炎と水の物語 2013 Apprehensio ad Ignis et Aquarius.

広大な宇宙を旅する地球。私たちは今、どの辺にいるのでしょう. 

チリ地震津浪の教訓

2005-01-25 | 人災社会学!
( 掲載画像は、プーケット島で観測された、大津浪前の退潮現象。) Andaman Graphic. Co.Phuket.の厚意)

インド洋沿岸の巨大津浪を教訓に、国際津浪警報システム導入について、議論が盛んです。
今から、45年前の1960年5月24日、死者行方不明者142人、破損家屋3500件余を出したチリ地震津浪、以前の日本の津浪防災水準について考えてみます。

この災害当時、岩手県大船渡にいた新聞記者の方に聞いた所、津浪の来る前、潮が大規模に引き、異変に気がついた漁船は、過去の数多くの津浪の経験から、自主的に避難をしていたといいます。
(このとき、気象庁からは、津浪警報は出ていませんでした。
気象庁は何をしていたのでしょうか。

チリで巨大地震が起きた当日の1960年5月23日、 「 ちょうど、当時の日本の地震学界の活動的な研究者が集まって、気象庁で会議があった。会議が終わった頃、地震課長に、ハワイから電報が届いたことが報告された。
しかし、出席者一同、それを単なる情報として受け取り、日本への津浪襲来を予想したり、そのような心配を発言する人は、いませんでした。
出席者の一人として、地震学者として、恥ずかしい限りでした。
三十年以上たった今でも、この気持ちは変わりません。 」

萩原尊禮 『 地震予知と災害 』p105より.(丸善. 1997年 )

今回、津浪で被害を受けた、スリランカや、インドの学者や役人の状況も、これと似たようなものであったのでしょうか。この地域での巨大津浪の周期は、230年という説もあります。システムを構築しても、稼動するのは、だいぶ先かも知れません。その頃には、末端まで、情報がいきわたるように祈りたいと思います。

現在、国際津浪警報システムが、あるのは太平洋の他、地中海だけです。地中海では地震があると、テレヴィ、ラジオのほかに、船舶無線でも、スペイン語、フランス語、イタリア語、ギリシア語などで、注意報、警報が送られる仕組みだそうです。

萩原尊禮 元東大地震研究所教授の、この著作には、阪神淡路大震災はじめ、いろいろな地震の興味深いエピソードが載っています。今の日本の地震対策は、こうした心ある学者によって、前進してきたと、言えるのでしょう。
しかし、どうした訳か「 日本海に津浪の心配はない。」と、別の東大教授?に、謂わしめた1983年の日本海中部沖地震については、何も書かれていないのが謎です。
心無い学者の不始末によって、多くの人命、財産が 失われ、歴史上の災害記録までが、ゆがめられ、闇に葬られようとしている現実もあります。

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9 コメント

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防げるものは・・・ (BD)
2005-01-25 21:18:57
 トラックバック、ありがとうございます。今回は22万人以上の死者だそうで。津波の恐怖をあらためて知らされました。もっと多くの人たちに知ってもらいたいものです。
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盲点 (U-1)
2005-01-25 22:29:47
BLACK DIAさん ようこそ(^^)。

地震の予知は、困難でも、津浪は予知できますので、万全の体制を世界規模で、整えてほしいものですね、本当に。



日本海や、オホーツク海、東シナ海、南シナ海、ペルシア湾に、国際津浪警報システムは有るんでしょうかね。
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TBありがとうございました。 (makiko kuzuha)
2005-01-25 22:56:57
津波については、これからの何十年かはきっと、皆気をつけるのでしょうが、天災は人間の盲点を突いてきます。

どんなに気をつけても、十分と言うことは無いのかもしれませんね。
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民衆の知恵 (U-1)
2005-01-25 23:13:12
makiko kuzuhaさん,コメントありがとうございます。

ご指摘のとうり、数十年間は口碑として伝わるのでしょうが、次第に薄れていくことでしょうね。前回のインド洋の津浪は1883年のクラカトア島の余波だったと聞いています。



教育大切ですよね。和歌山の広村の「稲むらの火」のような話は、分かり易くてよいと思います。学者よりも、こうした知恵の方が優れていますね。
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津波の恐ろしさ (o_sole_mio)
2005-01-27 22:57:14
こんばんは



昨年末のスマトラ沖地震は、津波の恐ろしさをまざまざと見せ付けましたが、チリ地震も地球の反対側で起きた地震にも関わらず、日本に津波が襲来し、大きな被害が出ました。



一部では津波警戒システムがあるとのことですが、一刻も早くグローバルな津波警戒システムが完成することを希望します。
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盲点。 (U-1 (^^)☆)
2005-01-28 00:37:44
0ーさん、コメントありがとうございます(^^)☆☆☆



ご指摘の通りですね!本当に、土星の惑星に探査機を降ろすほど科学の発達した現代にあって、灯台基暗しとは、このことですね。



ちなみに、日本海、オホーツク海、東シナ海、南シナ海、アラビア海、カリブ海に、国際津浪警報システムがあるかどうか、「 防災科学研究所(@筑波市)」に問い合わせしておりますが、返事が来ません。

もしかして、ないかも。(^^;;
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お役所のたらい回し (U-1)
2005-01-30 17:27:10
地理の部屋と佐渡島さま、コメントありがとうございます。



スマトラ沖の地震のせいで、世の中が少し、真剣になったような気も致します。それ以前は、ブロブを巡っていても、えたいの知れぬ浮ついたものが多かったのですが、最近は、かなり真面目な内容に、変わっております。



国内の津浪警報システムですが、地震が弱かったり、外国からの津浪の場合、釣り人や、サーフィンなどの人は、どうなるものやら心配です。



防災科学研究所から、メイルの返事がやっと来ました。「気象庁に聞いてくれ。」との一行のつれないものでしたよ。たぶん、無いんでしょうね。困ったものです。気象庁にも問い合わせのメイルを送っておきました..。



佐渡は歴史上、数々の津浪に襲われたことと思います。東大の宇佐美元教授、文化元年の象潟の地震の震源を、なんと鳥海山の山頂に置いております。酒田~象潟を襲った津波を無きものにしようというのでしょうか。
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国内優先 (U-1 (^^)☆)
2005-01-30 22:32:26
地理の部屋と佐渡島さま、コメントありがとうございます。

独立行政法人化したからといって、お役所かたぎが抜けるわけではないと思います。

そこで働いているという人のブログを見ますと、脳天気丸出しです。



NHKの「稲むらの火」は、なかなかよい番組でしたね。古文書を読む人口が、多いためか、考証がしっかりしていました。



古い言い伝えですが、先ほどアレキサンダーの軍隊を、沈めたという地震について調べてきましたが、諸説あって、文書だけでは、はっきりししませんでした。登呂遺跡を埋没させた災害のように総合的調査が、必要と思いました。



新潟の地震も、何かなおざりの感がございます。外国にお金オくれてやるよりも、国内の困っている人を優先してほしいですね。春先の融雪時、危惧しております。
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TSUNAMI (wentarapu)
2005-02-13 01:35:34
チリ地震津波の記事がありましたので。

URL だけです。ごめんなさい。



http://www.hiroi.isics.u-tokyo.ac.jp/index-saigai-shasin-chili-jishintunami.htm
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