月は東に

Get Out Of That Rut & Savor Life

『元禄忠臣蔵 第二部』@国立劇場大劇場・11/18

2006-11-20 03:21:19 | 歌舞伎Review
表参道ヒルズを11時30分に出て、表参道駅から地下鉄乗って半蔵門駅に着いたのが開演7分前で、国立劇場にダッシュ。開演1分前に滑り込みセーフでした。表参道ヒルズと国立劇場が意外と近くて助かったわ


元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)四幕十場
<配役>
大石内蔵助:坂田藤十郎/小野寺十内、新井勘解由(二役):片岡我當/進藤八郎右衛門:坂東彦三郎
落合与右衛門:中村東蔵/富森助右衛門:中村翫雀/堀部安兵衛:中村松江
不破数右衛門、寺坂吉右衛門(二役):中村亀鶴/上臈浦尾:中村歌江/腰元おうめ:上村吉弥
大石主税、羽倉斎宮(二役)片岡愛之助/中臈お喜世:中村扇雀/瑶泉院:中村時蔵
御右筆江島:中村魁春/遊女浮橋:片岡秀太郎/徳川綱豊卿:中村梅玉 

伏見撞木町
第一幕 伏見撞木町の揚屋笹屋の表二階、同 奥庭離室のあたり
御浜御殿綱豊卿
第二幕 御浜御殿松の茶屋
第三幕 御浜御殿綱豊卿御座の間、同 入側お廊下、同 元の御座の間、同 御能舞台の背面
南部坂雪の別れ
第四幕 三次浅野家中屋敷 、同 瑤泉院居間、同 門外

伏見撞木町の“河岸の場”と南部坂雪の別れの“師走の十三日”の部分は藤十郎さんの意向によりカットされたそうです。内蔵助の心理により多くを語らせたいとのこと。

第二部って松の廊下も討入りもない小休止というか中間地点で、忠臣蔵本来の派手さや活劇っぽい展開はないけど、忠臣蔵とは一体何か、内蔵助の目的は何かが露わにされるある意味一番重要な部分ですよね。
そういう部分を、上方和事のお歴々を揃えてじっくりと心情で見せてくれたと思います。
江戸組の第一部未見、第三部も予定してないのでなんとも言えないけど、第二部を上方役者で固めたことは、企画、構成の妙を感じました(12月のテレビ放映が楽しみ/色々比較してみよ)

ビジュアル的には第一部の吉右衛門さんが好きなんだけど(笑)藤十郎さんの内蔵助は、粋な放蕩姿も、主税や数右衛門を諭す場面や、覚悟を秘めて瑤泉院に会う場面の重厚な演技も素晴らしく、微妙な心理描写が冴えまくりですっごいよかったです。
ラストで、雪降りつむ中、瑤泉院に別れを告げて傘を差し花道を往く姿には思わず涙。
満場の拍手の中、揚幕の中に消えていかれたと思います……“思います”ってのは、私の席が2階席7列目で、花道は途中までしか見えなかったから

梅玉さんの綱豊卿が、大大名らしい鷹揚さと品格と風格を具えていて見事な殿様っぷり。
所作から台詞のタイミングから“大名”のお手本みたい。どこを切り取っても絵になる感じでした。

魁春さんの江島を見ながら、江島生島事件のひとだよねえとしみじみ。こんなに賢く思慮深いひとが何であんなスキャンダラスなことになっちゃったんだろ……って今回とは全然関係ないことを考えてしまいました。

翫雀さんの富森助右衛門が感動的。綱豊卿に真っ向から挑む姿や咽び泣きながら嘆願するとこは、思わず「頑張れ」って応援したくなるほど………実際は、頑張っちゃってもらうと非常にマズいんだけど(笑)
「何が何でも吉良の命を」と焦る助右衛門を、内蔵助の真意を見抜いている綱豊卿が懇々と諭す場面はよかった。これで助右衛門・お喜世が悲劇の兄妹にならずにすんでホッとしました

「仇討ちで大事なことは亡き殿への忠義・至誠が第一で、復讐は二の次」
「浅野家再興を幕府へ願い出たことをなおざりにして、仇討ちもするというのは道理に合わない」
これを胸中に収めていた内蔵助。これを見抜いていた綱豊卿。綱豊卿は一時期(彼の考えがいつこれに至ったかにもよるけど)唯一の内蔵助の理解者だったのかもしれません。

愛之助さんは、内蔵助に意見する役ながら全くタイプの違う二役で大変だったろうなあ。
実際、大変だったとおっしゃってました(笑)……その辺のことは『伝統芸能講座』の記事に書きます。
でも、二役とも全然違和感なくって上手く演じられてたと思います。
瑞々しい主税もいいけど、私としては大人な羽倉斎宮が好き 
だって拵も台詞も声もカッコイイんだもん
あー、せっかく真面目に書いてたのに最後でミーハーになっちゃった。

あと、定番のクラシックな歌舞伎の舞台セットと違って、今回は、どこか現代のストレートに近い感じを受けましたね。特にライティング。通常の歌舞伎だとのっぺり平面的な感じが多いんだけど、奥行き感があるというか立体的。“浜御殿御能舞台の背面”で、雪洞に照らされ浮かび上がる桜はとても綺麗でした。
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2 コメント

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ステキだったね第2部! (かしまし娘)
2006-11-27 08:00:03
水無月様、まいど!
第2部のレポが完成したので遅まきながらTBさせて下さいませ。
第1部とは全く雰囲気の違う「新歌舞伎」に驚きました~。
そっか、藤十郎がカットを…ムムム。それでもやっぱりあった方が判り易かったと思います。素晴らしい原作なのでね、一度いじくらない完全版っつうのを観てみたい~。
「元禄忠臣蔵」全てTVで見れますよ!今から楽しみっす。
「Loveりん講座」楽しみにしてますうぅぅぅ。(いいな~)
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かしまし娘さんへ (水無月)
2006-11-29 20:43:07
まいどです!レス遅くなりました~~~
コメント&TBありがとうございます!
他の観劇に散財で10月~12月の国立は諦めてたんですが、らぶりん講座@国立なのに観ないのもなんなので………。
観てよかったです!!!
カットについては番附にほんの少しだけ書いてあって、原作で確かめたら見事にばっさりカットでした
愛之助さんにとってはこのカットはつらいですね(笑)

私もTV放映楽しみです。最近BSが観れるようになったのでリアルタイムだし

既に、らぶりん講座レポにもコメントいただいてますね。
ありがとうございます!!
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