東京の東劇での上映から半年以上。やっと名古屋にも『シネマ歌舞伎 鷺娘/日高川入相花王』がやってきました。半年っていっても、『野田版鼠小僧』と比べれば異常に早いんだけど(笑/『野田版鼠小僧』は東劇で2005年1月に上映。今、2006年11月。約2年
何か事情があるにしても遅いってば)
2007年1月には『京鹿子娘二人道成寺』が東劇にて上映。大阪、京都の次が名古屋だと嬉しいな。
『鷺娘~』のことを思うとそれは非常に望み薄なんだけど![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_gaan.gif)
タイトルは『鷺娘』が先になってますが、上映順は『日高川~』が先。
日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら) 竹本連中
<配役>清姫:坂東玉三郎/船頭:坂東薪車/人形遣い:尾上菊之助
“文楽人形の振り”で踊るので、表情で感情を表すことはできないし、そのために振りも大げさになる。おまけにあくまでも人形なので操られなくちゃならないし……。そんな状態で、恋する清姫が安珍の裏切りに悲しみ怒り蛇となっていく過程を踊りぬくって、人形振りって大変![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase1.gif)
玉三郎さんの人形振りは見事です。何も言えない(笑)
衣装も素敵。黒地に金糸で菊やなでしこの刺繍、そこに流水や八橋があしらわれてます。
帯は金地に菊尽くし。蛇になって岸に上がった後は白地に銀の鱗のぶっ返り。
ひとつだけ言わせてもらうと、蛇体となって川を渡る部分は実際舞台で観ると冗長気味だったのでは?
映像では素早い切替でロングになったりアップになったりして、それが力強い竹本の演奏にも合ってて良かったと思ったけど、それでもちょっと長いかなと感じたので![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
薪車さんの船頭はホントに人形かと思っちゃった(笑)
とくに顔。眉に仕掛けがあって文楽人形みたいに動くのよ
足は作り物で、手もそうかと思ったら本物。
非常に巧く、人形遣いに扮した黒子に動かされてました。
清姫が川辺でなんだかんだやってる時、船頭がかなり長い時間動いてないはずなんだけど、その動いてない部分も見せてほしかったなー。映像だとどうしても動いてる部分が中心になるからしょうがないんだけどね。
あの玉三郎さんの相手ということで、薪車さんも大変なプレッシャーだったろうけど、菊之助さんも相当だったでしょうね。なんせ人形の玉三郎さんを動かすんですもん。
でも、裃姿も凛々しく立派に務めてたと思います。
鷺娘(さぎむすめ) 長唄囃子連中
<配役>鷺の精:坂東玉三郎
映像美の極致。
舞台装置から照明から衣装から玉さま自身からもうなにもかもが美しい。
デジタル映像でへ衣装がとても鮮明。衣装に並々ならぬこだわりを持っていらっしゃる玉三郎さんなので、その辺も充分楽しませていただきました(ここぞという舞台に関しては衣装は自前だそうで、この2つの演目もそうなのかな?)
最初は白無垢に黒繻子の無地帯。それを引き抜いて赤地に雪持ち柳の柄。一度下手に引っ込んで紫地に石持紋付き雪持ち柳の裾模様。またそれを引き抜くと、鴇色地に麻の葉と梅の柄。最後は白地に銀糸で翼の柄のぶっ返り(ふう
………ホントはそれぞれの衣装にちゃんと名前が付いてけど長いので割愛)
引き抜きって衣装は替わっても帯が替わるのを観たことがないんだけど、『鷺娘』では、最初の白無垢から赤の振袖に引き抜いたときに、帯も黒の無地帯から黒地に雪の結晶模様に替わったので、ちょっとびっくり。
白無垢の足元は赤い裾よけが覗ていて、そこから見える白い足袋が印象的。
うつむき加減の綿帽子の中の顔とか鷺のような足運びとか、生の舞台では見られない、或いはうっかり見落とす部分も、シネマ歌舞伎ではクローズアップで見せてくれるのがいいですね。
玉さまは、町人とかお姫様とかいわゆる“普通の人間”よりも、富姫やこの鷺娘や清姫といった、人外のもの、或いは人から人でないものへ変化する役の方がハマってると思います。
人智を超えた美しさをもつ妖しのもの……それは玉さま自身なのかもしれません。
恋のために魔性の者に変化するふたりの娘の、対照的な動と静の美しい舞踊を堪能させていただきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_gaan.gif)
2007年1月には『京鹿子娘二人道成寺』が東劇にて上映。大阪、京都の次が名古屋だと嬉しいな。
『鷺娘~』のことを思うとそれは非常に望み薄なんだけど
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_gaan.gif)
タイトルは『鷺娘』が先になってますが、上映順は『日高川~』が先。
日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら) 竹本連中
<配役>清姫:坂東玉三郎/船頭:坂東薪車/人形遣い:尾上菊之助
“文楽人形の振り”で踊るので、表情で感情を表すことはできないし、そのために振りも大げさになる。おまけにあくまでも人形なので操られなくちゃならないし……。そんな状態で、恋する清姫が安珍の裏切りに悲しみ怒り蛇となっていく過程を踊りぬくって、人形振りって大変
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase1.gif)
玉三郎さんの人形振りは見事です。何も言えない(笑)
衣装も素敵。黒地に金糸で菊やなでしこの刺繍、そこに流水や八橋があしらわれてます。
帯は金地に菊尽くし。蛇になって岸に上がった後は白地に銀の鱗のぶっ返り。
ひとつだけ言わせてもらうと、蛇体となって川を渡る部分は実際舞台で観ると冗長気味だったのでは?
映像では素早い切替でロングになったりアップになったりして、それが力強い竹本の演奏にも合ってて良かったと思ったけど、それでもちょっと長いかなと感じたので
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
薪車さんの船頭はホントに人形かと思っちゃった(笑)
とくに顔。眉に仕掛けがあって文楽人形みたいに動くのよ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_warai.gif)
非常に巧く、人形遣いに扮した黒子に動かされてました。
清姫が川辺でなんだかんだやってる時、船頭がかなり長い時間動いてないはずなんだけど、その動いてない部分も見せてほしかったなー。映像だとどうしても動いてる部分が中心になるからしょうがないんだけどね。
あの玉三郎さんの相手ということで、薪車さんも大変なプレッシャーだったろうけど、菊之助さんも相当だったでしょうね。なんせ人形の玉三郎さんを動かすんですもん。
でも、裃姿も凛々しく立派に務めてたと思います。
鷺娘(さぎむすめ) 長唄囃子連中
<配役>鷺の精:坂東玉三郎
映像美の極致。
舞台装置から照明から衣装から玉さま自身からもうなにもかもが美しい。
デジタル映像でへ衣装がとても鮮明。衣装に並々ならぬこだわりを持っていらっしゃる玉三郎さんなので、その辺も充分楽しませていただきました(ここぞという舞台に関しては衣装は自前だそうで、この2つの演目もそうなのかな?)
最初は白無垢に黒繻子の無地帯。それを引き抜いて赤地に雪持ち柳の柄。一度下手に引っ込んで紫地に石持紋付き雪持ち柳の裾模様。またそれを引き抜くと、鴇色地に麻の葉と梅の柄。最後は白地に銀糸で翼の柄のぶっ返り(ふう
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/namida.gif)
引き抜きって衣装は替わっても帯が替わるのを観たことがないんだけど、『鷺娘』では、最初の白無垢から赤の振袖に引き抜いたときに、帯も黒の無地帯から黒地に雪の結晶模様に替わったので、ちょっとびっくり。
白無垢の足元は赤い裾よけが覗ていて、そこから見える白い足袋が印象的。
うつむき加減の綿帽子の中の顔とか鷺のような足運びとか、生の舞台では見られない、或いはうっかり見落とす部分も、シネマ歌舞伎ではクローズアップで見せてくれるのがいいですね。
玉さまは、町人とかお姫様とかいわゆる“普通の人間”よりも、富姫やこの鷺娘や清姫といった、人外のもの、或いは人から人でないものへ変化する役の方がハマってると思います。
人智を超えた美しさをもつ妖しのもの……それは玉さま自身なのかもしれません。
恋のために魔性の者に変化するふたりの娘の、対照的な動と静の美しい舞踊を堪能させていただきました。
ホントに地球上の人間なんだろうかと思っちゃいます(マジで)