ざっきばやしはなあるき  

雑記林花或木 Since 2005-01-01 
美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

落っこちたら受け止めて

2008-08-31 23:45:30 | 美術[や]
 横浜トリエンナーレ開幕も近づいているが、ランドマークタワー内に、マイケル・エルムグリーン&インガードラッグセット制作の「Catch Me Shuld I Fall (落っこちたら受け止めて)」という立体作品が先行展示されている。10メートルの飛び込み台の端っこに、不安そうな顔をした海パン少年が立ちすくんでいる。10メートル下には水を張った丸いプールがある。いつ飛び込むんだろうか。飛び込むのは落っこちるとは言わないから、この少年はしくじって落っこちるつもりなのか。飛び込み台の高さが実感できて面白い。

 ピッカリ源氏でおなじみの「特別展 源氏物語の1000年 -あこがれの王朝ロマン」というのを横浜美術館で見た。源氏物語に関する全国の寺や神社に伝わる絵巻や書物などがいろいろと展示されている。1000年の間にいろいろな人が描いた源氏物語の絵画、江戸の浮世絵師や近代絵画の巨匠の絵など、そして現代、石踊達哉の《「関屋」の帖より月あかり》という絵が綺麗だった。図録を買わずに角川文庫「ビギナーズ・クラシックス 源氏物語」を買った。現代語に訳して書いてあるので読みやすい。この間は「古事記」を読んでみた。しかも、ふりがなもふってあるのでスザンヌでも読めるぞ。
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国宝 薬師寺展

2008-03-27 23:48:45 | 美術[や]
平城遷都1300年記念 特別展「国宝 薬師寺展」@東京国立博物館

 日光菩薩立像、月光菩薩立像、聖観音菩薩立像、吉祥天像などの国宝が奈良の薬師寺から出張して来ている。

 日光・月光菩薩は3メートルくらいあってかなり大きく見える。三曲法というだらしない姿、じゃなくて、直立からちょっと片足に重心を傾けた半リラックス状態で佇んでいる。ほとんど左右対称な雰囲気だが、月光菩薩のほうが少しむくんでいるような気がした。それに頭部の(なんか運動靴の足あとっぽく見えちゃう)装飾が欠けていて残念である。

 聖観音菩薩は小柄だが、すごく律儀にバランスよく直立している。腹も出てなくてスマートな感じがする。真横から見てもホントにまっすぐな奴である。

 あとは形の面白い三彩多嘴壺というのが気に入った。エイリアンの卵みたいな造形で、壺の口が5つもあって生け花に便利そうである。薬師寺三重塔は屋根の形にメリハリがあって綺麗だ。修学旅行で1度見たきりだ。そのうちまた行ってみたい。奈良ぐらいならパスポートもいらないので、行こうと思えばいつでも行けるんだけどねぇ。

 2006年の仏像展の時は、同じ会場に全国から仏像が大挙して押し寄せてきて、右を向いても左を見ても、一木オールスターに囲まれて、すごく荘厳な雰囲気を楽しめたのだが、それに比べると、薬師寺展はちょっと寂しい。目玉商品以外は、屋根瓦のかけらとか展示してあったりして、展示品の少なさを、会場レイアウトでいかにカバーしようかと四苦八苦しているような雰囲気がした。

 代休が取れたので上野に行ったのだが、平日の昼だというのに、美術館内も上野公園もおおいに混雑していた。それはもちろん、「さくらさいちゃったパッとさいた」からである。土日はもっと混むだろうな。今週末が勝負だな。
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prints21 山口晃特集

2008-03-01 00:56:50 | 美術[や]
 書店を徘徊していたら、プリンツ21という季刊誌で山口晃の特集をやってるのを発見したので買ってきた。表紙は、四天王立像の赤い顔の「増長天」、 三つ折ポスターが青い顔の「持国天」になっている。120ページの雑誌で、あっとおどろく90ページくらいの大特集だから、山愚痴屋ファンにはお勧め物件である。
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横山大観 没後50年展

2008-02-27 23:41:13 | 美術[や]
没後50年 横山大観 ― 新たなる伝説へ@国立新美術館

「迷児」 : いちばん個性的だった絵。ひとりの子供の後ろにどこかで見たような大人が4人立っている。よく見れば、キリスト、釈迦、孔子、老子であった。生きる道に迷った子供を、よってたかって淫祠邪教に引っ張り込もうとしているのか、正しい道に導こうとしているのか、それは神様だけが知っている、らしい。

「水國の夜」 : 水辺の夜景、おぼろ月、窓の明かりに映る人影、舟の行き交う川から上へ上へと連なる屋根の雰囲気がいい。

「南天に万年青」 : 絵を描いた着物の展示だが、背中に南天の絵が描いてある。見ていたぱりっとおばさんが「万年青(おもと)どこ? おもとないわよ、おもとどこ? おもと・・・どこ」と困惑していた。ガラスケースの裏に廻れば、着物の裾に万年青の絵が描かれている。それを見つけたぱりっとおばさんが「あら、おもとあったわよ、こんなとこにおもとあったわ ほらこっちこっち、おもとよ、おもと」と別なぱりっとおばさんに手招きしていた。うしろからみればみんなおなじおばさん。

「五柳先生」 : なんの先生だか知らないが、黒い頭巾と白い着物で胸をそらして偉そうにしている。やたら怪しげな風体のなりすまし詐欺師みたいな雰囲気の先生だ。

「柳蔭」 : 家の2階に人影が。なんか五柳先生みたいな白い着物の男が、相手の男と話し込んでいる。高額なレンジフードフィルターでも売りつけているのだろうか。

「生々流転」 : 山に生じた水が人里を流れて遥かな海に注ぎ龍になって天に上るまでを描いた長さ40メートルの巻物。昨年の正月に国立近代美術館で無料観覧したが、その時はゆったりのんびり見ることができた。今日は平日の午前中なのに幾重にも行列ができていて遅々として進まないのであった。絵の中で、馬を引いている木こりの貧相な姿が五柳先生に似ている。先生の本職は木こりだったのか。

 そんなこんなで、生々流転あたりまで来て、もう展示も終わりかな、と思って手元の展示場地図を見たら、まだ半分しか来てなかった。

「四時山水」 : これも27メートルの長い巻物で、モノクロな生々流転とは違い、カラフルに描かれている。日の丸のような赤い太陽、青々とした流水、樹木の緑、桜のピンク、紅葉のオレンジと、四季折々の色合いが続く。上野の横山大観記念館の所蔵品だが、あそこは普通の家だから全部広げて展示するのは、こういうでかい展示場でないとできない。

「海山十題」 : いくつか展示してあったが、これらは売り上げを陸海軍の軍用機用資金として寄付するために描かれたものだそうで、なんとも複雑な気分だが、そういう時代だったのだな。

「愛宕路」 : 木々の緑、赤、橙、山肌の茶色が綺麗で好き。

「五龍図巻」 : なんと龍が5匹もたむろしている贅沢な絵である。

「霊峰飛鶴」 : 切手で有名な霊峰富士を見て終わる。

来たついでに「東京五美術大学連合卒業・終了製作展」を無料でやっていたので、さらっと見学した。

気に入った作品をメモしておく。

多摩美術大学:井原亜美「アニマリズム」 : 手足の長い10匹のぬいぐるみが、みんなあぐらをかいてこっちを見ている。そのどうしようもなくまったりした動物の姿かたちが面白い。

多摩美術大学:小林南「un lock」 : 薄い絹のような面に白いカーテンの絵模様が描いてある。平面なのに波打っている本物のカーテンのように見えてちょっと騙された。

女子美術大学:黒木南々子「希望の世界」 : なんだ、イチョウの葉っぱなんか貼り付けやがって、と思って近寄ると、描いた葉っぱの絵を、人の絵を、物の絵を切り抜いて貼り付けることで、立体的に見えるようになっていた。また騙された。

武蔵野美術大学:熊澤未来子「脱線」 : 大きな鉛筆画。うねうねとうねった電車から落っこちる人たち。そんなの関係なく乗っている人たち、ケータイやってる人たち。これは好きなジャンルだ。

 面白いのは、油絵専攻とか日本画専攻とかいいながら、ぜんぜん別なジャンルで作成している人も沢山いた。ミクストメディアなんて言い出したらもうジャンルも糞もないけど。こういう卒業生の中からまた、とんでもない巨匠が飛び出してくるのだろう。もっとゆっくり見たかったが、大観で疲れていたので、ハイスピードで駆け抜けてしまった。午前中に来た時は大観15分待ちくらいだったのに、大観を見終えた頃には行列が半分くらいに減っていた。さらに卒展を見終えた頃には大観行列は無くなっていた。なんてこった。
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山口晃展 今度は武者絵だ!

2007-08-19 21:23:29 | 美術[や]
山口晃展 今度は武者絵だ!@練馬区立美術館

 今度は武者絵だ、このまえはちがったなぁ。というのを9/17まで練馬区立美術館でやっている。ここは佐伯祐三展以来2年ぶりに来た。それほど広くもない美術館に、ほどよい作品数だが、わりと見ごたえがある。空いていて、細かいペン画などもゆっくりと見ることができる。頼朝、馬バイク、武者絵だけでなく、江戸しぐさ、三越関連、空港関連、挿絵原画などもあった。雑誌BRUTUS「若冲を見たか?」に載っていた伊藤若冲の生涯を描いた双六もあった。若冲坊主ってばスクーターに乗ってやがる。馬バイク武者の掛け軸もかかっていた。こざっぱりとしてちょっと欲しくなる掛け軸だった。これを床の間に飾って、と思ったが、うちに床の間が無いことに気づいたときにはもう後の祭りである。「無残ノ介」のマンガも笑いながら見た。なぜか何も貼ってない真っ黒なボードもあって、これが意図的なのか、まだ途中なのか、謎である。9/2にはアーティストトークもあるらしい。

 それから 8/25 23:00-23:45 NHK教育「トップランナー」は山口晃だそうだ。
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横須賀美術館

2007-06-12 00:35:45 | 美術[や]
横須賀美術館

 観音崎灯台近くに4月28日オープンした横須賀美術館。観音崎通りを挟んで目の前が海、後ろは山という、風光明媚な自然に溶け込むような、グリーンの透明感のある建物。「海の広場」という芝生を隔てて、後ろに下がって建てられている。駐車場を地下に設けてあるので、前面にクルマや観光バスがひしめき合うようなみっともなさがなくてよい。展示室は1階と地下にあり、新しいだけあって、ゆったりとしている。場所が場所だけに、美術館に来るだけで観光旅行気分になってしまうが、その分、横須賀市民でなければ、ちょいと気まぐれに行っちゃう人は少なそうで、今後が心配だ。←大きなお世話か。ひとつ気がかりなのは、駐車場の発券機付近の曲がりがきつすぎる。発券機に手が届かない人が多いのではないか。入るときも出るときもキビシイ。設計ミスじゃないの? 係りのおじさんの仕事を増やしているような気がした。

 今は開館記念として、「<生きる>展:現代作家9人のリアリティ」というのをやっている。開館記念特別展「近代日本美術を俯瞰する」と「谷内六郎 週刊新潮表紙絵展」の全部入りチケットで900円。地下にはヤノベケンジの「ジャイアント・トらやん」という無駄にデカいヤツがおった。黄色い宇宙服みたいなのを着たトらやんもたくさんおった。こいつらはチケットを買う前に、エントランス通路から見下ろすことができる。それだけタダで見て帰ってもよい。遠路はるばる来てすぐ帰るのは自由だ。

・ヤノベケンジの「青い森の映画館」・・・ゾウの背中に乗ってる映画館で、ヘンな映像が流れている。
・舟越桂も何体かあった。大理石の瞳がリアルに光る。しかしスフィンクスの顔はキモい。
・木村太陽の「噛まれた角」・・・展示室の壁を自分でかじったらしい。ネズミか。
・木村太陽の「Big Mistake/Head-turner」「名前募集中」なども発想がバカで面白い。
・地下にあった、岸田劉生の「野童女」が怖かった。赤い着物でニタニタ笑っている扁平な格好の娘は奇怪な座敷わらしとしか思えない。幼い娘がかわいいかというとかわいくない。ほかの麗子像もニタリ酔ったりであるが、この「野童女」はひときわ不気味である。風邪で熱が出てうなされているときに夢に出て来て足を引っ張られそうである。
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山口 晃

2006-08-03 08:49:40 | 美術[や]
 近頃気に入っているアーティスト。書店でたまたま見つけた山口晃作品集を買ってしまった。戦国武将の絵だと思ったら馬頭バイクに乗っていたり、昔の職人たちに混じって現代の職人たちがうろうろしていたりと、過去と現代がそれとなく融合してしまった摩訶不思議な世界が描かれている面白さ。小ぶりな画集に細密な作品なので、拡大するためにルーペまで付属している。
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