リツゲイ稽古場日誌

劇団立命芸術劇場の稽古場日誌です。日々演劇と向き合う団員たちの思いが垣間見える、かも...?

さいなら!

2014-12-31 22:31:13 | 2014年度冬公演

どうも、お久しぶりです。真鍋です。
すっかり締めの投稿を失念していた系元演出です。

あれよあれよという間に公演から2週間余りが過ぎ、
クリスマスが過ぎ、年末が過ぎようとしています。
本当にあっという間です。

さて、公演が終わり、観にきていただいた皆様は、
どのような感想を抱かれたでしょうか。
私は、私事ながら年末は父方の実家に滞在しておりまして、
親子三代が集いし家で、家族という関係性についてしみじみと
再考しています。
こたつで紅白を観る祖父と父のそっくりな背中を眺めると、
血縁の因果と不思議さをふわふわ感じます。
あと何年もしたら、自分もその仲間に入ると思うと、
目に見えない連綿と繋がる血縁の一部になった気分になります。

せっかく一族が一堂に会するこの季節、
ぜひとも「あなたにとって、家族って、何ですか」という問に
考えていただける機会にしていただけたらなあと思います。

兎にも角にも、私達4回生のリツゲイでの活動は、
本当の本当に幕引きとなります。
カーテンコールが終わり客席の明かりがつけば、私達はもう舞台の上にはいません。
頼もしい後輩達が、代わりにそこにはいます。
(昨年の卒団の際に「引導を渡す」という誤用をやらかしたことを思い出します…)
いつの間にか、彼らも頼もしい背中をしてくれるようになりました。
これからも、リツゲイを愛していただければ幸いです。

2014年もあと僅かです。
遅くはなりましたが、2014年度冬公演「My Home=home ground」も終演となります。
幕を引くのは非常に辛く、名残惜しいですが、
新たな世代にバトンを渡して、老兵は静かに草葉の陰に退きます。
みんな、がんばれ!そしてありがとう!

皆様にとって旧年が悔いのなく、
また来たりくる新年が幸せなものでありますように。

最後はちょっと長いですが、私の大好きな、
寺山修司「書を捨てよ町へでよう」(映画の脚本です)のラストから抜粋して終わりにします。
演劇でなく、映画に言及した内容ですが、お芝居に通づる所がありますね。

ご来場、本当にありがとうございました。
4年間お世話になりました。

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あとはおれがしゃべる番です。(見まわして)考えてみると、映画はクラ闇の中でしかいきられないのかな。電気がつけば消えてしまうんだから。・・・・・・

そのおれが、カチンコの音が鳴るとしゃべり出す。他人のことばで、他人の書いた台詞を。カメラが回りだすと、おれは斉藤さんを「お父さん」と呼ぶ。くりかえしているうちに、実感がわきかけてくる。斉藤さんがお父さんにかわりかけると、カット!という声がかかる。次は103シーンです。はい、こっち向いて!じゃ、本番いきます!そしてまたうそがはじまる。だが、うそは1カットごとに中断され、そのすきまから、さむい二月のおれ自身の無一文の顔がのぞく。スクリーンの中のおれの家には、帰ることなんか出来ないのだ。

ポランスキーも、大島渚も、アントニオーニもウォーホールも、電気がつけば消えてしまう世界だ。まっぴるまの町に、ビルの壁に、映画がうつせるか!・・・・・・

だが、映画はきらいだ!さいなら、一時間半しか生きられないスクリーン。

さいなら映画。
さいなら、さいなら、さいなら、さいなら、さいならーッ!

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(『寺山修司全シナリオ』フィルムアート社)
コメント
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