月は東に

Get Out Of That Rut & Savor Life

シネマ歌舞伎第一弾『野田版 鼠小僧』@伏見ミリオン座・11/11

2006-11-12 02:56:01 | 歌舞伎Review
『勘九郎箱 DVD-BOX』に入ってるから、わざわざシネマ歌舞伎で観なくても買えばいつでも観れるんですけどね。やっぱ37,800円は高いって あと、歌舞伎チャンネルでもクリスマス特集で放映されるけど、ウチの契約はアンテナの都合でこっちじゃなくてスカパー!110の予定で(291chの方だともう1個アンテナ買わないとダメ)110では歌舞伎チャンネルが契約できないから(どういうことだーーーーー)どのみち観れない。
で、やーーーーーっと名古屋にやってきたシネマ歌舞伎での鑑賞です(生では観れてないので)


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勘三郎さん(当時勘九郎だけど)てば、この舞台を約1ヵ月やったわけ?
野田さんがオニに見えてきましたよ(笑)
約2時間、ほぼ出ずっぱ喋りっぱ&あの広い歌舞伎座の舞台を縦横無尽に動き回るなんて、通常の歌舞伎じゃありえない
『ttB』の耕史君も2時間ほぼ出ずっぱ喋りっぱ唄いっぱだけど、勘三郎さんの年齢(体力的な)と台詞と運動量の多さを考えたら『ttB』が児戯にも等しく思えてしまいました……(比較しちゃう自分がおかしいのはわかってるつもりなんだけどさ)
共演者と阿吽の呼吸で、早いテンポの台詞の応酬合戦を自在にを繰り広げていく時の勘三郎さんの表情が素敵。アドリブっぽいやり取りの時は「こいつやりやがったなあ」て表情をするんだけど、新しいおもちゃにどきどきわくわくしている子供みたい ホントにお芝居が好きなんですねえ。

勘三郎さんもノリノリだけど、他の役者さんも負けてない。
福助さんと扇雀さんのコメディエンヌ(笑)っぷりが最高。福助さんなんか自分で笑っちゃうくらいのノリだし(自分のネタで笑ったらあかんやん
七之助君はいつもの歌舞伎よりのびのびやってるし(爆)勘太郎君は観てるこっちが疲れるくらいいっぱいいっぱいな役が妙に合ってるし。弥十郎さんは渋い悪役がぴったり。
あと、三津五郎さん!大岡様のダメ男&悪人っぷりに新たなる三津五郎さんを観た気がしました(笑)
あの大岡様のキャラって難しいと思うんだけど、三津五郎さんはさすがに巧いです。
歌舞伎の役者層の厚みを実感しましたね。年がら年中舞台に立ってるひと達だからずるいといえばそれまでだけど、力のある人たちのお遊びは実に面白い。それが嫌みじゃないし(このへんもずるいねえ/笑)緩急自在というかメリハリがきいているというか。歌舞伎じゃありえない、機関銃のように次から次へと出てくるハイスピードの台詞も動きも難なくこなしてるし。

ただ、いつもと違う役者の表情が観られたのはよかったんだけど、ひとつケチをつけるなら、あのハイスピードの台詞。歌舞伎役者って間合いの取り方が絶妙に巧い人が多いし、そういう役者をじっくり観るのも楽しいと思うんですよ。でもあの早さの台詞だと、その間が少なくなってしまってちょっと残念。
“野田歌舞伎”だから、そういうとこ気にしちゃいかんのだろうけど


歌舞伎といえどもやっぱり野田作品なんですよね。

●普段の歌舞伎では使い切れてない廻り舞台をめいいっぱい。舞台設備フル活動。これ、たしかに歌舞伎座でしかできないかも(御園座でもムリ?結構広いけど)
せりも、長屋が沈んで盆の反対側に屋根瓦の町並み、長屋がお屋敷の入り口になったり奉行所になったり、目まぐるしく変わる。

●降らせ物も豪華。きらきら光って雪のように降る小判や、逆に朝日を浴びて小判のように降る雪も良かったです。

●花道でたっぷりってのがないのね。野田さんにとって花道は、ホントに“道”で役者が駆け抜ける場所でしかないんだと思う。

●お高の家の室内の襖が何枚も建てられているのが、実に野田さんっぽい。襖と襖の間でちゃんとドラマがあるところもね。

●そこかしこに80年代の香りが(笑)…体制批判とか(例/大岡様のキャラ)あと“自分探し”って言えばいいのかな。当時ちょっと流行ったでしょ。三太が自分が何者なのか分からなくなるとこなんか、まさにそうだと思うんだけど。

●言葉遊びやベタなギャグ健在。ちょっと言いすぎじゃないの?(笑)

●色々な立場の人間をきっちり描いてるとこはさすが。台詞は時代がかってなくて現代的なんだけど、江戸時代の人間の“典型”がそこにあるから、近世のひとたちって感じがしました。

●乱発ギャグはかなりゆるくて、普段だったら「こんなもんじゃ笑えねーよ」って感じなんだけど、舞台全体の勢いに乗せられて笑ってしまった。不覚 


とにかくなんだかんだ言ってもやっぱり面白かったです。バランスの良さと安定感に尽きますね。
歌舞伎役者総出で走って笑って踊って蹴られて転んで(蹴られ方転び方がドリフ並の激しさ!ありえねー/笑)、観てるこっちは笑いまくって最後でちょっと泣かされて。
「これは歌舞伎じゃない」と言う方もいると思うけど、この作品はそういう次元で語る必要がないでしょう。
野田さんにはまた“野田版”お願いしたいですね。今度はもうちょっと硬派な感じのやつ。
あ、クドカンや三谷さんの方が先かな?
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