陽のあたる芝生。
団地の住人の共有物。
そこは子供らの格好の遊び場。
芝面を手で撫で擦(こす)ると、
芝草や刈り屑がバッタのように跳ね踊る。
ある者はバック転に挑戦。
成功すれば羨望の眼差し。
また、ある者はハンドスプリング。
各々の技を披露し競う。
たとえそこに、
でんぐり返りしかできぬ子があったとしても、
決してバカにされることはなく、
皆それぞれが、思い思いに楽しめる場所となる。
気付くと、端(はた)に男。
染めたような縮れた黒毛の、
黒メガネの、小太りの。
この芝は、いつもオレが手入れしてんだ!
入るな! 遊ぶな! バカヤロウ!
オレはケンカじゃこの辺で1、2くらいと思ってる!
そう言って半袖まくり、腕曲げる。
力瘤、出そうとするも、現れず。
たしかに太い、が、脂肪のみ。
子供はそんなのお見通し。
集合されて、立たされて、
頭小突かれ、皆、逃げる。
しかし子らの心中じゃ、
反省などは生まれずに、
バカオヤジと見下して、
あるのは唯々軽蔑のみ。
後年そこは大人のための、
集会所へと相成(あいな)りし。
子供よりも大切な、
芝生よりも大切な、
大人のための集会所。
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