「母ちゃん、俺、個展をすることになったよ」
「あ、そう」
電話口の母ちゃんのリアクションは、
予想通りというか、寂しい限りの素っ気ない返事。
「あいかわらず、喜びが少ないね」
「あなたから電話がかかってくると、どきっとする」
こう言われたのは、今回だけじゃない気がする。
母ちゃんに電話をする時は、何か嬉しいことがあった時か、何かでっかい失敗をした時が多い。
たいていは、でっかい失敗をした時。
俺の失敗談は、友達には、笑い話になるが、
どうも、母ちゃんには、笑えない話ばかりのようだ。
「妹が、外国に行くっていうんだけど、戸籍謄本と抄本のどっちが必要なんだっけ?」と母ちゃん。
「そんな昔のことだから、忘れたよ」と、謄本と抄本が、2種類ある理由について、考えながら、答える俺。
「あんたが、インドに行った時、自分で、市役所に問い合わせて、勝手に取り寄せたでしょ」
「そうだったかも忘れたよ」
反対されたのは、はっきりと覚えてる。
どうも、反対された結果、母ちゃんは、謄本だったか、抄本を送らなかったらしい。
「あんた、また煙草吸ってるんでしょ?」といつものセリフを言う母ちゃん。
「煙草をやめろ」と「ご飯をちゃんと食べろ」という話は、お決まりの話だ。
説教が始まり、「うるせぇ」と言わんばかりのセリフを吐く俺。
ここのところ、黙って受け入れることにしているが、
時々、「うるせぇ」と言う感じになっちまう。
「あなたが、心配でどうしようもないのよ」と母ちゃんは、ぼそっとつぶやく。
どっきとして、俺は黙った。
いつもは、強い感じの母ちゃんだから、
電話を切った後も、強烈に耳に残り、
申し訳なくなってくる。
妹と正反対の俺は、
素直に感謝の気持ちを伝えていない。
今回の個展に並ぶ作品の中には、
家族へ感謝の気持ちを込めた作品もある。
そういえば、前に、母ちゃんが、俺の作品を欲しいって言ってたな。
個展が、終わったら、母ちゃんにプレゼントすることにしよう。
「あ、そう」
電話口の母ちゃんのリアクションは、
予想通りというか、寂しい限りの素っ気ない返事。
「あいかわらず、喜びが少ないね」
「あなたから電話がかかってくると、どきっとする」
こう言われたのは、今回だけじゃない気がする。
母ちゃんに電話をする時は、何か嬉しいことがあった時か、何かでっかい失敗をした時が多い。
たいていは、でっかい失敗をした時。
俺の失敗談は、友達には、笑い話になるが、
どうも、母ちゃんには、笑えない話ばかりのようだ。
「妹が、外国に行くっていうんだけど、戸籍謄本と抄本のどっちが必要なんだっけ?」と母ちゃん。
「そんな昔のことだから、忘れたよ」と、謄本と抄本が、2種類ある理由について、考えながら、答える俺。
「あんたが、インドに行った時、自分で、市役所に問い合わせて、勝手に取り寄せたでしょ」
「そうだったかも忘れたよ」
反対されたのは、はっきりと覚えてる。
どうも、反対された結果、母ちゃんは、謄本だったか、抄本を送らなかったらしい。
「あんた、また煙草吸ってるんでしょ?」といつものセリフを言う母ちゃん。
「煙草をやめろ」と「ご飯をちゃんと食べろ」という話は、お決まりの話だ。
説教が始まり、「うるせぇ」と言わんばかりのセリフを吐く俺。
ここのところ、黙って受け入れることにしているが、
時々、「うるせぇ」と言う感じになっちまう。
「あなたが、心配でどうしようもないのよ」と母ちゃんは、ぼそっとつぶやく。
どっきとして、俺は黙った。
いつもは、強い感じの母ちゃんだから、
電話を切った後も、強烈に耳に残り、
申し訳なくなってくる。
妹と正反対の俺は、
素直に感謝の気持ちを伝えていない。
今回の個展に並ぶ作品の中には、
家族へ感謝の気持ちを込めた作品もある。
そういえば、前に、母ちゃんが、俺の作品を欲しいって言ってたな。
個展が、終わったら、母ちゃんにプレゼントすることにしよう。