幸せについての考察 【桐棺三寸】

桐鳳柳雨が贈る、幸せについての考察。
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彼(か)の地の子供たち

2005-01-08 | 戯言 Ⅰ

年齢に、そして容姿にそぐわぬ
鋭く、冷たく、それでいて大きく見開かれた目。
その眼(まなこ)の輪郭は威圧感に満ち、
相手を射竦(いすく)めるかのような形状を成(な)しているものの、
瞳孔の奥の網膜に映る、
恐れ、脅(おび)え、戦(おのの)きも見え隠れしている。

僅か十余年の人生において、
何を見、何を経験すれば
このような目となるのだろうか。
或いは、生き延びるために、
本能が境遇に適合した結果の現れか。
または、ここで生き延びて行こうとせん、
決意の現れか。

この僅かな人生において、
彼らは一体、
如何程の人たちから銃を向けられ、
或いは、向け、
その命を奪われ、
または、奪ってきたのだろうか。
この時、ここに生まれてきたばかりに…

ある極東の島国では、
年同じ子供らが華美な装飾に身を固め、
甘やかされ、ちやほやされ、
その先に幾多の試練が待ち受けているかも教えられず、
自分だけがよければいいのだ、と吹き込まれている。
仮初めの平穏と幸せに包まれ、
荒れ狂う外界を見ようともせずに…

子は、生まれ来(きた)るとき、
その時と所を選ぶことはできない。
然るに、一足先にこの世に存在せし者たちには、
いつ天使が舞い降りてきてもいいようにしておくべき
義務がありはせぬだろうか?




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