パナソニックコネクトのプロジェクターは21年の東京夏季五輪でも使われた
パナソニックホールディングス(HD)は国立競技場などで使われる業務用大型プロジェクターの事業を売却する方針を固めた。売却額は800億円規模とみられる。
主力の電気自動車(EV)用の電池は中国勢との競争が激しい。得られた資金をデジタル企業の買収に振り向け、家電などの製造業に依存しない収益基盤の確立を目指す。
パナソニックHD傘下のパナソニックコネクトがプロジェクター事業を売却する。早ければ6月に売却先を決める。
パナコネクトの調べでは業務用高級プロジェクターの市場でトップの世界シェアを握る。2021年の東京夏季五輪でも使われた。
24年3月期の事業売上高は非公表だが、業務用プロジェクターとカメラなどで構成する「メディアエンターテインメント事業部」の売上高は1110億円だった。
オリックスが買収に意欲をみせているもよう。外資系ファンドも名乗りをあげている。業務用プロジェクターはスタジアムでのプロジェクションマッピングや、室内施設の没入体験の演出といった用途も増えている。
新型コロナウイルス禍の収束に伴いリアルでのイベント開催が増え、当面は安定した収益が見込める。
パナソニックコネクトは業務用高級プロジェクター市場で世界シェアトップとされる
パナソニックHDはEV電池とサプライチェーン(供給網)管理システム、欧州などで展開する省エネ機器の「ヒートポンプ暖房」の3分野に重点投資する戦略を掲げる。
供給網管理システムはコロナ禍における半導体不足で経済が混乱した教訓もあり、企業からの引き合いが増えている。
パナソニックHDは過去の販売データを基に顧客に最適な生産計画を提案したり、在庫を適正化する調達計画を示したりするサービスを手掛ける。21年に米大手を総額8000億円超で買収し、本格参入した。プロジェクター事業の売却で得る資金は、企業間の調達データをつなぐ機能に強みをもつ別の米国企業の買収資金に充てる。
EV電池はEV市場の変調に伴い当面の先行きに不透明感も漂う。EVや電池を生産する事業者を補助金で優遇する米国の政策もあり、中国や韓国の電池大手との投資競争が激化している。パナソニックHDは重点投資領域ではない事業の見直しを進め、成長資金を確保する。
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