません。

ちょっと驚いたのは、アメリカでは「子供の食事は制限せずにどんどん食べさせるべき」という考え方が流行していたということ。背景や詳しい内容はわかりませんが、それはまずいんじゃないでしょうか。

この本、出来事の細かい内容ばかりがどんどん続くのでかなり読みにくく、最後の方は流し読みになってしまいました。もう少し考察を加えてくれるとよかったのですが。例えばこういう事態を引き起こしたアメリカ人の文化的バックボーンについてもっと書いてほしかった。

最近知ったのですが、スーパーの加工食品の原材料名表示でよく見かける「ぶどう糖果糖液糖」「果糖ぶどう糖液糖」「高果糖液糖」というのはいずれもコーンシロップのこと(果糖の含有率により名前が異なる)なんですね。砂糖よりはましなのかなと思っていたのですが、この本によるとインシュリンの分泌を阻害して糖尿病の原因となる可能性があるとのことなので、注意が必要です。

アメリカ人の食生活といえば、最近スーパーサイズ・ミーというドキュメンタリー(?)映画がありました。監督自身が1ヶ月間ファーストフードだけを食べるというもの。3日も経たないうちに吐き気を催しそうですが... こわいもの見たさでDVDでも借りてみようかと思っています。

「ベジタリアンの医学」(2) マクロビオティック, 代替医療

2005-03-23 | 本の感想
・ベジタリアンの医学 (蒲原聖可) 平凡社新書

この本で印象深かったことのメインは前回書いた栄養素についての話と「多種類の植物性食品を組み合わせて適切に摂取すればベジタリアン食で栄養が不足することはなく、逆に様々な生活習慣病の予防などに効果がある」という結論なのですが、他に感じたことを少し。

・マクロビオティックについての記述
「日本人が始め、アメリカで広く知られるベジタリアン食」という位置づけで紹介していますが、「単なるベジタリアン食というより、生き方・思想である」とも述べています。
穀物(玄米)だけの食事、いわゆる7号食はやはり栄養が不足するという見解です。病気の治療に一時的に使うのはいいのかもしれませんが。私は家に一人でいて食事を自分で何とかしないといけないとき「ええい、7号食じゃ!」と玄米にごま塩だけの食事をすることがあるのですが、これは怠け者の単なる言い訳です。
それと、自然塩や未精製の植物性脂肪、湧き水などの使用は安全性の点(不純物混入のおそれ)から推奨できないとあるのですが、マクロビでも最近はそのあたりムチャな指導はしないのではないでしょうか。

・代替医療
ベジタリアニズムが医学界では「代替医療(Alternative Medicine)」の1つとしてとらえられているというのには違和感を覚えました(それが事実と反するという意味ではなく、そういう現状に対する違和感です)。代替医療というのは「通常の医療である現代西洋医学以外の医療」という意味ですが、「食生活の改善は通常の医療に含まれていない」というニュアンスを感じてどうも納得できないものがあります。とはいえ、普通の(西洋医学の)医者に行って受ける治療・アドバイスに同じ印象を受けるのも事実です。そのあたりは「胃痛とつきあう」シリーズでいずれ書いてみたいと思っています。