『噂の男』＠名古屋市民会館中ホール・９／２２ソワレ（追記あり） 2F-あ-2

8月に、福島三郎さん脚本・演出の『しあわせのつぼ』を観ました。誰もが気軽に楽しめるハートフルコメディでした。…………『噂の男』ってホントに福島さんの脚本？（笑）
あ、ケラさんのクレジットに“潤色”ってあるから、結構手は入ってるのか。

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私が観た9/22ソワレで大楽でした。今更の感想記事なので短めに纏めます。

憎悪とか悪意とか殺意というより、それぞれの強すぎる愛情（それが憎悪や悪意なのかもしれないけど）が赴くままに解放された結果が死体だらけの“ボイラー室”。
鈴木（堺雅人）のアキラ（橋本さとし）への愛。モッシャン（橋本じゅん）のアキラへの愛。加藤（八嶋智人）の家族愛。アキラの自己愛。ボンちゃんは、なんだろ……なりゆき愛？（笑）

確かに“いやーな話”なんだけど、それより私は哀しさの方を強く感じました。
みんな純粋にひとを愛してるだけなのに、ちょっとベクトルが違うだけで、あそこまで陰惨で理不尽になってしまう人間の矮小さに対する憐れみ、かな。
モッシャンの最後のシーンなんか、泣けてしまいました（私だけ？）
正気に戻ったのかボケたままなのか定かじゃないけど、相方のアキラは死んでしまって居ないのに、ひとりパンストキッチンのネタをやりつづけるモッシャンの姿は、痛ましくて見てられなくって……。
モッシャンだけ12年前のまま。アキラが隣に居たときのままなんですよね。


しかし、オープニングから女の喘ぎ声ってどうよ（笑／あの声、水野さんがやってたのかな？）
冒頭にも書いたけど、脚本福島さんでも随所にケラさんのかほりが漂いまくってます。スプラッタな部分とか殺人の場面でも笑えてしまうあたり。
前任のボイラー点検のおっさん（名前忘れちゃったよ）の身体的特徴が“へそ”以外になかったのは、後々おっさんが首も手も足も無い胴体だけの死体になるから、ってのが安っぽいミステリーみたいで面白いし（『噂の男』って未解決のミステリーだ。モッシャンは最後に自白してるけど正気なのかわかんないし……正気に戻ったのか？）　

随所随所ではツボを押されまくりだったけど、全体的に、どきどきわくわく感というか押し寄せてくるモノがもうちょっとあればもっとよかったかも

まあ、なんだかんだ言っても、この濃ゆいメンバーが一堂に集ったこの舞台は、貴重でめちゃくちゃ贅沢だったと思います。

さとしさんとじゅんさんの“パンストキッチン”、吉本からデビューしてほしい（笑）
じゅんさんってホント上手いなあ。
12年前と、落ちぶれてからと、最後のシーンでの演じ分けがお見事
このひと何でもできるのに、古田さんみたいに売れてもいいと思うのに、連ドラの1話限りの悪役やってたりするんだよねえ（『どん亀』ビックリしたよもう。さとしさんもだけど）

さとしさんが一番やなヤツかも
最初ちょっといい感じのひとで心持ってかれそうになったのがすっげーくやしい。“見た目イイ男”でひとの気持ちをこれでもかってくらい踏みにじりっぱなしの役、って素敵だけど
パイソン柄のピタシャツに赤系の革パン姿に萌え

山内さんがわりとまともな役でビックリ
人妻とヤろうが芸がたいしたことなかろうが、あのキャラの中では非常に健全な精神の持ち主で、いつも巻き込んで煙に巻く役が多いのに、今回巻き込まれまくりのキャラが新鮮でした。

ヤッシーはあのうっとおしい感じそのままで、あてがきかと思っちゃった。

堺さんは、劇中の台詞で「笑顔で喜怒哀楽のすべてを表現しやがって！」って言われてました（笑／もちろん観客大爆笑）
だから、常にいつものにやけ顔で思惑ありありでしょって感じがモロ出てて、薄気味悪かった。
モッシャンに苛められるとこがセミヌードにさせられちゃって、私は楽しんじゃったけど（鬼畜）堺さんファン的にはどうだったんだろ。おまけにオールバックのホモだし


カーテンコールは3回。
3回目は例の売れてないらしいTシャツを、全員が着て登場。
オールスタンディングだったけど「東京では誰も立ってくれなかった」ってヤッシー。
ホンマかいな　関西ではそういうことなかったと思うんだけど。
最後に、パーンて両サイドから、きらきらの紙テープやら紙吹雪が弾け飛んでお開き（キャスト陣も知らなかったのか、マジで驚いてました）

そうそう、関西弁ネイティブスピーカー4人の関西弁の台詞がのびのびしてましたね。
もうノリノリって感じ。じゅんさん１ヵ所かんだというか、どもっちゃったけど。すかさず自分でフォロー台詞入れてたのはさすが

ヤッシーがあまりにも「Tシャツ売れてない」って言うから1枚買っちゃったよ。
売れてないって言うわりには私が買う頃にはほとんど残ってなくって、売り場のひとに「売れてるじゃないですか」って言ったら「今、ばーっと売れたんですよ（苦笑）」って。
言ってみるもんだね、ヤッシー