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柚月裕子『あしたの君へ』2019・文春文庫-家裁調査官補くんの迷い、不安、成長を描く

2024年09月02日 | 小説を読む

 2020年夏のブログです

     *

 柚月裕子さんの『あしたの君へ』(2019・文春文庫)を読みました。

 これも旭川の本屋さんで見つけました。

 久しぶりに家裁調査官が主人公の本。

 というか、正確にはまだ研修中の調査官の一歩手前の調査官補、男子カンポちゃんが主人公です。

 じーじの現役時代、こんな推理小説になるような難しい事件はなかったよな、と思いながらも、しかし、じーじが凡庸で気づかなかっただけかな、と反省をしたり…。

 もっとも、話をきけばきくだけ、真実は深まるということはあったかもしれないな、という感想もあります。

 ただし、今となってみれば、ただ話をきくだけでは、話は深まらないし…、とも思い、やはり経験と研鑽が大事か…、とまたまた反省。

 例によって、あらすじはあえて書きません。

 感想に限ろうと思うのですが、これがなかなか難しい。

 元同業者のことはやはり冷静に見えにくいのかもしれません。

 それにしても、物語のうえでのこととはいえ、カンポくんの上司はなかなかいいです。

 適切なアドバイスをしたり、急な出張を許したり(実際には裁判官の許可が必要なので、こうはいきません)、行きつけのお店にボトルをキープしていたり、理想の上司です。

 こんな上司に見守られながらなら、いい調査官が誕生するかもしれません。

 今の現場は少しはこういうことに近づいているのでしょうか。

 そして、同期同士の友情。

 臨床は、やはり、同期、先輩らとの切磋琢磨からしか、成長ができない世界なのかもしれません。

 久しぶりに新鮮な気分にさせてくれた、いい小説でした。     (2020.7 記)

  


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