理科系人間のマクロビオティックメモ

マクロビオティック・健康に関する考察と情報をつれづれなるままに。

朝食の是非

2006-05-28 | マクロビを学ぶ
マクロビオティックを知ることによりぶつかった主張の中で、「牛乳は体に悪い」と並んで驚いたものの1つが「朝食は摂らない方がよい」というものです。私は子供のころからずっと「朝は絶対何か食べる」派で、以前はトースト1枚とおかず、あるいはトースト2枚を食べていました(そして牛乳も飲んでいたわけですが)。そして「朝食抜きだと一日中力が出ない。絶対食べるべき」と言っていました。そもそも寝ている間は何も食べないわけですから、1日中で最も腹が減っている起きぬけにしっかり食べておくのは当然だと思っていたのです。マクロビオティックを知ってからも、しばらくは朝から玄米を茶碗3杯とか食べることもしばしばでした。

ところがマクロビオティックに限らず、最近は「朝食は摂らない方がよい」という話を結構聞きます。以前、フジテレビ系「めざましテレビ」の「めざましどっち?」という視聴者アンケートのコーナーの中で「朝ごはん 食べる or 食べない?」というアンケートがありました(2006年1月25日放送)。結果は「食べる」が82.3%と多数派でしたが、そのコーナーでの朝食に関する研究結果紹介では、「朝食は摂らない方がよいという説もある」という取り上げられ方でした。「摂らない方がよい」派も市民権を得てきているという印象です。

では結局どちらがよいのでしょうか。朝食を摂るのにも摂らないのにもどちらもメリット・デメリットがあり、どちらの道を選んでも多かれ少なかれ「あちらを立てればこちらが立たず」の状況になります。このような状況をトレードオフといいます。こういう場合にはメリットとデメリットをきちんと整理して、自分にはどちらが向いているのかを判断することになります。

[朝食を摂るメリット]
・栄養が補給され、一日の活動源となる
・特に脳に栄養が行くので活力・集中力が増す
[朝食を摂らないメリット]
・消化活動をせずに内臓を休める時間が長い(前日夜~昼食)ので不要物の排出がうながされる
・消化器系を活動させなくてよいので体が楽になり、活力・集中力が増す

これらを比較するということになると、要するに「栄養の摂取」と「内臓を休める」のどちらを朝のうちにやるべきかという問題になります。「活力・集中力が増す」が両方に出てきていますが、これも脳が力を発揮するためには栄養を摂った方がいいのか内臓を休めた方がいいのかというのがポイントになります。

私は以前は栄養補給の観点のみで考えていたのですが、どうも人間の体というのは長年の歴史の中で空腹には強くできており、栄養が外から補給されなければ老廃物を燃やすなどして活動できるので、朝の段階では排出や内臓の休養を優先した方がいいように思います。

ただし人によっては
・朝のうちに栄養補給しないと低血糖症状(ふらつきなど)が出る
・胃が空になる時間が長いと胃液が出すぎて胃が荒れたり潰瘍ができたりする
というようなことがあり、その場合は何か食べた方がよいと思われます。また、子供の場合はどうやら成長のために朝食を摂って栄養を補給した方がいいようです。そもそも子供に空腹の状態で昼まで過ごせというのは酷かもしれません。

私も朝は内臓を休めることにしたのですが、空腹時に胃液が出すぎる傾向があるので、消化しやすいものを少し入れることにしました。最初は野菜ジュースにしていたのですがこれだと体が冷えるので、今は毎朝納豆2パックだけを食べています。最初は昼までにかなり腹が減ったもののそのうち慣れてきて十分昼までもつようになり、1年以上この朝食が続いています。「慣れてくる」というのがポイントで、だんだん朝食の少ない生活に体が順応してきます。食欲があまりないときは梅醤番茶だけとかにして無理に食べないようにできるようになったので、そのうち朝食は全く抜くようにしようかと思っています。

[参考ページ・書籍]
1日2食健康法
・長生きしたければ朝食は抜きなさい(東茂由・甲田光雄) KAWADE夢新書

マクロビ井戸端会議に参加して

2006-05-07 | マクロビを学ぶ
書くのが非常に遅くなってしまいましたが、4/16の「我や(GAYA)井戸端会議」(東京)と4/29の「井戸端会議@善右衛門的カフェ」(京都)に参加しました。世話役の方々、そしてお会いしたみなさん、どうもありがとうございました。会の様子についてはいろんな方がレポートされている通り、どちらも肩ひじ張らずいろんな話ができて楽しい場でした。

最近、マクロビオティックについて「正しく実践するのは結構難しい」ものだという印象を抱いていました。正しく実践すれば効果があるけど、かなりうまくやらないといけないというイメージ。「外食時に食べるものが難しい」「まわりの理解が得られにくい」というような実践的な困難だけではなく、例えば動物性食品や芋類・ナス科の野菜、米の食べ方(極端な話としては7号食の是非)など、マクロビオティックの中でも扱いが分かれているものもあったりして、変な理解のしかたで下手な実践をすると栄養不足を招くこともあるわけです。そのあたりのところをみなさんはどう対応しておられるのかについて興味を持っていました。

井戸端会議に参加されていた方たちは、マクロビオティックを始められた動機(病気を治そうと思った、もともと自然志向の食事が好きだった、など)は様々であるものの、とても自然に実践されている方が多いなと思いました。自分の体に聞き、自分で考えて実行する。女性の方が多かったので余計にそう感じたのかもしれません。

そして、マクロビオティックや正しい食生活というものを理解するやり方は人それぞれだということを強く感じました。何を食べるか、食べないようにするか、どういうことを行い、どういうことを戒めるかについて、基準や納得のしかたはみんな違います。マクロ美風さんの記事で「自分の物差し」ということを書かれていましたが、まさにそれですね。私自身の「物差し」はかなり変わってるなということも感じましたが(^-^;)。そして井戸端会議やブログというのは、それぞれ自分の物差しで考えたことを交換・共有し、発展させていく場でもあります。

それにしても、あれだけたくさんの女性に囲まれて話をしたのは久しぶりでした。普段は仕事にしても遊びにしても男ばかりの環境にいるもので... ただしそんな中でお会いした男性陣はみなさんすごい人ばかりでした。どの方のことも見習いたいものです。

また参加したいと思います。その時はみなさんよろしくお願いします。

牛乳の害(3) 代替乳その2

2005-12-07 | マクロビを学ぶ
代替乳の話」で紹介したオートミルク(オーツ麦からつくった乳飲料)の商品「オートドリーム」、どうも日本ではあまり売られていないようなのですが、ダメもとで注文してみたら先日送られてきました。さっそく家族を巻き込んで飲んでみました。

原材料は「有機オーツ麦、有機ひまわり油、海塩」。色は真っ白ではなくてちょっとだけ色がついた感じ。砂糖は入っていないのですが、結構甘くて独特の風味があります。牛乳や豆乳より濃厚です。私と妻の評価は「悪くない。でもしょっちゅう飲むのなら豆乳の方がいい」。頻繁に飲むのなら飽きのこないあっさりした味のものがほしくなります。ただし甘い飲み物を常飲できる人にはオートミルクの方がいいかもしれません。豆乳の苦手な長女も「まあまあ」だと言ってましたから、子供にとっては豆乳より飲みやすいのではないかと思います。甘さと風味を活かすことができれば料理にも使えそうです。

料理といえば、妻は最近ホットケーキを豆乳で作っているようです。牛乳の代わりに豆乳を入れるとふわりといい感じに焼き上がるそうです(割と知られた事実なのでしょうか?)。それならと無糖ホットケーキミックスと組合わせて作ってもらったのですが、豆乳だけで砂糖が全くないと固くなってしまうようです。

お菓子やホットケーキを作る時、砂糖は甘くするだけでなくその保湿性から全体をふっくらとさせる働きを持っており、これが砂糖をやめたり減らしたりする妨げになっていると思います。米飴、オリゴ糖などで代わりのきく場合はいいんですが。

牛乳の害(2) 代替乳

2005-11-22 | マクロビを学ぶ
牛乳の害の話からはちょっとはずれるのですが、今回は代替乳、つまり乳糖不耐性やアレルギーの対策として牛乳の代わりに使用する飲み物の話です。牛乳を飲まないからといって別に代替乳を飲む必要はなく、他の食品でも同等の栄養は摂れるのですが、料理に使う用途も含めると需要は大きいようです。

日本で牛乳の代わりになるものといえば、代表的なものは豆乳です。一般に「豆乳」と名がついて販売されているものには以下の3種類があります。

・豆乳: 大豆をしぼって水だけで作った無調整のもの
・調整豆乳: 豆乳に砂糖などを加えて飲みやすくしたもの
・豆乳飲料: 果汁を入れたり他の成分を入れたもの

無調整の豆乳を飲むのが一番いいと思いますが、いかんせん味がユニークなので、苦手な人が多いですね。だから他の2つが普及するんだと思います。

himazu blog - 乳糖不耐性と燕麦乳」で、オーツ麦(燕麦[エンバク])から作ったオートミルク(燕麦乳)の話が紹介されていました。スウェーデンのルンド大学の先生に対するインタビューです。以下のページでMP3ファイルをダウンロードすることができます。

IT Conversations: Richard Oste - BioTech Nation

最近iPod nanoを買ったので、ダウンロードして聴いてみました。himazuさんのまとめと重複しますが、要点をまとめます。

・人間は、ある程度の年齢になると乳糖を分解する能力を失う方が一般的。一部の地方(スウェーデンのような北の国、ラクダの乳を飲む北アフリカのハム語族の一部やマサイ族など)では例外的に乳糖を分解できる人の方が多い
・アメリカはかなり人種が混合しているが、50~60%が乳糖不耐性なのではないか
・スウェーデンにも少数いる乳糖不耐性の人のための飲み物として、1989年ごろからオートミルクの研究を始め、1995年ごろに製品化した。スウェーデンでは豆乳よりずっと普及している
・オートミルクは豆乳より味がよく、クリームにすることもできる。牛乳アレルギーの子供の30%は豆乳でもアレルギーになるが、オートミルクはそのようなことはない。また、牛乳になく豆乳にも少ない食物繊維が多く含まれている
・他の国でも普及させようとしており、食物繊維やカルシウムの摂取の少ない中国に展開しようとしている。中国で牛乳の生産量を増やすには多額の投資が必要だが、オートミルクなら簡単

聴いた限りではいいことずくめですが、どんな味がするんでしょう。はたして日本人の味覚に合うかどうか。日本には「オートドリーム」という商品として入ってきているようなので、飲んでみようと思って注文したのですが、残念ながら欠品状態のようです。手に入ったら飲んで感想を書きます。

牛乳の害(1) 乳糖不耐性

2005-11-07 | マクロビを学ぶ
マクロビオティックを知ってからいろいろなことを調べてみて驚いたことの1つが「牛乳は体に悪い」ということでした。小さいころから「牛乳をどんどん飲みなさい」と言われて育ってきましたから。

ただし、

・牛乳を飲むと腹を壊しやすい
・無調整の牛乳は脂肪分が多いのでなるべく低脂肪乳を飲むべき
・牛乳でアレルギー症状が出る人は多い

ということは知っていました。今考えるとこれら3つはいずれも「牛乳は実は体に悪い」ことの理由と関係があります。

調べてみると牛乳の害は、大きく

(1) 牛乳というもの本来の害
(2) 日本で出まわっている牛乳の品質に由来する害

の2つに分けられます。まずは(1)の種々の因子について順に書いてみます。

上で書いた通り、牛乳を飲むと水やお茶よりもよく腹を壊します。私は今は全く牛乳を飲んでいませんが、以前は毎朝飲んでいました。冷たいのだと時々腹の調子が悪くなるのでいつも温めて。でも腹を壊すのは冷たいことが主原因ではなく、牛乳をきちんと消化する能力が私の体に備わっていないからで、冷たいと腸が冷えてさらに調子が悪くなりやすいということだと思います。

牛乳を消化できないのは乳糖不耐性と言われます。牛乳に5%ほど含まれる糖質は全て乳糖(ラクトース)ですが、その乳糖を分解するラクターゼという酵素がうまく働かないのです。汚い話ですが、私が毎朝牛乳を飲んでいたころは便からかなりの牛乳臭がしていて、「ちゃんと消化してないな」と思っていました。今考えるとこれは乳糖不耐性のせいです。日本人の大部分は乳糖を分解できないそうです。赤ん坊の時は母乳を消化するためにラクターゼが働きますが、次第に働かなくなるのが普通です。

乳糖不耐性の人の割合については文献によりかなりばらつきがありますが、例えば以下のサイトにまとめられています。

ラクトース耐性のない(乳糖不耐性者)の割合 (はじめのいっぽ)

これによると日本人のだいたい80~95%は乳糖不耐性。世界的にみると、地域によって差が大きいのですが乳糖不耐性の方が多数派で、分解できる人の方が多いのは北欧やアフリカの一部の地域だけです。これらの民族は古くから動物の乳を飲んでいたせいで体質が変化し、大人になっても乳糖を分解できる人が増えたのだと考えられます。人間の体の機能の中で人種によって大きく異なるものの1つです。

ラクターゼによる乳糖の分解が働かないと、腸内で以下のことが起こります。

・腸内細菌に乳糖が分解され、乳酸と二酸化炭素が発生 → 腹がふくれる
・乳糖が引き起こす浸透圧によって腸内に水分がたまる → 便がゆるくなる

これらによって腹部が張った感じになったり下痢をしたり、ひどい場合はけいれんを起こすといった症状が起こります。また、その際に乳糖以外の栄養分も一緒に体外へ排出されてしまうという報告もあるようです。

こうやって腸の調子を悪くしてまで飲むのは不自然なことで、もともと我々の大多数は、離乳したあとはいかなる動物の乳も飲まないことを想定した体になっているのです。

サラリーマンの夕食 追記

2005-10-18 | マクロビを学ぶ
「サラリーマンの夕食」についてコメントなどいろいろといただきました。

ゆつきさんのブログでは、帰りが遅くなるときの夕食の摂り方について調べられています。参考にさせていただきつつ、早く家に帰れないサラリーマンの夕食について再度まとめると、

・夕方(仕事場で)と帰ってからの2回に分けて食べる(帰るまで無理にガマンしない)
・夕方の分はエネルギーになるものにする
  米がよい。玄米おにぎりがベストだが白米でもOK(パンやお菓子よりはずっとよい)
・帰ってからはごはん抜きで、消化器系に負担にならないおかずを食べる
  油や動物性タンパク質は少なめに。菜食ならベスト
・2回の量の合計で通常の夕食の量を越えないようにする
・なるべく時間を決めて食べる(食生活にリズムをつけるため)

簡単ではありませんが、できる範囲で実行するとだいぶ違うと思います。夕方さらに時間がないときは、松の実・クコの実・かぼちゃの種などの乾燥した実もの・種もの(砂糖不使用)を食べてしのぐのもいいかも。高いのが難点ですが。

玄米おにぎりに対して、でんぷんのα化・β化についてのコメントをいただきましたので調べてみました。

・α化(糊化[こか], 粘化)
でんぷんは水に溶けませんが、水分と熱を加えると分子配列に変化が起こり、60℃ぐらいで水分を吸収して糊状になります。これをα化といいます。いわゆる「でんぷんのり」の状態です。例えば葛湯は葛粉の中のでんぷんがα化されるためにああいうドロドロの状態になるのです。
米の場合、α化した状態の方が消化がよくてかつおいしいごはんになります。あたたかいごはんは通常α化されています。

・β化(老化)
α化されたでんぷんの分子配列が元に戻って再び糊状でない状態になることをβ化といいます。基本的には冷やすとβ化してしまいます。ひやごはんがパサパサするのはこのためで、消化も悪くなります。もう少し詳しく言うと、
- 冷えて0℃に近くなるほどβ化しやすい。ただし急速に冷凍すると分子配列が元に戻るひまがないのでβ化を防ぐことができる
- 水分30~60%のときが最もβ化すやすく、乾燥した状態ではβ化しにくい
という性質があります。

「ごはんを保存しておくには急速冷凍しておくとよい」と聞くのは、いたむのを防ぐとともに、多分β化を最小限にとどめられるからではないかと思います。

といっても、冷凍した状態で食べることはできません。私は冷凍した玄米おにぎりを会社に持って行って、自然解凍したひやごはんのおにぎりにしてから食べていますから、β化した状態になってしまっていると思います。確かにパサパサです。α化おにぎりにするには会社で温めるか、ホカホカのをずっと保温しておくしかなさそうですが、どちらも難しい。とりあえずβ化おにぎりでガマンということになりそうです。

α化については、「マクロビという考え方」 でも言及されています。そこでもリンクされている下記ページに詳しい説明があります。

[参考ページ]
澱粉 (ハヤシ商店)

サラリーマンの夕食

2005-10-07 | マクロビを学ぶ
私の仕事はそこそこ忙しく、ピーク時とか出張時でない普通の仕事の日でも帰りに会社を出るのは夜の9時とか10時になることが多くなります。その場合に夕食をどうするかというのは昔からの大きな課題でした。

家に帰るまで食べずにいると仕事中に腹が減ってはかどらない上に、帰宅してから遅い時間についついドカ食いしてしまいます。かといって6時とか7時とかに会社の近くで外食するのは面倒だし、会議続きなどでそんな時間がないことも多いのです。

特に胃を悪くしてからは空腹時不快感のせいで余計に仕事がはかどらなくなるので、結局夕方にパンとかお菓子を食べてしのぎ、さらに家に帰ってから一人前に夕食を食べてしまうこともよくありました。パンやお菓子で砂糖を摂る上に、寝る前にたくさん食べて胃腸に負担をかけるので寝ている間の体の修復や排出を阻害しますし、太りやすくもなります。

同じような悩みを抱える会社勤めの人は結構おられるのではないでしょうか。私の上司もこの件で「若いころからずっと悩んでいるが、解が見つからない」と言っていました。

マクロビオティックを知ってからは夕食もそれに沿ったものにしようと考え、すっきりした解とはまだ言えませんがなるべく以下のようにしています。

(1) 夕方に玄米おにぎりを食べる(会議中であってもできるだけ食べるようにする)
(2) 帰ってからの夕食はごはんなしの菜食にする

夕食のごはんとおかずを別々に食べるイメージ。普段の食事で余った玄米をおにぎりにして冷凍しておき、それを凍ったまま会社に持って行きます。夕方になると自然解凍されてちょうど食べられるようになっているという寸法。凍った状態で持って行くので、夏でもいたむことはありません。帰ってからの遅い夕食も、菜食ならあまり体に負担がかからないだろうという考え。

この方法の難点は、家でちゃんと炊いたごはんを食べられないということ。最近は朝食もごはんを食べずに納豆だけとかですませているので(朝食についてはまた書きたいと思います)、平日はちゃんと炊いた玄米を一度も食べられないことになります。米中毒の私としてはかなり欲求不満で、結局帰ってからもごはんを食べてしまうこともあります。

とりあえず、(1)(2)をだいたい実行できていればまあまあではないかと思っています。他に何かよい方法を御存じの方がおられましたら教えていただけるとうれしいです。

下戸の系譜(2) 判定パッチ

2005-09-07 | マクロビを学ぶ
私の妻は独身時代、「結婚したら夫婦で晩酌をする」のを楽しみにしていたらしく、私が飲めないと知ってがっかりしたそうで、未だに文句を言われます。飲めたとしても、夫婦でゆっくり晩酌をする暇なんてそうそうないと思いますが。

こうなったら子供に期待するしかないというわけで、2人の娘が酒を飲める年齢になるまで待つことにしたようですが、長女でもまだ小学4年生。そして私の子ですからやはり飲めないかもしれません。飲めるかどうかは彼女らが大人になってからのお楽しみと言ってたんですが、子供のうちから判定する方法があるということに最近気づきました。前回書いたアルコール→アセトアルデヒド→酢酸・水という分解を行う能力を調べればいいんですから、必ずしも酒を飲ませる必要はないのです。

というわけで、アルコール体質判定パッチというのを買ってみました。アルコールの含まれたシールを腕に貼り、しばらくして皮膚がどれくらい赤くなるかで分解能力を判定するというもの。前回書いた■■(飲めない)、■□(少し飲める)、□□(飲める)のどれであるかを知ることができます。さっそく家族で検査し合いました。

判定結果は、私だけが■□で妻と2人の娘は□□。私は遺伝子としては「少し飲める」タイプで、その■遺伝子は娘たちには受け継がれていなかったようです。妻が喜んだのは言うまでもありません。娘たちと杯を傾ける日を楽しみに待っています。まだ10年ぐらいはかかりますが。

こうなったら私の■遺伝子の源を調べたくなります。私の父は筋金入りの下戸で、奈良漬を食べても顔が赤くなるタイプ。母はいつも「お父さんが飲まないから私も飲まないけど、ほんとは飲める」と言っています。この2人を判定パッチで検査してみると、父は■■で母は□□でした。予想通り、■遺伝子は父からもらったものでした。結局飲めないのは男2人。

私は「少し飲める」タイプという結果でしたが、多分分解能力はかなり低いのだと思います。鍛えれば若干は飲めるようになるのかもしれませんが、今までかなりしんどい思いをしたので、もうとても鍛える気になれません。これからも飲みに行ったらウーロン茶を飲んで過ごすことになりそうです。

下戸の系譜(1) アセトアルデヒド分解酵素

2005-09-04 | マクロビを学ぶ
酵素に関係のある話をもう1つ。

酒は陰性、ほどほどならよいとされ、マクロビオティックを実践している人の中でもある程度(たくさん?)飲むという人は少なくないと思いますが、私は酒が飲めません。若いうちは飲み会に行くとビールをコップに2杯ぐらいは飲んでいましたが、最近はそれでも気分が悪くなるので最初からウーロン茶です。

「酒が飲めない体質の人は東洋人にしかいない」という話をよく聞きます。確かに今まで知り合った欧米人の中には、健康上・宗教上の理由で飲まないという人はいても私のように体質としてアルコールを受けつけないという人はいませんでした。

なぜ東洋人にしかいないのか、飲める人と飲めない人は何が違うのかについて、わかりやすくまとめられているページを最近見つけました。

現代日本人のルーツ & 酒に強い人弱い人 (未来航路)

要約すると、まず酒に弱い人のメカニズムは以下の通りです。

・酒に含まれるエチルアルコール(C2H5OH)はまずアルコール分解酵素の助けでアセトアルデヒド(CH3CHO)に分解され、これがさらにアセトアルデヒド分解酵素の助けで酢酸(CH3COOH)や水(H2O)になる
・ところが、アセトアルデヒド分解酵素のうち低濃度で機能するALDH2という酵素が働かない「ALDH2不活性型」の人がいて、こういう人はアセトアルデヒドが長く血液中に居座り、顔面紅潮・吐き気・頭痛などを催す
(よく「アルコール分解酵素がないから弱い」という言い方をしますが間違いで、不活性なのはアセトアルデヒド分解酵素です)
・ALDH2不活性型の(酒が飲めない)遺伝子を■、ALDH2活性型の(酒が飲める)遺伝子を□で表すと(正式な記号ではありません)、父・母からそれぞれどちらを受け継いだかにより■■(飲めない: 10%)、■□(少し飲める: 40%)、□□(飲める: 50%)のタイプの人がいる(%の数字は日本人の中の割合)

そしてなぜこういう違いができたかというと、現在の有力な説は、

・もともと日本には東南アジアから渡来した古モンゴロイドが住んでおり、彼らの中には□□(飲める)の人しかいなかった
・後に北部シベリアから主に朝鮮半島を経由して渡来してきた新モンゴロイドには、寒冷地に適応するための進化の過程でALDH2不活性型の遺伝子■が存在していた
・現在の日本人にはこれらの遺伝子が混在しており、酒に強い・弱いの差異を作り出している

とのことです。私は新モンゴロイドが持ってきた■の遺伝子を持っていると推測することができます。ちなみに、新モンゴロイドと交流のなかった欧米やアフリカの人種には、■の遺伝子を持っている人は1人も見つかっていないそうです。どうりで酒に弱い人がいないわけです。

おもしろいのは、新モンゴロイドが現在の近畿地方から広がっていったため、酒に弱い人も近畿地方近辺に多く、北海道や九州・沖縄には少ないということ(「酒に強い人弱い人の全国分布」参照)。私の先祖は父方・母方ともに兵庫県の真ん中あたりで代々百姓をしていたらしいので、酒に弱い人の多い地方の出身だということはできます。

それと、新モンゴロイドが寒冷地に適応する過程で酒に弱い人(遺伝子)が出現したのはなぜか、どういう点で寒冷地に適していたのかという疑問が出てくるのですが、「特に大きなメリットもデメリットもなかったからたまたま広まった」ということではないでしょうか。酒に弱いのが寒冷地に適しているという理由が思いつきません。

酵素の生成・消費

2005-09-01 | マクロビを学ぶ
新谷先生講演会の記事に関連して、minminさんから質問をいただきました。

■ 質問
酵素を摂るには生で、という見解は他の方も謳っておりますが、いつも疑問に思うのです。
確かに生だと酵素丸ごと摂れるイメージですが、実際には酵素も消化分解されてアミノ酸になり、あらためて体内で作られる酵素の材料になると思うのですが、どうでしょう。
それなら煮炊きして体内に入れるのとあまり違わないのでは・・・
もちろん加熱して失われる成分は不足するでしょうが・・・

■ 答
勉強を兼ねて調べてみましたので、ちょっと長くなりますが私の理解を書きます。

酵素は免疫・消化・排毒などの体内の作業を(自分では変化せずに)助けるもので、それなしでは我々は生きられない、とても大切なものです。酵素は以下のように分類されるようです。

(1) 潜在酵素(体内酵素)
  食物から体内で生成される酵素。ただし生まれた時から体内に存在するものもあると言われている
  潜在酵素を働きで分類すると、以下の2つがある
  - 消化酵素: 食物の消化を助ける
  - 代謝酵素: 栄養物を細胞に届ける、排毒、修復、免疫など
(2) 食物酵素(食品酵素)
  食物に含まれ、その食物が消化・吸収される時に直接利用される酵素

食物酵素は生きている食品全てに含まれ、肉にも魚にも野菜にも米にもあります。48℃以上に熱すると多くの食物酵素が分解されて働きがなくなると言われていますが、味噌や醤油の中の酵素はその限りではないという報告もあるそうです。

さて、上記分類によると、食べ物から酵素を利用するには

(a) 食べ物に含まれる食物酵素(2)を直接利用する
(b) 食べ物を消化した上でそこから潜在酵素(1)を生成して利用する

の2ルートがあることになります。そこで御質問に戻ると、「食物酵素が熱で分解されて(a)の利用ができなくても(b)で利用できるのではないか」ということですよね。それはそうなのですが、野菜には野菜を消化する食物酵素、魚には魚を消化する食物酵素が入っており、それをそのまま(a)のルートで使うのが最も効率的なのです。(b)で使うと消化・吸収して酵素を生成する負担がかかる上に、そのものズバリを消化する酵素ができるとは限らないので効率が悪いのではないでしょうか。

このことから、熱で分解されていない食物酵素を摂るために生野菜や果物を食べましょうと言われるわけですが、酵素の働きとは別の話として、生野菜や果物(強い陰性)を食べると内臓が冷えたり代謝が落ちたりして体に不調をきたすことがあります。そこでマクロビオティックでは、生野菜や果物よりも体を冷やさずに酵素を摂ることのできる発酵食品(味噌、醤油、漬物、納豆など)を勧めているわけです。食品を選ぶ際はそのあたりにも注意する必要があります。