炎と水の物語 2013 Apprehensio ad Ignis et Aquarius.

広大な宇宙を旅する地球。私たちは今、どの辺にいるのでしょう. 

4月6日イタリア中部の地震

2009-04-30 | 欧州・地中海域
 4月6日午前3時32分(現地時間)に起きたMw6.3の地震について,被災地 L'AQUILA市 周辺の環境について考えてみよう。
 今回の震源の南30km Avezzanoの地震 (1915年 1月13日 M 7.0 死者 32,610人 )については、 当ブログ に取り上げたことがありました。
この1915年のAvezzanoの地震は、伝説的*なイタリア最大の湖、 ケラノ湖(Lago Celano)の湖水排水による農地化工事の40年後に起きたことで有名です。この地震で、かつての湖畔にあったAvezzano市は、壊滅的な被害を受けました。この地域の地震は、西暦508年頃以来のことで、人間の営みと地震の関係が注目されました。
 1997年には、今回の震源の北側、 Marche山地で M 6.4  ( 死者11人 )の地震が有りました。
 
 今回の被災地はどんな所なのでしょう。地震の分布域を見てみましょう。
地震域の北にダム湖が見えます.イタリア中部では最大のダム湖 Campotosto 湖 です。
( ダムの大きさなどは 下記参照  完成は戦時中とのことです。)前回の1997年の地震は、このダムの北側一帯で起きました。右の画像を見ると、今回の地震の断層は、ダム湖にまで達しているように見えます。

 今回の被災地  L'AQUILA市 は、ローマから東へわずか90km、アペニン山脈を越えた所にあります。ローマの周辺は、地熱発電所も多く立地していますが、日本の地熱発電所のように、直近で直下型の地震を引き起こしたわけではないようです。

 ともあれ、今回の地震は、地元でその 予知に成功 していた事は、注目すべき出来事だと思います。
日本の地震学は、大地震が発生した後の講釈には、たいへん優れていますが、予知に関しては成功例がない上、「 日本の原子力発電所周辺には、地震はない。」という神話(官製デマ)の成立に加担し、日本列島をたいへん危険な存在にしてしまいました。 ここいらで、襟を正して正道にもどり、まともな研究をしてほしいものです。

-ご参考-* タキトゥス 『 年代記 』 筑摩書房版 国原吉之助訳

・イタリアの地熱発電所の分布図.GEOLOGICAL BACK GROUND of ITALIAN GEOTHERMAL RESOUCES.2008


-拙ブログ関連記事-
西暦79年 ベズビオ火山噴火の背景 古代ローマのバブル経済 ネロ帝の運河掘削
St.Helens  炎と水の伝説  ダムに囲まれた火山
湖と地震の”伝説” San Andreas Lake と 太平洋戦争の起点  サンアンドレアス断層 命名の由来
タキトウスの記すフーキヌス湖  地震と湖


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。