イラク北部クルディスタン地方を舞台に、イラク戦争前のイラクの現実とそこに生きる子供たちの姿を描く。監督はイランのクルド人監督で、「酔っぱらった馬の時間」のバフマン・ゴバディ。
戦争が起こる直前のイラク。日本に住んでいる僕にはその現実は見えにくいものだった。だがここにはあの時、あの土地でどのような人々がどのような暮らしをして生きていたかを教えてくれる。
イラクの子供たちは生活レベルで深く深く戦争と結びついているということが、この映画を通してはっきり見えてくる。
例えばメインキャラの少女はサダム・フセインの兵隊にレイプされ、望まない子供を身籠り、出産をしている。映画に登場する子供たちは地雷を掘り出して、それを売りさばいてお金を得ている。また勉強が大事だと語る先生の意見は無視され、子供たちは機関銃を買い求め、それを設置する作業に従事している。
平和な国に住む者にとって、それは明らかにどこかが狂ってしまった世界としか思えない。
また、この作品には両腕をなくした少年、杖を突かなければ歩けない少年といったように実際に地雷で傷を負った子供たちが出てくる。そのリアルな映像だけで充分に戦争というものの残虐さを伝えてくれる。
ここに出てくるものはあまりにリアリスティックで、それだけに日本とのギャップが明確になっている。
この映画にはそういった戦争という狂った価値観に対しての怒りと、容易に癒されることのない絶望を見る思いがする。最後の少女の行動といい、胸をえぐられるような思いを抱かずにはいられない。本作は戦争に残虐さに対する告発なのだ、と強く感じる。
正直言って、物語としてこの作品が優れているとは思わないが、その告発にはやはり大きな意味がある。
この映画はそういう観点からして、観るべき価値があると僕は思う。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
戦争が起こる直前のイラク。日本に住んでいる僕にはその現実は見えにくいものだった。だがここにはあの時、あの土地でどのような人々がどのような暮らしをして生きていたかを教えてくれる。
イラクの子供たちは生活レベルで深く深く戦争と結びついているということが、この映画を通してはっきり見えてくる。
例えばメインキャラの少女はサダム・フセインの兵隊にレイプされ、望まない子供を身籠り、出産をしている。映画に登場する子供たちは地雷を掘り出して、それを売りさばいてお金を得ている。また勉強が大事だと語る先生の意見は無視され、子供たちは機関銃を買い求め、それを設置する作業に従事している。
平和な国に住む者にとって、それは明らかにどこかが狂ってしまった世界としか思えない。
また、この作品には両腕をなくした少年、杖を突かなければ歩けない少年といったように実際に地雷で傷を負った子供たちが出てくる。そのリアルな映像だけで充分に戦争というものの残虐さを伝えてくれる。
ここに出てくるものはあまりにリアリスティックで、それだけに日本とのギャップが明確になっている。
この映画にはそういった戦争という狂った価値観に対しての怒りと、容易に癒されることのない絶望を見る思いがする。最後の少女の行動といい、胸をえぐられるような思いを抱かずにはいられない。本作は戦争に残虐さに対する告発なのだ、と強く感じる。
正直言って、物語としてこの作品が優れているとは思わないが、その告発にはやはり大きな意味がある。
この映画はそういう観点からして、観るべき価値があると僕は思う。
評価:★★★★(満点は★★★★★)