中間玲子のブログ

仕事のこととか日々のこととか…更新怠りがちですがボチボチと。

第16回日本語臨床研究会

2009-04-27 12:20:49 | 研究日記
この週末、九州大学で開かれた
第16回日本語臨床研究会に参加してきました。
(昨年の記録はこちら

臨床の研究会なので、先生方はたいてい
治療者あるいはカウンセラーの立場の方です。

そこで、映画や歌舞伎、能などを通して「死」について
講演をした先生(映画がとても好きな方らしい)に対して、
「先生自身はやらないんですか?(役者として)」という
質問が出ました。
それに対してその先生曰く
「やりませんねえ。
…セラピスト役、研究者役、家庭人役、その他、
日常でいろんな役を演じていて、それで満足しているからでしょうね」

なんか、いいなあと思いました。

あと、私は対象関係論はあまり詳しくないのですが、
今回、お!と思い、今後勉強していこうと思ったものとして
クラインの「抑うつポジション」の話がありました。
(非常に有名な理論だと思うので、恥ずかしいのですが…)

クラインは、「抑うつポジション」を達成としてとらえ
「落ち込める」という段階に至ると考えたのだそうです。
自分の中に対象に対する愛と攻撃性が同時に存在するとき、
その両方を切り離して考えている間は特に葛藤は生じません。
しかし、それらを両方切り離さずに抱えたとき、
「罪悪感」などが生まれてきます。
たとえば愛しているのに傷つけてしまったなど。
傷つけてきたがこんなに愛していたのかなど。
それらの気づきは、統合によって可能になります。
その統合のために「抑うつ」が必要なのだと。
ざっと言えばこんな感じの話でした。

罪悪感を感じているとき、自分を責めているとき、
少しその感情に対して違った見方ができるかなあと思いました。

マスター・セラピスト

2009-04-21 17:36:21 | 授業日記
※これは、福島大学の4年生が
卒業論文提出を控えた1月31日に
記載したブログです。
別のところに載せていたのですが、
福島大学中間ゼミ卒業生への敬意を込めて
再掲します。

皆、本当によくがんばりました
現4年生、先輩に続くのだ
君たちならやれる

以下、1月31日に時間を合わせてお読みください。

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先週、インフルエンザにかかり、
それが治るか治らないかのういに今度はひどい風邪をひき、
ここのところ、ほとんど学校に行けない日々が続きました

卒論提出締切目前だというのに・・・

しかし、その間、私の卒論生たちは、火事場の馬鹿力を発揮し、
仲間同士で卒論を添削しあい、構造改革しまくり、
金曜日に学校に行った時には、
それぞれの卒論が、見違えるほど素晴らしいものになっていました。

きっと私が元気でバンバン指導し続けていたら。
「自分たちでなんとかしなきゃ!!」という情熱は、
そこまで燃え上がらなかったでしょう。

ゼミ生の1人が言ってました。
「自分たちの卒論って感じが強くもてるようになった」と。
さらには、この危機を乗り越えたことで自信も獲得
「うちら今、めっちゃ冴えてますよ頭はたらきまくりです」

なんてすばらしいゼミ生たちなのでしょう
やれる子たちだなとは思ってましたが、
ここに来て、彼ら彼女らは飛躍的な成長を遂げています
本当に感心するばかり。

「自分はこんな卒論書いた」と達成感を抱いて
自分の卒論に愛着をもってくれること。
自分の卒論を好きになってくれること。
究極のところ、
私の卒論指導において、それ以上の目的はありません。
なので、上記のような話を聞くことは、この上ない喜びです。

それにしても、私ってえらいと思いませんか。
あえてインフル&風邪のダブルパンチをくらい、
体をはって彼女たちが成長する機会を提供するとは。
なんて高度な教育をしているのでしょう。

心理臨床において、
自分にできることを、あえてできないふりをして
クライエントの成長を導くことができるセラピストは
マスター・セラピストと呼ばれるそうです。

無意識のうちに、インフル菌をあえて吸い込み、
無意識のうちに、風邪菌をあえて吸い込み、
結果、無力となって、結果、相手を成長させたってことは、
私って無意識的にマスター・セラピストなのかしら

いやいや、冗談ではなく、

正直、今まで指導しすぎていたのかもと反省したのです。
問われるままに答えを与えすぎていたのかも・・・
上記目的達成のためには、“「自分の」卒論”だという感覚を奪うことは、
あってはならないことです。
なのに、私の方が度を越してしまっていたように思います。
で、挙句の果てにダウン、ね。

今回のインフル&風邪のダブルパンチは、
彼女たちが“「自分の」卒論”という感覚を取り戻すために、
私が一時的に姿を消すために、罹ったのかもしれません。

いやー、うまくできているもんだね。

異動しました。

2009-04-21 17:21:22 | 生活日記
だいぶこぶさたしてしまいましたが、
この4月から兵庫県の兵庫教育大学で働いています。
年末からふってわいたように話が現実的になり、
3年半つとめていた福島大学に別れを告げ、
本当にドタバタと異動してきました。

兵庫教育大学とは、兵庫県加東市にある大学院大学です。
学長の梶田叡一氏は、私にとっては大阪大学時代からの
恩師にあたります。そのご縁でやってまいりました。

しかし、

加東市ってどこ?…私も知りませんでした。

これがアクセスマップです。

学長曰く「アメリカ型の大学」とのことでしたが、その心は
「車で通う大学」とのことらしいです。
逆に言えば、どこからも通えるともとれますが…

とにかく交通の便がとても悪いのです。
私は地図は読める(と思っている)のですが、
「地図を見て暗記してその記憶で運転する」ということはどうも
苦手のようです。

これまで、山道で遭難しそうになったり、
突然のカーブにあわててガードレールにぶつかりそうになったり
あるいは対向車の大型トラックにびびって溝に落ちそうになったり
すでに色々と危険な目に遭ってきました。
頼みの綱の高速道路さえ、逆方向に乗ってしまったりと
なかなか試練の多い通勤路ですが、
徐々に慣れていけるであろうことを信じて日々がんばっています。

学生の多くは敷地内にある宿舎に住んでいるようです。
とにかく居住地は敷地内、敷地内周辺にたっぷりあります。
大学近くの宿泊施設も充実しているようです。

皆様、これから関西にお越しの際は、是非、兵庫教育大学にも
お立ち寄りください。