新美南吉さんといえば「ごんぎつね」で有名ですね。
私の時代からずっと国語の教科書に載っているようです。
私は,おなじく教科書にあった「てぶくろを買いに」という話が
大好きでした。
新美さんの文章はとても優しく柔らかな感じで,
読んでいるだけであたたかな気持ちに包まれます。
というわけで『新美南吉童話集』を買って読んだのですが
そのなかで,「狐」というお話がありました。
月夜に7人の子どもたちが歩いていました。
お祭りの日でした。
その中に,文六ちゃんという甘えん坊の男の子がいたのですが,
まずはその子が下駄を買いに行くことになりました。
下駄屋さんで下駄を買おうとしていたとき,
おばあさんがお店に入ってきて
「夜に下駄をおろすと狐がつく」ということを言います。
下駄屋のおばさんは,狐がつかないおまじないをしてくれて
その場は落ち着くのですが,
遊んだ帰り道,夜道の不安の中で,
ふと6人の子どもたちの心の中に,文六ちゃんに狐がついているかも…という
不安が広がっていきます。
その不安は,文六ちゃんが「コン」と咳をしたときに
恐怖になって,文六ちゃんをこわいと思って,文六ちゃんを置いて
めいめいの家に帰ってしまいました。
「文六ちゃんは,ぼけんとしているようでも,もうちゃんと知っているのです。みんなが,自分の下駄のことでなんといいかわしたか,また,じぶんが咳をしたためにどういうことになったかを。」
それをなさけなく思うと同時に,文六ちゃんの気持ちにも心配が生じます。
もしかしたら,じぶんは本当に狐にとりつかれたのではないかと…。
このあたりから,読者である私は,
文六ちゃんの心のうごきに共鳴してしまって,
さびしい思いになって読んでいたのですが…。
帰宅後のお母さんとのやりとりを読むとさらに,
文六ちゃんの不安や心配にさらに共鳴してしまう感じで
ドキドキしながら読み進めることとなりました。
そして,最後は号泣です。。。
以下,内容を書きますが,それまでの文章もしっかり読んだ方が
なんで文六ちゃんがそんな気持ちになるのか,感じ取ることができると思います。
短いお話ですので,読まれることをおすすめします!
ただ,立ち読みしていると泣いちゃうかもしれません。
では,以下,内容の抜粋+引用です。
----------
文六ちゃんは家に帰って,お母さんにお祭りの話をひとしきりしたあと,
思い切ってこう聞きます。
「お母ちゃん,夜,新しい下駄おろすと,狐につかれる?」
お母さんは,文六ちゃんがなぜそういうことを聞くのかを察して
「嘘だよ」と答えます。
でも,文六ちゃんの心配は消えず,
「もし,ほんとだったらどうする?」
とたずねます。
「もし,ぼくが,ほんとに狐になっちゃったらどうする?」
お母さんは笑いますが文六ちゃんは真剣で,「ね,ね,ね」と迫ります。
「そうさね」…お母さんは,ちょっと考えてから
「そしたら,もう,家におくわけにゃいかないね」
文六ちゃんを狐のいるところに連れて行くと言いました。
文六ちゃんはさびしい顔になって
「母ちゃんや父ちゃんはどうする?」
と聞きます。
するとお母さんは
「父ちゃんと母ちゃんは相談をしてね,かあいい文六が狐になってしまったから,わたしたちもこの世になんのたのしみもなくなってしまったので,人間をやめて,狐になることにきめますよ」
文六ちゃんは大きい眼を輝かせます。
そして3人の狐になって暮らすことを想像するのですが,
また心配になって,猟師はいないの?と聞きます。
お母さんはみつからないよ,みつかっても逃げたら大丈夫だよ,ということを言うのですが,
文六ちゃんの心配は止まらず,「でも,~~~なったら?」を繰り返します。
不安で不安で仕方ないのです。
自分は子どもの狐だから,猟師の犬につかまってしまうと。
お母さんはちょっとだまったあと,ゆっくりと,しんからまじめな声でこう言います。
「そしたら,母ちゃんは,びっこをひいてゆっくりいきましょう」
「どうして?」
「犬は母ちゃんにかみつくでしょう,そのうちに猟師がきて,母ちゃんをしばってゆくでしょう。そのあいだに,坊やとお父ちゃんはにげてしまうのだよ。」
文六ちゃんはびっくりしてお母さんの顔をまじまじとみました。
「いやだよ,母ちゃん,そんなこと。そいじゃ,母ちゃんがなしになってしまうじゃないか」
「でも,そうするよりしようがないよ,母ちゃんはびっこをひきひきゆっくりゆくよ」
「いやだったら,母ちゃん。母ちゃんがなくなるじゃないか」
「でもそうするよりしようがないよ,母ちゃんは,びっこをひきひきゆっくりゆっくり……」
「いやだったら,いやだったら,いやだったら!」
文六ちゃんはわめきたてながら,お母さんの胸にしがみつきました。涙がどっと流れてきました。
お母さんも,ねまきのそででこっそり眼のふちをふきました,そして文六ちゃんがはねとばした,小さい枕をひろって,あたまの下にあてがってやりました。
私の時代からずっと国語の教科書に載っているようです。
私は,おなじく教科書にあった「てぶくろを買いに」という話が
大好きでした。
新美さんの文章はとても優しく柔らかな感じで,
読んでいるだけであたたかな気持ちに包まれます。
というわけで『新美南吉童話集』を買って読んだのですが
そのなかで,「狐」というお話がありました。
月夜に7人の子どもたちが歩いていました。
お祭りの日でした。
その中に,文六ちゃんという甘えん坊の男の子がいたのですが,
まずはその子が下駄を買いに行くことになりました。
下駄屋さんで下駄を買おうとしていたとき,
おばあさんがお店に入ってきて
「夜に下駄をおろすと狐がつく」ということを言います。
下駄屋のおばさんは,狐がつかないおまじないをしてくれて
その場は落ち着くのですが,
遊んだ帰り道,夜道の不安の中で,
ふと6人の子どもたちの心の中に,文六ちゃんに狐がついているかも…という
不安が広がっていきます。
その不安は,文六ちゃんが「コン」と咳をしたときに
恐怖になって,文六ちゃんをこわいと思って,文六ちゃんを置いて
めいめいの家に帰ってしまいました。
「文六ちゃんは,ぼけんとしているようでも,もうちゃんと知っているのです。みんなが,自分の下駄のことでなんといいかわしたか,また,じぶんが咳をしたためにどういうことになったかを。」
それをなさけなく思うと同時に,文六ちゃんの気持ちにも心配が生じます。
もしかしたら,じぶんは本当に狐にとりつかれたのではないかと…。
このあたりから,読者である私は,
文六ちゃんの心のうごきに共鳴してしまって,
さびしい思いになって読んでいたのですが…。
帰宅後のお母さんとのやりとりを読むとさらに,
文六ちゃんの不安や心配にさらに共鳴してしまう感じで
ドキドキしながら読み進めることとなりました。
そして,最後は号泣です。。。
以下,内容を書きますが,それまでの文章もしっかり読んだ方が
なんで文六ちゃんがそんな気持ちになるのか,感じ取ることができると思います。
短いお話ですので,読まれることをおすすめします!
ただ,立ち読みしていると泣いちゃうかもしれません。
では,以下,内容の抜粋+引用です。
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文六ちゃんは家に帰って,お母さんにお祭りの話をひとしきりしたあと,
思い切ってこう聞きます。
「お母ちゃん,夜,新しい下駄おろすと,狐につかれる?」
お母さんは,文六ちゃんがなぜそういうことを聞くのかを察して
「嘘だよ」と答えます。
でも,文六ちゃんの心配は消えず,
「もし,ほんとだったらどうする?」
とたずねます。
「もし,ぼくが,ほんとに狐になっちゃったらどうする?」
お母さんは笑いますが文六ちゃんは真剣で,「ね,ね,ね」と迫ります。
「そうさね」…お母さんは,ちょっと考えてから
「そしたら,もう,家におくわけにゃいかないね」
文六ちゃんを狐のいるところに連れて行くと言いました。
文六ちゃんはさびしい顔になって
「母ちゃんや父ちゃんはどうする?」
と聞きます。
するとお母さんは
「父ちゃんと母ちゃんは相談をしてね,かあいい文六が狐になってしまったから,わたしたちもこの世になんのたのしみもなくなってしまったので,人間をやめて,狐になることにきめますよ」
文六ちゃんは大きい眼を輝かせます。
そして3人の狐になって暮らすことを想像するのですが,
また心配になって,猟師はいないの?と聞きます。
お母さんはみつからないよ,みつかっても逃げたら大丈夫だよ,ということを言うのですが,
文六ちゃんの心配は止まらず,「でも,~~~なったら?」を繰り返します。
不安で不安で仕方ないのです。
自分は子どもの狐だから,猟師の犬につかまってしまうと。
お母さんはちょっとだまったあと,ゆっくりと,しんからまじめな声でこう言います。
「そしたら,母ちゃんは,びっこをひいてゆっくりいきましょう」
「どうして?」
「犬は母ちゃんにかみつくでしょう,そのうちに猟師がきて,母ちゃんをしばってゆくでしょう。そのあいだに,坊やとお父ちゃんはにげてしまうのだよ。」
文六ちゃんはびっくりしてお母さんの顔をまじまじとみました。
「いやだよ,母ちゃん,そんなこと。そいじゃ,母ちゃんがなしになってしまうじゃないか」
「でも,そうするよりしようがないよ,母ちゃんはびっこをひきひきゆっくりゆくよ」
「いやだったら,母ちゃん。母ちゃんがなくなるじゃないか」
「でもそうするよりしようがないよ,母ちゃんは,びっこをひきひきゆっくりゆっくり……」
「いやだったら,いやだったら,いやだったら!」
文六ちゃんはわめきたてながら,お母さんの胸にしがみつきました。涙がどっと流れてきました。
お母さんも,ねまきのそででこっそり眼のふちをふきました,そして文六ちゃんがはねとばした,小さい枕をひろって,あたまの下にあてがってやりました。