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建国後の合衆国ー13 南部奴隷制社会 黒人奴隷の家族

2024-05-11 21:45:10 | ヨーロッパ・中東・アメリカ全般、歴史・文化・食文化・芸術・建築

建国後の合衆国ー12 南部奴隷社会 黒人奴隷の文化https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a7fd8a1c3adb08f6e6bec419395a4192
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ハーバード・ガットマンの家族史研究は、最も興味深い研究の一つです。 合衆国の奴隷は法制的には物として規定されています。

したがって、結婚して家族を維持する権利を否定され、華族から切り放して売買されました。 ここでは安定した家族関係は形成されず、極端な言い方をすれば、事実上離婚状態しかありえませんでした。

この奴隷制の負の遺産が、20世紀の都市スラムにおける黒人家族の崩壊現象の起原とする見解がありました。

 

ガットマンは、プランテーション史料に残された奴隷の人名記録を分析し、彼らの名付けの慣行を明らかにし、彼らの間に広範な親族関係網が存在した事、近親結婚の禁止など、彼ら独自の規律が存在したことなどを明らかにしました。

ま辿例が解放された時、すでに彼らが長い間事実上の夫婦関係を維持してきた多くの事例が、南部に対する占領行政にあたっていた連邦政府当局の調査記録からも報告されています。

 

確かに黒人たちは昼間は主人のための強制労働に服しましたが、労働が終わって「日没から夜明けまで」の奴隷小屋では、彼らだけの生活が待っていました。

そこで彼らの共同体とアフロ・アメリカンとしての固有の文化が徐々に形成されたことは、今日では共通認識となっています。

しかし奴隷主は権力を握っていました。結局は銃です。 銃の下で、黒人奴隷は逆らうことが出来ず、奴隷の父親は親としての確認の法的根拠を欠き、親として子供を経済的に養育できず、白人主人の鞭打ち、その他の暴力支配からh後することはできませんでした。

黒人奴隷の父親にどれだけ親としての権威と責任感を維持することが期待できたでしょうか。 奴隷制下の黒人男性が、解放後に家族共同体を主体的に支え得る資質をどれだけ発展させていたのか。

今後、黒人女性史研究が進めば改めて問い直される問題です。黒人奴隷は白人奴隷主階級の宗教であるキリスト教を、銃の下の暴力に受け容れ入れましたが、黒人の文化的自立性について、どの程度評価すべきか議論は分かれています。

 

マルクス主義史家ユージン・ジェノヴィーシの場合、黒人奴隷の文化の自立性よりむしろ、プランダー階級の奴隷に対する、家父長主義的な文化的支配力の強さを強調しています。

しかし、ユージンは奴隷がキリスト教を受け容れながらも、主人とは異なった信仰の内容を深めた点を強調しているのであって、ここでも白人奴隷主階級の家父長主義的な支配に対する奴隷の人間としての主体的対応が問われています。

私も仕事で、業者であった米国デュポンのハーバード大学卒の黒人女性と仕事をしたことがありますが、本当に優秀で、遺伝的に国人はダメという考えは持っていません。

白人・黒人・アジア人に限らず、人の人生は、生まれ持った才能+後天的環境+偶然(運:出会いなど)によって決まるという持論を持っています。


また、銃の問題は奥深く、私は共和党の敬虔なクリスチャンである人格者のテッド・クルーズ(Ted Cuz)が現時点で大統領に最もふさわしいと思っていますが、彼はライフル協会と癒着し、アメリカ国内で銃の問題が起きても、全く銃規制をするつもりがないのを見て驚かされていると共に、アメリカ社会に於ける銃の闇の婦深さを感じます。

 

Ted Cuz: 
キューバ系移民のアメリカ人、プリンストン大学、ハーバード・ロースルール卒の秀才で、
文学士、法務博士。

 

 

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PS.

・アメリカを正しく認識する 建国までの歴史概略シリーズのまとめhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c92a98cc78bf8a2cff02eab33b4b245b

 

 

 



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