【業界別 半年先の景気を読む】
◆出版不況もどこ吹く風?
雑誌「sweet」が100万部を突破できた宝島社の秘密
「出版不況」「雑誌不況」と言われるようになって久しいなか、凄まじい勢いで躍進を続けている企業があります。それが宝島社です。女性ファッション誌No.1である同社の「sweet」の発行部数は100万部を超えています。
http://diamond.jp/articles/-/9063
・100万部突破の「sweet」を筆頭に、ヒットを連発
そんななか、
蓮見社長は広告営業の「これからは一番売れている雑誌でなければ広告が集まらない時代になる」といった声を聞き、「だったら、一番を取ろう」と打ち出したのが“一番誌戦略”です。
・トップの決断“一番誌戦略”を成功させた「マーケティング会議」の秘密
それに対して宝島社は、
社長も出席する「マーケティング会議」という場をつくって、
放っておくとどうしてもズレてしまう目標を、“一番誌戦略”という共通の目標に集中させました。
・「付録は本物志向」「ターゲットは絞らない」…“本当に実行に移す風土”から湧き出るアイディア
また、
従来の業界常識からはなかなか出てこないと思われる「値下げ」。業界としては、原価を積み上げ、必要な利益を上乗せすることが常識であり、結果として販売部数が出ない方が価格は高くなるのが当然だと思われていました。
現在は、
「内容が違えば、ボリュームも付録も変わるのだから、価格が変動して当然」という考え方で、毎月価格を検討しているということです。
「マーケティング会議」により生み出されてきたこれらの方策には、
「雑誌は顧客を囲い込みすることなどできない」という宝島社の考え方がベースにあるのではないかと思います。
「競合は、決して他の雑誌ではない」
「読者アンケートは、結果として受け止めるだけで参考にはしない」
「今、読んでいただいている人以外をターゲットとして考える」
「TVコマーシャルは全く読んでもらってない層に訴求できる番組に打つ」
・思わず雑誌を売りたくなってしまう書店応援キャンペーン
「書店スタッフの協力がなくては、とても達成できないと感じた」
これは、2009年にさらなる「sweet」の拡販を考えていた営業担当者の言葉です。
この話を聞きながら感じたのは、
イベントに関わっている宝島社の社員の皆さんが、「招待した皆さんを楽しませたい」と心から思っていたということです。
一見、潤沢な予算を投入しているようにも見えますが、
限られた予算の中で、自分たちの思いに共感してくれる方々の協力を得ながら実現にこぎつけた、というのが実態だといいます。
そういう本気の思いだからこそ、伝わる力が強くなるということなのでしょう。
・強みを活かしつつ、新たな市場をつくる「チャレンジを続ける風土」が鍵に
ダイヤモンド・オンライン