気づいたら、独りだった。
さっきまで側には誰かが居て、話し声が聞こえていた。
僕は考え事をしながら、その声をBGMみたいに聴いていた。
別に話の内容なんて聞いていない。
ただ、声が聴こえてくるだけ。
考え事が煮詰まってきた僕は、息を止めてちょっとだけ深く潜った。
さっきまで見えなかった景色。
さっきまで見えなかった色。
この色は何から出来るのだろう。
この景色は何だっけ。
見たものを心に留めて、浮き上がる。
境界線に浮かび上がったばかりの僕は、まだ不安定。
揺れる肩が境界線に吸い込まれて一つになった頃
さっきまでの声が、もう聴こえてこない事にやっと気づいた。
僕は独り?
そう思った瞬間、「どくん」と何かが鳴った。
まるで心音みたいだったけど、もっと中から聴こえてきた。
独りは不安?
独りは怖い?
自分の中にいる誰かが、僕に優しく声をかけた。
僕は返事をしない。
ただ軽く、首を振るだけ。
ほとんど分からないくらいに少しだけ。
見ている人など、誰もいないのに。
Ref シングレットになった1H NMRより抜粋。
さっきまで側には誰かが居て、話し声が聞こえていた。
僕は考え事をしながら、その声をBGMみたいに聴いていた。
別に話の内容なんて聞いていない。
ただ、声が聴こえてくるだけ。
考え事が煮詰まってきた僕は、息を止めてちょっとだけ深く潜った。
さっきまで見えなかった景色。
さっきまで見えなかった色。
この色は何から出来るのだろう。
この景色は何だっけ。
見たものを心に留めて、浮き上がる。
境界線に浮かび上がったばかりの僕は、まだ不安定。
揺れる肩が境界線に吸い込まれて一つになった頃
さっきまでの声が、もう聴こえてこない事にやっと気づいた。
僕は独り?
そう思った瞬間、「どくん」と何かが鳴った。
まるで心音みたいだったけど、もっと中から聴こえてきた。
独りは不安?
独りは怖い?
自分の中にいる誰かが、僕に優しく声をかけた。
僕は返事をしない。
ただ軽く、首を振るだけ。
ほとんど分からないくらいに少しだけ。
見ている人など、誰もいないのに。
Ref シングレットになった1H NMRより抜粋。