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マグリット展

2015-04-07 22:47:25 | 美術[ま]
「マグリット展」@国立新美術館

 13年ぶりの大回顧展ということで、約120点のマグリット集合。ミュージアムショップの店員さんが揃ってマグリット帽子をかぶっているのを見て、ついヘヘッと笑ってしまった。

 シュルレアリスムの巨匠マグリットは清純派のマジシャンといった感じの絵を描く。グロテスクな表現や下ネタ系は極めて少ない。女体表現などもあるけれど猥褻なイメージではない。子供たちが見ても想像力が豊かな良い子になるのが関の山である。それに対してダリの作品はエログロ満載、そして精神的にデンジャラスな表現がてんこ盛りなので、子供たちが見たらトラウマになり、病み上がりの子供なら二度寝してしまうのが関の山である。さてどちらの関の山が相撲取りでしょうか。

 マグリットの作品をSF作家に例えると星新一っぽくて、ダリの作品をSF作家に例えると筒井康隆っぽいなんて以前から思っている。どちらも魅力的だ。なんだかわからないモノを描く抽象画家と違い、マグリットもダリもなんだかわかるモノをリアリスティックに描く。でも意味はよくわからなかったりもする。抽象画で意味不明なものは壁紙デザインだと思うことで思考停止する事がよくあるが、具象画で意味不明なものは何だろ何だろ判らん悔しいとか後を引くことがある。それでもその意味不明さが逆に心地よかったりするのもシュルレアリズムの中毒症状なのかもしれない。

 だまし絵の基本的スタイルになってしまった《白紙委任状》、羽ばたく鳥の壮大なイメージでかっこいい《大家族》、昼と夜が同時に来たような《光の帝国Ⅱ》、割れた窓ガラスに風景がこびりつく《野の鍵》、その他、《天才の顔》《嵐の装い》《深淵の花》《告知》《美しい虜》《生命線》《前兆》《無知な妖精》《再開》などお気に入りがいっぱい。締めくくりは遺作となった《テーブルにつく男》。

 デペイズマン(転置)という、或るモノが本来有るはずの無い場所に有る状態を描くマグリット的な不思議な世界にどっぷりと浸かることができる、シュルレアリスムファンには見逃せない展覧会。

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