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十八代目中村勘三郎襲名披露 松竹大歌舞伎『名古屋平成中村座』@同朋高校体育館・9/27昼の部

2006-09-29 00:23:41 | 歌舞伎Review
『名古屋平成中村座』千穐楽、かつ7月9月の襲名披露全国公演の大千穐楽を観てきました。


前日26日はあいにくの雨。でも27日は大楽にふさわしく見事な秋晴れ


本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)
十種香(じゅっしゅこう)  あらすじはコチラ
<配役>
八重垣姫:中村扇雀/花作り箕作実は武田勝頼:中村七之助/腰元濡衣:中村芝のぶ
長尾謙信:中村勘之丞/白須賀六郎:片岡亀蔵/原小文治:片岡市蔵

扇雀さんは女方のほうが好きですね(汗/彼の立役はちょっと好みじゃない)
拵も綺麗だし、心情の表現の上手さが、女方の時により発揮されてると思うし。今回のクドキもとてもよかったです。
ここでも芝のぶさん奮闘。八重垣姫との絡みも、大ベテランの扇雀さん相手に堂々の演技でした。
しかしこのひとの声っていつ聞いても自然な女性の声に近くて、舞台用のつくった声に聞こえないのよねえ。素の声を聞いたことがないのでわかりませんが、声変わりしてないのかしら
七之助君は美々しく凛々しい拵で、八重垣姫が一途に想いを寄せるにふさわしい勝頼の佇まいを見せてくれたと思います。

※源左衛門さん体調不良のため、謙信は勘之丞さんが代役を務められました。


口上
巡業大楽の口上なので結構真面目バージョン。
この興行に協力していただいた方々への御礼はもちろん、今後の歌舞伎界の更なる発展を願い尽力するという主旨の言葉が並びました。
勘三郎さんが強く言われてたのが「門閥血筋は関係なく、力のある役者さんが活躍できる場をもっと作っていきたい」ということでした(大賛成一時期は猿之助さんがそういう部分を担ってきたけど、ご本人が思うように動けないから、勘三郎さんへの期待は大きいです)
扇雀さんは「とにかく大事の身体なのでなるべく節制して……」と勘三郎さんを気遣う言葉で、笑いをとってましたね。
弥十郎さんは『野田版鼠小僧』のシネマ歌舞伎(別記事で書きます)をしっかり宣伝。ただ、感極まったのかちょっと言葉に詰まるところもありました。
勘三郎さんも何度目かに頭を上げたときには、顔に涙の跡。
襲名興行も嬉しいことばかりではなく、去年の七之助君のこととか(びっくりだったわよホントに)、今年の勘太郎君の怪我や、源左衛門さんの体調不良やらにも、色々思うところもあったんでしょうね。
後は、南座を残すのみ。その前に兄弟の錦秋特別公演があるけど、これを無事に終えて、南座で中村屋一家揃った姿を見せてほしいです。


新古演劇十種の内身替座禅(みがわりざぜん)  あらすじはコチラ
<配役>
山陰右京:中村勘三郎/太郎冠者:片岡亀蔵/侍女千枝:坂東新悟/侍女小枝:中村芝のぶ
奥方玉の井:坂東弥十郎

弥十郎さんの玉の井サ・イ・コ・ウ
6月に観た仁左衛門さんのはフランケンシュタインみたいだったけど、弥十郎さんは………うーん、ちょっと形容し難いなあ。あえて言うなら「とにかくその顔で笑うなーーーー」って感じ 
仁左衛門さん同様、弥十郎さんもデカいから怖さ&可笑しさ倍増。勘三郎さんが小柄なので、これまた滑稽な部分で効果倍増。
勘三郎さんの右京も、地でやってるんじゃないかと思うくらい(失礼)ノリノリ。情事の後の男の匂い立つ色気という点では6月の菊五郎さんの右京の方が勝ってたように思うけど、浮かれポンチの浮気男の酔態の滑稽さでは、勘三郎さんの絶妙な演技に目を奪われました。
亀蔵さんは慣れてる敵役とは正反対の、寄らば大樹、長いものには巻かれろの小心者キャラ。いつも舞台では役のせいか大きく見えますが、今回は心も身体もコンパクトな(笑)に見えましたね。やっぱり上手いです。
侍女二人組は目の保養 芝のぶさんも新悟さんもキレイ。
でも踊りはどうしてもキャリアの差が出ちゃいますね。芝のぶさんの踊りが際立ってました。
上手いひとばかり並んでるとわからないけど、今回、実力の違いが如実にわかる2人だったので、扇子を扱う手先、振袖の裁きや足の運び方等こんなに違うのかって、非常に勉強になったように思います。

この演目ではいつものごとく、場内笑い声で沸いて、勘三郎さんの襲名地方公演の大締めにぴったりの明るい楽しい雰囲気に包まれて幕となりました。

そういえば、ご当地ネタがあったわ。
右京が帰ってきて、座禅衾を被った玉の井の周りでひとくさり動いた後、床に転がって、
「えれーでかんわ」(←名古屋弁/「疲れた」の意)
玉の井への言い訳として告げた地名が
「尾張名古屋の豊国神社」(←豊国神社が会場から割と近いのよ)
もちろん場内大ウケ やっぱりこういうのは嬉しい~


最後はもちろんオールスタンディングでカーテンコール。
『身替座禅』のキャスト陣が、歌舞伎座より長い花道を往復してくれました(できれば扇雀さんや七之助君も出てきてほしかったけどねえ)
この日の席が18列目の花道脇で、玉の井の拵のままの弥十郎さんと目が合っちゃって、うわあ にっこり笑ってくださったので、こちらも笑顔を返したけど、やっぱり常時あの顔が傍らにあったらやだなあ(笑)


『名古屋平成中村座』は開催場所が高校の体育館ということもあって、運営スタッフの一部は学校の先生&近隣住民&父兄&高校生のボランティアの方々でした。
ダンボール製の道案内の看板や、校舎内・体育館内の貼り紙。テプラで作成の床に貼られた席番号。場内アナウンスはアナウンス部とかの女子高生かな。手作り感いっぱい
更に、通常の歌舞伎公演じゃありえない(笑/失礼)高校生スタッフの丁寧な挨拶。外の道案内ではとにかく自分の前を通る人全てに「こんにちは!」と挨拶。会場内でもトイレ行って帰ってくるひとにも、ひとりひとりにお辞儀してました。
先生や学生は授業との、父兄や近隣の方々は仕事や家事との両立で、ボランティアの仕事は大変だったと思いますが、彼らの協力があってこその『名古屋平成中村座』でしたね。
スタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。

この公演がきっかけで、歌舞伎を知らなかった人達が(特に高校生)少しでも歌舞伎に興味をもってくれればいいんだけどなあ 
と、締めの文にしようと思ったんですが、昨日、同朋高校の高校生スタッフの方から過去記事にコメントをいただきました→コチラ
早速、歌舞伎好きがひとり増えたようです
嬉しいですねー。他にもこういう子がいることを願いたいです



★余話1
余話として書くのもなんだけど、小金吾は勘太郎君で観たかったなあ。


★余話2
『組!』ファンとしてはこれは言っとかないと。
筋書の勘太郎君の紹介文で、『新選組!』が『新撰組!』になってました。よくあることなのでもう慣れっこだけど、やっぱひとこと言いたい
コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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すごいですね~! (REI)
2006-09-29 01:02:00
体育館での歌舞伎!もう、本当にすごいとしか言えませんねー!

会場になった体育館が、どれほどりっぱな設備をお持ちなのか分かりませんが、大道具・小道具・衣裳に鬘、そして俳優さん達の楽屋等など、相当場所がいるし動かしたりするのも大変だったんじゃないのかな?

すごいですね~!本当に!
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REIさんへ (水無月)
2006-09-29 23:28:50
私立の高校ですけど、フツーの体育館です

楽屋裏等の状態がどうなってるかはわからないんですが、何もかもが俄ごしらえで、来る側も迎える側も大変だったのは確かでしょうねー。

体育館での歌舞伎なんか、今後見れるかどうかわからないので貴重な経験となりました。



10/29(日)にNHK教育の芸術劇場で、口上と義経千本桜が放送予定なので、舞台裏の様子もわかるかもしれません。
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