藍こみっ

楽しみな未来へ向けて、昨日と違う明日への一歩

電子ジャーに疲労感を封じ込めろ

2006年10月13日 00時37分57秒 | 研究室
気づいたら、独りだった。

さっきまで側には誰かが居て、話し声が聞こえていた。

僕は考え事をしながら、その声をBGMみたいに聴いていた。

別に話の内容なんて聞いていない。

ただ、声が聴こえてくるだけ。

考え事が煮詰まってきた僕は、息を止めてちょっとだけ深く潜った。

さっきまで見えなかった景色。

さっきまで見えなかった色。

この色は何から出来るのだろう。

この景色は何だっけ。

見たものを心に留めて、浮き上がる。

境界線に浮かび上がったばかりの僕は、まだ不安定。

揺れる肩が境界線に吸い込まれて一つになった頃

さっきまでの声が、もう聴こえてこない事にやっと気づいた。

僕は独り?

そう思った瞬間、「どくん」と何かが鳴った。

まるで心音みたいだったけど、もっと中から聴こえてきた。

独りは不安?

独りは怖い?

自分の中にいる誰かが、僕に優しく声をかけた。

僕は返事をしない。

ただ軽く、首を振るだけ。

ほとんど分からないくらいに少しだけ。

見ている人など、誰もいないのに。



Ref シングレットになった1H NMRより抜粋。