マンションに囲まれし小さきグラウンド。
少年が一人、陽(ひ)は天に在り。
グラヴをはめ、ボールをコンクリートの壁に放る。
アンダースローで投げてみる。
スライダーを投げてみる。
松坂投手をマネてみる。
大人が一人、グラウンドに来たり。
曰く、ここではボールで遊ぶな、と。
危ないから、五月蝿いから、モノを壊すから、と。
少年の傍らには、太くて高くて黒い鉄柱。
かつてはこの鉄柱の上に、
籠球(ろうきゅう)用の籠(かご)と板とがあったとか。
早朝より籠球に興じる子供たちに
苦情が寄せられ外されたとか。
誰も居ない小さきグラウンド。
少年も居らず、陽はまだ天に在り。
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