Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2008年12月号 不正ではなく正義のために戦う

2009年05月15日 | 和平と治安
【写真】カクマキャンプの住民に宛てた広報メッセージ(安全・安心はあなたから始まる。警備担当者に協力して身を守ろう)

「不正ではなく正義のために戦う」。1952年生まれ、トゥルカナ地方カクマ地域出身のサミュエル・エシアニエン・ロクマクの言葉だ。ロクマク氏は長老であり、仲裁人でもあり、さらに地域住民や難民コミュニティのために警備員として働いている。

ロクマク氏は現在、和平委員会の会長サイモン・ロテュク・チェゲウ氏とともに、難民とそのホストコミュニティである周辺のトゥルカナ住民との間の溝を埋めるために尽力している。和平委員会はルーテル世界連盟(LWF)のピース・ユニットの協力のもと運営され、集会や議論には難民や地域住民200人以上が参加している。

ロクマク氏は、1992年から難民および地域住民の世話や土地の管理をしてきた。現在は、自分が取り締まっている地域内で武器や弾薬を所持している犯罪者を逮捕している。「毎日、12人の専門職員とともに犯罪者の発見や確認を行っている。私の2人の息子エベイとナヲクもこの専門職員だ」とロクマク氏は語る。逮捕する犯罪者のほとんどは、トゥルカナ地方の地域住民だ。ロクマク氏は、「武器を持ったやつらは強盗や殺人の目的で難民キャンプに入ってくる」と言う。
ロクマク氏はカクマ難民キャンプで初めて武器を持った犯罪者に遭遇したときのことをこう語る。「2001年、銃を持った6人を何とか捕まえたが、5人は逃げてしまい、ひとりを捕まえた。そいつはAK47(訳注:カラシニコフ銃)を2本持っていた。証拠を見せるため、銃と一緒にそいつをケニアの警察に引き渡した」

ロクマク氏は2008年6月27日にコンゴ人コミュニティで発生した事件の犯人逮捕にも力を貸した。この事件では、コンゴ人男性1人が銃殺された。ロクマク氏は、「地元のトゥルカナ人たちが引き起こした事件だ」と言う。ロコレ村での捜査や捜索の後、事件に関わった2人の犯人を捕まえた。逮捕時には2人ともAK47を持っていた。「犯人発見のための戦術は極めて単純なものだった」とロクマク氏は語る。事件現場から足跡をたどって犯人がいる場所をつきとめたのだ。「この2人をカクマのチーフに引き渡し、2008年6月30日にケニアの警察に報告した」

長年の経験から、ロクマク氏はカクマ難民キャンプ周辺の犯罪が起きる場所を熟知している。ロクマク氏によれば、銃を持った犯人は人里はなれた田舎の森林地帯に住んでいるという。犯人の仲間(地域住民)はキャンプ内に住んでいて、取引やビジネスを通じて日々難民と交流したり仕事上の付き合いをしたりしている。なかには難民の家事手伝いとして働いている地域住民すらいる。こうした様々な接触の機会を利用して、地域住民と、森林地帯に住む銃を所持する仲間のトゥルカナ人は簡単にコミュニケーションをとることができる。犯人は強盗や殺人の目的で夜難民を襲いに来る。こうした襲撃では、難民と付き合いがあり難民や居住地を熟知している者が、森林地帯に住む武器を持った犯人の案内人を務めているという。

ロクマク氏は現在、コミュニティの仲間から、自分たちの情報を公開したとして非難されている。ロクマク氏のそうした行為からは得るものが何もないというのが彼らの言い分だ。ロクマク氏は誰からも報酬を得ることができず、心配してくれる人もいない。地元のコミュニティの長老たちさえも、青年たちの情報をケニアの警察に提供したとしてロクマク氏を非難している。この青年たちは矯正教育を受け長期の懲役に服している。地元の長老らはロクマク氏に、「スーダン人は本国に帰還しようとしている最中だし、ロクマク氏自身も何の見返りがあるわけでもない。同胞が苦しんでいるときになぜ難民に対して無駄な努力をするのか理解できない」と言う。

最後に、ロクマク氏は、自分は報酬もなく励ましも受けずに時間とエネルギーを犠牲にして自らの命を危険にさらしていると語った。情報を提供してもロクマク氏には何の見返りもなく、情報を受けた側のみが便益を得ている。残念ながらロクマク氏は、犯人の家族から受けるかもしれない報復に対して保護されていない。ロクマク氏は、「現地の政府高官も、私のコミュニティも、UNHCRも皆、何の支援もせずに黙って見ているだけ」と不満をもらす。

インタビューの最後にロクマク氏は略歴について「1960年代にはキタレで兵役についていたが、1970年にロドワーに移り、退役後は故郷のカクマに戻ってUNHCR警備のンガイラ少佐とともに警備職についた」と語った。



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