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聖プラクセディス

2015-04-04 19:48:03 | 美術[は]
 国立西洋美術館常設展示室でフェルメールの《聖プラクセディス》を展示している。真贋が問われる作品ということで、「ヨハネス・フェルメールに帰属」とキャプションが付いているが、フェルメール画集に37作品のひとつとして載っている作品なので、我々一般人としては、それが見られるだけでうれしい。それに毎月の第2、第4土曜日は常設展示が無料なので、まさかのフェルメールをタダで見られるというミラクルが発生。昨年クリスティーズで10億円超で落札された作品、この美術館に寄託した人に感謝しなければなるまい。

 大きさは101.6cmx82cmなのでだいたい40号くらいで、フェルメール作品としては大きい部類に入る。フェリーチェ・フィケレッリという画家の作品を模写したものらしい。フィケレッリとの大きな違いは両手に十字架を握っていること。これにより宗教画としてのイメージがより強くなっている。フィケレッリの元絵より輪郭がはっきりしてわかりやすくなっている。そのため、聖女プラクセディスの後ろで首がちょん切れて横たわる男の姿がよく見える。よく見れば凄惨な現場である。

 真贋がはっきりしないのは気持ち悪いので、よりフェルメール作品らしくするにはどうすればいいのかを考えた結果、左に窓のあるいつものあの部屋で事件が起こったことにすればいいのではとの結論に至った。そこでできあがったのが《新・聖プラクセディス》である。ステンドグラスの窓や壁に掛けられた風景画のある部屋に、首の取れた遺体、いったいなにが起こったというのか。いや、遺体など最初から無かったに違いない。見える者には見える、見えない者には見えない。それはそこに有るようで無いのだ。最初から何も無いのだ。なんのこっちゃ?





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