臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

2001年1月1日付けの朝日新聞朝刊に掲載された「折々のうた」について

2013年06月03日 | ビーズのつぶやき
 押入れを整理していたら西暦2001年1月1日の日付の朝日新聞の朝刊が出て来た。
 私には新聞の切り抜きをしたり、古新聞を捨てないで置いたりする習慣は無いが、2001年1月1日と言えば21世紀の初日なので、新しい世紀の記念にしようと思って、どうやら押入れの奥の方に放り込んでいたらしい。
 その新聞の第一面の片隅に、その頃の朝日新聞の朝刊の人気記事であった「折々のうた」(大岡信筆)が掲載されていた。
 当日の槍玉に挙げられていた(そういう言い方をしてはいけないのかな?)作品は窪田空穂作の短歌「人口の過密は人を孤独とす独言めく年頭の賀詞」であり、それには下記のような解説記事が付されていた。

   人口の過密は人を孤独とす独言めく年頭の賀詞   窪田空穂
 『去年の雪』(昭四二)所収。空穂は昭和四十二年、満九十歳まぢかで逝去したが、最期まで批評精神の旺盛な歌人だった。「新年を迎ふ」と題する逝去二年前の新春詠。「人口」の代わりに「情報」の語を入れれば、二十世紀最後のしめくくりともなろう。逝去の数カ月前に、「たのしきもはた苦しきも過ぎぬれば夢にことならず無思惟に生きよ」と詠んだが、「無思惟」はぼんやりとは違うだろう。

 窪田空穂が上掲作品を詠んだ、昭和四十年の我が国の人口総数は九千八百人余りであり、間も無くいわゆる「団塊の世代」の若者たちが結婚適齢期を迎えようとしている事でもあり、近々予測される「人口一億人時代」の到来は、彼の歌人をも懼れ脅えさせ、かかる一首を賀状に書かせたのでのありましょう。
 だが、「平成72(2060)年の我が国の人口総数は8,674万人になる」との推測記事が、我が国の内閣府のホームページに掲載されている。