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ざっきばやしはなあるき  

雑記林花或木 Since 2005-01-01 
美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

皇室の名宝展

2009-10-11 01:24:46 | 美術[か]
「皇室の名宝―日本美の華 1期:永徳、若冲から大観、松園まで」 @東京国立博物館

 朝いちで入場して、若冲部屋に向かうと、すでに大混雑。逆に昼過ぎのほうがゆったりしていた。伊藤若冲の動植綵絵三十幅がぐるりと、ひと部屋に展示されている。こりゃすごい。宮内庁三の丸尚蔵館は全部展示するほど広くないので、まとめて見られるいい機会だ。好きなのは、巨匠対決にも出ていた《雪中遊禽図》によく似た《雪中鴛鴦図》の「ボク平気カモ」 それから、真っ赤なもみじの枝にちっこい鳥が二羽止まっている《紅葉小禽図》 自宅の庭にニワトリを飼っていた若冲だけあって、ニワトリの絵が多い。それもまた繊細な筆遣いがすごいんだけど、リアルなニワトリはリアルにキモイんだなぁ。

 わりと大きめな、並河靖之の《七宝四季花鳥図花瓶》があった。きめ細かくてすばらしい。

 鏑木清方の《散春》という屏風も印象的。右隻には皇居の草の上で和やかに語らう女学生、その先に黒い自動車。左隻には水上生活をする母と子の姿、その小舟の浮かぶ遠景におぼろに浮かぶ鉄筋の清洲橋。鏑木清方の屏風絵にそんなモノがあることがちょっと不思議な感じ。

 ミュージアムショップに尾形光琳が描いた百人一首というものが売っていた。値段は273,000円。なんじゃそりゃ。
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黄金町バザール

2009-09-13 23:54:00 | 美術[か]
黄金町バザール

 治安の悪かった黄金町、街の再生の一環としてアートイベント「黄金町バザール」が開かれている。第一回目の昨年は横浜トリエンナーレと連動していて賑やかな印象だった。それに比べて今年はちょっと寂しい感じ。

 土日祝日がメインのようだが、日によって、やってたりやってなかったり、やってるはずなのになんだか漠然としていてよくわからなかったり。同じ土日でもイベントがあるかないかで大違いなのかもしれないが。昨年と運営方法が変わったとかで、いつなにをどうやるかはアーティスト任せになっているらしい。

 昨年はここで『フクモ陶器』を発見したっけなぁ。

 今後、毎年10箇所ぐらい展示スペースを増やしていくようだ。今はまだ飛び飛びにしか展示スペースの赤いマークが記されていないが、何年か経ったら、マップ中、真っ赤っかになるのだろうか。そうなったらすごい街になるね。

 とりあえず目立つ所に黄金町交番が新規オープン。交番の屋根には大きなタカが止まって街の安全を見守りはじめた。
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鴻池朋子展

2009-09-12 23:57:26 | 美術[か]
「鴻池朋子展 インタートラベラー 神話と遊ぶ人」@東京オペラシティアートギャラリー

 個人的ぐるっとパス強化月間なので、わりと評判のいい鴻池朋子展を見に行った。

 毛玉小僧じゃなくてミミオの出てくる作品やら、オオカミの出てくる作品やらを見ながら進むと、突然キラキラ光る空間が現れた。《赤ん坊》というインスタレーション作品で、真ん中にガラスの破片を貼りつけた、ミラーボール的なでかい顔のえぐい赤ん坊の顔がグルグル回っていて、反射した光が四方の壁一面を幻想的に輝かせてる。床に広がるガラス、縄、山、舟などが、光に起伏を作っている。赤ん坊の顔が停止すると、いままで回転していた光も止まって、目まいのように引き戻される感覚が楽しい。これは必見、お薦めの作品だ。

 展示スペースも凝っていて、くぐり戸のような出入口や、坂道など、観客を容赦なく目指す方角に導く。こういうの結構好き。そして嫌でも触れてしまうオオカミの毛皮の森を抜けなければ、おうちに帰れない。それで受付で動物アレルギーはありますか、とかなんとか聞かれたのだ。

 「いえ、動物を食べても大丈夫です」なんて言わなかったけど、『ああ、オオカミだからね』と普通に思っていた。それで「この毛皮はモンゴルより合法的に輸入されました」なんて注意書きまでしてあった。

 やっぱすごいな。


 同じオペラシティのNTTインターコミュニケーションセンター(ICC)に行ったら、無料常設展だけしかやってなかったので、ぐるっとパスの出番はなかった。

 ここははじめてで、NTTだけあって、電気に関連した作品を展示している。グレゴリー・バーサミアンの《ジャグラー》という作品がかっこいい。少しずつ動作を変えた人型や物体をくっつけた筒をハイスピードで回転させて、パラパラ漫画のようなイメージを浮かび上がらせる。15分回転するとスピードが落ちるので、どんな構造になっているのかが見えて面白い。開館当初から展示されているようだ。
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ゴーギャン展

2009-07-05 00:06:59 | 美術[か]
「ゴーギャン展」@東京国立近代美術館

 《かぐわしき大地》 のタヒチの女の顔にかかるように描かれている赤い幾何学模様は一体何だろうと思っていたら、トカゲの翼だったのね。羽根の生えた妙なトカゲが飛んできた姿だった。いままであんまし意識して見ていなかった。

 《我々はどこから来たのか,我々は何者か,我々はどこへ行くのか》 139cm×374.5cm。ああ、こんなに大きな作品だったのか。人が生まれて死んでそしてまた生まれる輪廻のようなものを描いたという。ちなみに左上の方で両手を上げている青白い像はタヒチの「月の女神ヒナ」というらしい。

 死の直前の作品 《女性と白馬》 には、実際には見えないのだが、遠くの丘の上に白い十字架を描き、死後、そこにある墓地に葬られた。絶妙の御膳立てである。

 また始まったばかりで、広く確保してある大作 《我々は・・・》 の展示室もがら~んとして気楽な気分だった。
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GINZA 画廊の夜会

2009-05-30 02:31:14 | 美術[か]
GINZA 画廊の夜会

 知り合いに誘われて銀座の画廊めぐりをした。一夜限り17:00から21:00までという、もったいないお化けが出てきそうな企画である。今年で5回目のようだが、こんなのがあったなんて知らなかった。情報網希薄。

 そうはいっても金曜日の夜、ちょっとでも仕事がトラブってたりするとアウチなので、直前まで行けるかどうかわからなかった。まあ幸いなんにも起こらなかったし、雨も上がっていてラッキー。

 まずは大きな日動画廊に入って地図をもらっていたら、いきなりドリンクを振る舞われた。奥に進むと立食パーティ会場のように、テーブルの上にいろいろなえさが用意してあって驚いた。おおすげぇヽ(。_゜)ノ ちょっとえさをつまんでから、さっさとのんびり画廊巡り。画廊に入るたびにドリンクを勧められるので、飲んべえな人にはたまらなかろう。

 春画6000円とか、どれでもぜんぶ1万円の値が付いている画廊、1580万円の藤田、8600万円のミレーの羊飼いまで、千差万別。和紙にアクリルで描く智内兄助の大作がきれいだった。名和晃平のガラスビーズ作品のちっこいのがたくさん置いてある画廊もあった。せんとくんの小さな陶芸、陶芸なのに不気味なの。

 白いちょうちんが参加画廊の目印なのだが、外にちょうちん出してない所もあって、なかなか見るからないこともあった。すごくやる気のなさそうな画廊やら、騒々しいくらい混雑している画廊やら、いろんな画廊の顔を見られる。平素ではなかなか入り辛そうな小さな画廊などは、こういう夜こそ元気良く入って行けるいい機会である。29画廊が参加しているうちの19画廊を回れたのでまあまあOKかな。

 追伸

 銀座のタクシーは乗る客には止まるけど、道を渡る歩行者には意地でも止まらない。
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金氏徹平展

2009-05-06 22:09:30 | 美術[か]
「金氏徹平:溶け出す都市、空白の森」@横浜美術館

 エスカレータで会場に上がって行くと、たまたま俺のすぐ前を歩いていた数人の人たちに、丁寧にお辞儀している青年がいて、その人が金氏さん本人だった。きっと世話になっている先生方とかそういった人たちなのだろう。俺は何の関係もござんせんが、同じ歩調で作品を見ていると、金氏さんの説明している声が聞こえてきて、なんとなくギャラリートークに参加しているような雰囲気だった。

 《Tower》という作品は最初から展覧会のイメージ作品になっているが、なんだか怪しげな四角い立体のあちこちに空いた穴から、ひもが出たり手が出たりしてさまざまな小ネタを披露している。これのアニメーションが上映されている。延々と繰り返される意味不明な振る舞いが病みつきになるかも。

 《White Discharge》のシリーズがいちばん気持ちいい。なんかそこらへんに転がっている家庭用品やら部品やらを積み上げて城のような塔のような物体となり、その上から白い樹脂をたんまりぶっかけてある。樹脂がたまった後は、つららのようにタレがしたたる。まるで雪をかぶったかのような、はたまた砂糖菓子のような、濃厚な生クリームたっぷりのウェディングケーキのような、美味しそうな作品である。近寄ってよく見ると台所用品だったりボルトだったりするのだが、遠くから見ると「白い虚塔」である。

 《teenage fan club》のシリーズも面白い。アニメキャラなどのプラスチックフィギュアのカラフルな髪の毛部分だけで全身を覆われている化け物みたいなオブジェ。よく見るとチューバッカやイウォークやキングコングだったりして。こんなに髪の毛ばっかりどっから集めてきたんだ?

 他にも妙なインスタレーション作品がいろいろと会場内にちらかっていた。いろんなモンをくっつけたり積み上げたり並べたりして作られたカタマリ。作っている時がすごく楽しそうな気がする。まさに「おもちゃ箱」をひっかき回している気分。そうだ、幼稚園の頃、積み木で遊んでいた時のエモイワレヌ楽しさを思い出した。
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そうだ 京都、行こう。

2009-04-05 22:06:01 | 美術[か]
行ってきた。

 土曜日の京都は、雨たり曇ったりの白々しい天気で、午後も深まるにつれてもう止むことのないユルイ雨が的確に落下しているという悲しい春であった。傘を出したり仕舞ったり、カメラを出したり仕舞ったり、傘を差しながら写真を撮ったりするのも鬱陶しい。桜も満開とは言えないが、あちこちで桜が登場するので、シャッターチャンスは多かった。空が青かったら言うことなかったんだけどなぁ。

平等院鳳凰堂
 十円玉でお馴染みの平等院。なんと、いままで行ったことが無かった。十円玉を見て行った気になっていたにちまいまい。池に映る逆さ平等院がかっちょいい。

 雲中供養菩薩52体(国宝)というのが面白い。みんな雲に乗ってさまざまな格好でいろんな楽器を持ったり踊ったりしている。52といえばトランプだ。てなわけで雲中供養菩薩52体のトランプが売っていたので買ってきた。ジョーカーは鳳凰になっている。

東寺(教王護国寺)
 春期特別公開をしていた。観智院では《五大虚空蔵菩薩像》というのが面白い。獅子、象、馬、孔雀、迦楼羅(かるら)に乗った菩薩が5体並んでいる。

 宝物館には高さが584.6cmもある巨大な《千手観音立像》があった。こりゃでかいわ。うんげぇでかいわ。

 金堂の《薬師三尊》は金ピカで、薬師如来坐像の台座の下には十二神将が台座を支えるように取り囲んでいる。

 講堂には《立体曼陀羅》と称してでかい大日如来を中心に、21体の大柄な仏像が、国宝や重文が「どうだすごいだろ」と言わんばかりにドカァ~ンと立ち並んでいて壮観である。その中のゾウに乗っている《帝釈天》が池麺なのである。絵ハガキ売り場でも人気ナンバーワンとか書いてあった。

 高さ55m、日本一の五重塔の初層内陣を拝観。その前に広がる瓢箪池の庭園では、けっこう桜が咲いていた。

清水寺
 ここは京都に行くたびになぜか行ってしまう。傘をさした人々が行きかう清水坂、産寧坂、二年坂は大混雑でなかなか前に進めない。

 33年に1度の御本尊御開帳ということで、前回は平成12年に御開帳・・・あれ? 今回は特別らしい。小如来化仏を二本の手で頭上に掲げている「清水型」という独特の金ピカ《十一面千手観音像》。130cmくらいの二十八部衆仏像もズラリと並んでいるが、狭い壇の上にギッシリと並んでいるので、後ろの方は隠れていたりして、電車待ちでホームに並んでいる人たちみたい。それに風神、雷神も含めて、人数では東寺の《立体曼陀羅》より多いが、狭くて座る余裕がないからなのか、みんな立像である。

 坂上田村麻呂を祀る田村堂も特別開扉になっている。「次は百年後ですよ」などと係りのおじさんが言っていた。こういうのに弱いのだ。百年後も来てやろう。下から来るか上から来るかはまだ決まってないが。

清水三年坂美術館
 「美の巨人たち」でやっていた有線七宝の並河靖之《蝶図瓢形花瓶》と彫金の正阿弥勝義《群鶏図香炉》があった。他にもいろいろな作家の七宝、金工、蒔絵、京薩摩など、細かい仕事の成果が並んでいる。ここに来るのがいちばんの目的だった。産寧坂のガヤガヤと打って変わって、狭い美術館の中はシーンと静まり返っていて、ほっと一息つける。

並河靖之七宝記念館
 せっかくだからこっちも行っとかなくちゃ。ここは16:30までと、閉館が早いので、混雑する二年坂などをあせって歩いて、そのわりに知恩院の前で写真撮ったりして、なおさらあせって駆けつけてギリギリ間に合った。並河靖之《黒地藤草花文花瓶》が燦然と輝いていた。やっぱりこれはいいなぁ。同じような藤を描いたでっかい花瓶やちっこい花瓶がいくつかあった。工房、窯場などもあり、小ぶりな庭園はすごくいい感じ。

細見美術館
 並河靖之七宝記念館から遠くないので行ってみた。コスト削減のためなのか、観覧料を払うと入場券として小さなシールを手渡された。美術館のパンフみたいなものも見当たらない。今は「萌春の美 重要文化財 豊公吉野花見図屏風とともに」という展覧会をやっていた。酒井抱一《桜に小禽図》が気に入った。1階から下の展示室へカフェ・キューブの脇の階段をぐるっと回って入る構造になっている。なんとなく外な階段は吹雪のときなど、横殴りの雨が降りかかってきそうだけど、どうなんじゃろ。

 そんなこんなの日帰り京都散歩で、1日の万歩計は25000歩だった。体重は1kg減っていた。
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加山又造展

2009-02-01 01:01:25 | 美術[か]
「加山又造展」@国立新美術館

 加山又造の作品はいままであまり気付かずに過ごしていたので、「これ」と認識して見たのは初めてだ。見て回ると「ああ、これ見た事あるわ」的な作品もあった。東京国立近代美術館の吹き抜けを飾るために作成されたという3m四方くらいある大作3点「雪」「月」「花」から始まって、動物シリーズ。組重なって模様のようにデザイン化されたシマウマにはかなり惹かれるものがある。さらに、まるでペーパークラフトのように見えるゾウやキリン。ひもがシカになる。

 ひるねをしている男の後ろで、木までひるねしている。おまけ程度に裸婦像。あの中では「黒い薔薇の裸婦」がバランスがよくていいかも。そしてほとんど琳派な花鳥画、水墨画。俵屋宗達の何倍も飛びまくる鶴、ゴールドな龍、絵だけじゃなくて、着物、洋食器、羽子板など、いろいろな作品も並んでいる。飛行機の室内やクルマのデザインも手がけたというから、なんでもできた人なのだろう。やたらデザインチックな作品が目立つ人だが、京都西陣の和装図案家の家に生まれたようだから、そういう環境が加山又造を造り上げたのかもしれない。1927年生まれ、2004年死去。

 見ている最中に場内アナウンスで、記念講演があると知り、拝聴してきた。この展覧会の監修をした東京国立近代美術館の尾正明氏の講演会だった。
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カウパレード 東京 俺のうち2008

2008-10-05 22:01:00 | 美術[か]
 カウパレード 東京 丸の内2008 で買ってきた牛セット。ほっとくと飽きて捨てちゃいそうなので塗ってみた。花札をモチーフにして1匹しかいない牛の左右を春秋にして節約した←なにを?

 秋の紅葉 鹿モミジ 春のさくら 新緑の耳
  唇はルージュの遺言 赤タン≪あのようし≫5点
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黄金町バザール & THE ECHO

2008-09-23 23:48:33 | 美術[か]
「黄金町バザール」

 京急の日ノ出町と黄金町の間の高架下は、昼間っから怪しげな店が並んでいる特殊飲食店街として有名だったが、そのイメージを一掃する地域再生まちづくり地区として、明るい街に生まれ変わろうとしている。高架下に黄金スタジオと日ノ出スタジオという2つの施設ができていて、そこをメインとして、この一帯で「黄金町バザール」という無料イベントをやっている。期間はトリエンナーレと一緒で11月30日まで。

 そこでツボにはまったアーティストが福本歩。用途不明の骨董品もどきを展示販売するという、鳩胸がドキドキするようなしょうもない話。

 《風景算盤》はソロバンの玉のかわりにわけわからんもんが刺さってる、ってんで3万円くらいするようだが売約済み。

 《湯呑キャップ》《急須キャップ》はペットボトルに取り付けて飲むことのできるできてもしょうがない、ってんで5000円くらいするようだが売約済み。

 《盆栽時計》《小皿時計》などもサラリーマンがつけるとスーツの袖に引っ掛かるなぁ。時間はわからんし。

 他にもいろいろどれもこれも世界初なのだからまったく驚くべき商品である。笑品か。役に立ちそうでまったく役に立たないものほど高いのである。これはお薦めだ! 絶対役に立つぞ(∵)/

「THE ECHO」

 トリエンナーレと時を同じくして、旧関東財務局と旧労働基準局のビル(ZAIM)で開かれている現代アートの展覧会。こちらは若手日本人アーティストが集まったもの。ZAIMの3階と4階で、部屋ごとに21人の作家の作品が展示されている。入場料500円のわりに面白いかも。

 特に面白かったのが、泉太郎の部屋。作品タイトルは知らないが、絵の具のロケットやら人間ハエたたきやら歩いて泳ぐ通行人やら、ものすごく馬鹿馬鹿しいネタの映像作品が狭い部屋に散らばっていて、まさに「貧相な宝箱」みたいな雰囲気。

 さわひらきの映像作品《dwelling》は家の中を旅客機が飛びまわっている。ベッドやテーブルの滑走路から離陸して、キッチンの上を飛びまわったりするミニマムな空の旅である。

 榊原澄人の映像作品《Flow》は小さな町の中で生まれてから老いて行くまでの人生の縮図をすごく端的に連結したアニメーションで描いている。

 閑古鳥が鳴くくらい空いているので、心おきなくのんびりと見ることができる。10月5日まで。

H BOX

 トリエンナーレ作品として、大さん橋国際客船ターミナルに置いてあるのは《H BOX》といういかがわしい名前の、エルメスのプロデュースによる移動式の映像上映室。今日はいままででいちばん混んでるそうで、行列ができていた。中は椅子が12個という狭苦しい映画館で、短編映像8作品が繰り返し上映されている。だから並んでいてもどのくらい待てば入れるのかは他人任せになってしまう。チケットを見せる必要はない。
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カウパレード 東京 2008

2008-09-13 23:45:44 | 美術[か]
カウパレード 東京 in MARUNOUCHI 2008

 丸の内が牛の街になった。2年前はなんとなく見ただけだったので、今年は全部回ってみた。休憩30分入れて約4時間かかった。最初のうちは天気が良くて暑かったが、午後になって曇りがちになって助かった。万歩計はカウパレードだけで15000歩だった。まあ、いい運動になった。全部回ったとはいえ、大きな牛65頭、ミニ牛8頭、オランダCOWアートの牛などのうち、12番、29番、37番、42番、43番、71番、72番、73番が見つからなかった。どこに隠れてやがるんだ?と後で調べたら、地下、5階、6階、7階とか、そんなところに潜伏していたようだ。だめだ、そこまで付き合いきれない。

 いちばん笑った阿呆な牛は、東京国際フォーラムにいた「略牛」、頭と後ろ脚がくっついて中間が省略してある。AT-STスカウトウォーカーみたいだ。どんな阿呆が作ったのかと思ったら、六本木クロッシングで「ハト命名」「刺身魚拓」「子づくり表札」「トーナメント・モービル」「こけしいきいきマリオネット」などのヘンテコ作品を出品していた田中偉一郎氏であった。ブログの女王しょこたんの牛は「牡牛座ギザ11次元」「魅惑の牡牛座」と2牛出品していて、仕上がりがきれいだった。でももっととんでもない牛を期待していた人もいたかも。
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カミーユ・コロー展

2008-07-27 22:42:34 | 美術[か]
「カミーユ・コロー展」@国立西洋美術館

 会期も後半になっていて、さらに日曜日ということもあり、けっこう混雑していた。特に入口直後が混んでいて、警備の人が「並ばなくてもご自由にご覧ください」などとやさしげに声をかけてくれていたが、小柄な作品がちょこまか並んでいるので、後ろ頭の塊の背後からは後ろ頭しか見えなかろう。

 1796年、パリの裕福な家庭に生まれたコローは絵の修業のためにローマに向かった。日本人からすればあこがれのパリで絵の修業をしたがるところだが、パリ生まれではそうはいかないらしい。銀座生まれが食いだおれに行きたがるみたいなものだ←ちがぅか

 コローというと、以前に八王子の村内美術館で見た《ヴィル・ダブレーのカバスュ邸》が記憶に残っているが、今回も展示されていた。だらだら坂の木立の道の向こうが、明るく開けていて、カバスュ邸らしき白い建物が見える。かなり急な下り坂で、邸宅に向かう道がとても楽しみな雰囲気で、早くあそこでお茶でもごちそうになりたいと思わせる。でも帰りは急な上り坂だなぁ、というような絵だった。だからコローの絵は、見る者に、その土地の雰囲気がリアルに伝わってくるような風景画だと思っている。

 《大農園》も好きな色合いの風景画だった。なんか空の青がいちだんとやわらかく、樹木の葉が消え入りそうにふんわりと描かれている。そして中央に牛が一匹、こちらを見ているのだが、顔がむっちゃ白い。鈴木その子かカオナシかと思うほど白い。一度その白さが気になってしまったら、どうしても牛ばっかりに目が行ってしまう。《白い顔の牛》の絵として永く記憶に残ることであろう。

 肖像画としてはチラシを飾った《真珠の女》、「コローのモナリザ」と呼ばれたようで、確かに顔の向き、姿勢、両腕の組み方もモナリザに似ている。パリ万博で、額の葉冠の影を真珠と間違えたために《真珠の女》と名付けられたといういいかげんな話。誰だ、まちがえたのは?

 最後の部屋には、「・・・の想い出」と称する、晩年に描かれた大きな風景画が並んでいる。《ナポリの浜の想い出》という絵では、子供を抱いた女性と、タンバリンのようなものを掲げた女性が手をつないで、明るく広がる浜辺から木陰の道を歩いてくる。浜辺はとても温かそうで活気にあふれているような様子。そこで過ごした時の楽しかった余韻を、語らいながらこちらに向かってくるふたりの女性。その情景がコローの生涯そのもののような気がして、ふっと寂しくなるようなコローの帰り道だ。
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カルロ・ザウリ展

2008-07-13 00:01:28 | 美術[か]
「カルロ・ザウリ展」@東京国立近代美術館

 イタリア現代陶芸作家のあまりにも個性的な、なんだかわからない作品群。この人独特の白く不思議にうねった物体が、ずしりとした重みを持って鎮座している。存在感がある。黒いのもあるが、やっぱり白がいい。「球体のふるえ」「地中海の形態」などの完成された物体のほかに、「歪められた壺」「歪められた皿」「歪められた塊」「歪められた欲望」などといったシリーズがあって、わざとそうしたのか、失敗しちまったのか、ベチョっと潰れた壺やゲチョゲチョになった皿などの、陶器と呼ぶのもはばかられる、もはや器の役を為し得ない代物で、「ナレノハテ」と呼びたくなるような作品は、池田満寿夫の陶芸作品「裸形シリーズ」を思い出させる。
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KAZARI 日本美の情熱 展

2008-06-22 23:50:53 | 美術[か]
「KAZARI 日本美の情熱」展@サントリー美術館

 オフ会があったので見に行った。いきなり縄文土器から始まって、しゃれこうべの絵柄の着物まで、かざりと言っても多種多様だ。日常生活から、戦い、信仰など、飾りたてることによって、日常を非日常へと変貌させる演出であったと書いてある。『魅ざる、着飾る、祝ざる』とはよく言ったものだ。←いや言ってないって。

 やはりいちばん好きなのは、開館記念展の時にも展示してあった「色絵葡萄鳥文瓢形酒注」 これはヒョウタンぽっくりこに取っ手がついた形が独特でおもしろい。ミュージアムショップにこれの小型のレプリカが売っているが、47500円とかいう値段なので、シャレで買うにはちょっと手が出せない。

 「鉄絵兎文向付」にはウサギが描かれているが、これがまた反吐が出そうなほど耳が長い。それだけならまだしも、針金のような足が卒倒しそうなほど長い。もはやウサギではなくモノノケである。

 武将のかぶともいくつか展示してあった。イカのように見える富士山かぶと、デビルマンのようなかぶと、ウサギのかぶと。ウサギの敏捷さにあやかろうとしたらしいのだが、どうみても弱そうである。シャチのかぶともあって、これはいかにも強そうでかっこよかったが、かぶとと言うよりも彫刻作品だ。

 古典的なかざりを見ていたら、突然、現代アートのようなもんが出てきた。平田一色飾保存会による、自転車部品一式でできた「海老」。自転車のサドルやチェーンカバーやその他もろもろの自転車の部品だけを使って作られたメタリックな海老のばけもん。こりゃおもろい。
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ゴス展@横浜美術館2

2008-02-11 21:59:02 | 美術[か]
 年末に一度行ったゴス展だったが、たまたまオフ会に参加できたので、再訪した。ゴスかどうかはともかく、束芋スクリーン3度くらいをギニョってきた。そういえばこないだ買った束芋DVD「imo-la」を買ったままでまだ見ていない。レンタルじゃないからつい後回しになっちまって。まあいいか。

 こないだはちょっと見て去った、イングリッド・ムワンギ・ロバート・ヒュッターの映像作品もゆっくりと見なおした。血で絵をかく老婆と、地べたを転がる男。ゴスってなん?

 ゴス展は好き嫌いの別れるジャンルだから、じっくり見る人もいれば、どうもいまいち波長が合わないという人もいる。今回の参加者の中にも、入場して10分で駆け抜けてしまったという世界記録の持ち主が現れて、そのあまりの素早さに感動した! その人は常設展示で100倍まったりしていたようだ。
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