Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2009年3-4月号 栄養サプリメント『ミックスミー』の懸念

2009年08月16日 | 健康
【漫画】 「カクマ・キャンプの今年のニュースは何かね?」
      「その1:WFPから『ミックスミー』が特別配給になったこと。
      その2:神様から『1人あたりの太陽光線』が特別支給され暑かったこと」

難民は新しい栄養サプリメント、『ミックスミー』の「製品投入」について重大な懸念の声を挙げている。

国連世界食糧計画(WFP)はカクマ・キャンプの栄養状態を改善するためにUNHCRと協力し、微量栄養素を含む製品を導入した。栄養調査を実施した後、『ミックスミー』の「製品投入」を2月の食糧配給時から始めた。

しかし、受け取る側はこれを歓迎せず、彼らが捨てた未使用の『ミックスミー』の袋が沢山キャンプに散乱している。難民は、サプリメントについて重大な懸念の声を挙げていて、噂も広がり始めている。

噂の中には、はなはだしい危険をはらんだものもある。例えば、『ミックスミー』には男性の不能や、女性の不妊の原因になる化学物質が含まれているというのもある。また『ミックスミー』がスーダン人の本国帰還後に導入されたことに疑惑が高まり、特定のコミュニティーがターゲットになっているのではないかという噂の火種にもなっている。

噂を信じない難民も、WFPの『ミックスミー』配布には矛盾があると思っている。『ミックスミー』は食欲を増進させるというのに、食糧配給が不十分なのはおかしいというのだ。粉末状のサプリメントよりも、牛乳や新鮮な野菜のような本物の食品で必要な栄養を満たしたいという難民が大部分だ。

もう一つ、皆が心配しているのは、『ミックスミー』粉末の実際の成分のことだ。文化や宗教によっては豚肉や牛肉など特定の動物性食品を食べることを禁止しているので、原料を知りたい。原料のことは『ミックスミー』の袋に印刷されていない。

『ミックスミー』の「商品説明」によれば、「『ミックスミー』を毎日一家族で一袋摂取すれば、活力と体力と健康に必要な栄養を摂ることができる!」

WFPは国際人口サービス(PSI)やフィルムエイド・インターナショナル(FAI)と共同で、『ミックスミー』の使用法と実用性について大衆意識を高めるキャンペーンを開始したが、多くの重大な懸念には答えないままだ。

〈これは製品試験か、それとも予備研究か?〉

きわめて重要なのは、『ミックスミー』がカクマに持ち込まれる前に、他の人々の間で試されたのかという点だ。もし試されたなら、その結果はどうだったのか。

WFPの文書によると、製品試験の結果、「母親に広く受け入れられた。母親は、子供たちが元気そうに見え、よく遊び、学校に行き、健康の改善が認められたと言っている」。しかしこの製品試験で鉄分のレベルやビタミンの欠乏がどの程度改善されたのかといった客観的指標は示されていない。

多くの難民が、『ミックスミー』の配布は予備研究や「製品試用」の類でないかと疑っている。WFPは血液検査を実施することで、ベースとなる健康レベルとその後の健康度を測定し、製品が意図した目的に合致しているようだとの結果を示すつもりなのだろう、というのが難民の見方だ。ベースとなる健康レベル調査は既に実施されている。

「製品投入」に参加している難民の重大な懸念に対する答えは、出そうもない。というのも、KANEREの記者が懸念の声を挙げたとき、WFPの職がコメントを拒否したからだ。

カクマ・キャンプでの『ミックスミー』投入が本当に予備研究や「製品試用」なら、難民を巻き込む前に完全に情報を開示した上で難民の意志を聞き、インフォームドコンセントを得るべきだというのが難民の声だ。

〈その他の疑問〉

カクマ2の情報普及期間中に、ある難民がなぜ『ミックスミー』がカクマの難民にだけ提供され、条件も状況もほとんど同じダダーブ・キャンプでは提供されないのか尋ねた。PSIの代表者は、ケニアのスーパーマーケットにはミネラルやビタミンをふりかけが同様の栄養製品があるが、それは『ミックスミー』(市販では手にはいらない)とは違うと答えた。さらに、カクマではマラリアの罹病率が高いので、『ミックスミー』の鉄分の量は減らされているという。蚊が鉄分に引き寄せられることがわかっっているからだ。

難民は『ミックスミー』の潜在的副作用についても知りたがっている。特に指示通りの一袋以上を摂取したときの副作用について。2月21日に行われたコミュニティーや宗教指導者のための食品に関するワークショップで、WFPの職員は受益者を前に『ミックスミー』は安全だと保証した。必要以上に摂取しても、身体は必要な分だけを吸収し、残りは排出される。ただし、腹をこわすことはあるかも知れないと言い、さらに鉄分の問題とカクマでのマラリアの流行に言及した。

難民はまた、『ミックスミー』は栄養学の専門家が勧告する栄養不足の人を選んで与えるのではなっく、なぜ全員に与えられるのかという疑問を抱いている。WFPの栄養学の専門家によると、『ミックスミー』は薬ではなく、食品サプリメントであり、すべての人の健康に役立つそうだ。

〈情報と透明性の欠如〉

多くの疑問が残ったままだが、それは答えが出せないからではなく、情報の普及方法に原因がある。『ミックスミー』の製品投入に関係したWFPとパートナーは、難民の疑問に前向きに対処すべきだ。『ミックスミー』の普及に関わっているスタッフは、集中的な訓練が必要だと言っている。空になった『ミックスミー』の袋を戸別に収集していると、受益者からの厳しい質問にまともにさらされるからだ。

KANEREの2人の記者が、WFPの関係者にコメントを求めたが、組織の政策を理由に発言を拒絶された。3月27日にWFPの支所長、ルルド・イバラ氏が述べたところによると、KANEREがコミュニティーベースの組織として登録されるまで、WFPの職員はこのフリープレスに対して情報を提供しないという。


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