紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「八月の降霊会」若竹七海

2004年09月06日 | わ行の作家
うってかわって、こちらはホラー。
こちらは葉村晶シリーズではありません。

数人の手元に届いた「降霊会のお知らせ」。
富士山麓に集められたのは、一見何の接点もない人たち。
娯楽の一つとして行われるはずだった“降霊会”だったが…。

カバーの裏には“サスペンスフル本格ミステリー”
とあるんですが、本格かぁ?とか言ってしまいました(笑)。
あのね、ホラーですよこれは。「遺品」に感じが似てるし。
最初はなんだかありがちに思える(笑)。
でも、若竹さんだから“何か”があるはず、と思って
読むんですね。そうすると、ちゃんと“何か”はあるんですが、
…そうくるか(^^;)、という感じ(笑)。
できれば、もう少し救ってほしかったなぁ。

「八月の降霊会」若竹七海

「悪いうさぎ」若竹七海

2004年09月06日 | わ行の作家
葉村晶シリーズ、初の長編です。
長編なんだけれども、事件の数は短編集に劣りません(笑)。
濃いよ~。

前回最後の事件で、フリーの調査員になった葉村晶の元に、
家出中の女子高生ミチルを連れ戻す仕事が舞い込む。
調査会社の面々と現場へ向かった晶だったが、そこで
思わぬケガを負う。その1カ月後、今度はミチルの友人、
美和探しを以来されるが…。

ハッキリ言って、今の晶がこのまま仕事を続けるのは、
非常によろしくないことなのかもしれません。
でも、彼女は仕事を引き受けちゃうんだよね。
きっとそこに自分の存在価値を見出そうと
しているのではないかと勘ぐってみたり(笑)。
ものすごーくイヤな人間が(また)出てくるんです。
そいつと対決(?)しながら、事件も片付けつつ、
みんなの未来を行く末を案じつつ…って、
んなことやってるから体がもたんのやんか(なぜか大阪弁)。

…もうすっかり、身内のような感じです(笑)。
クセになりますよー。
覚悟して、そして楽しんで読んでください(^-^)。

「悪いうさぎ」若竹七海

「依頼人は死んだ」若竹七海

2004年09月06日 | わ行の作家
「プレゼント」で最後、探偵をやっていた葉村晶。
ひとところにはなかなか居着かない性分のはずなのに、
どういうわけか、探偵が合っていた様子。
探偵事務所にいる葉村晶に、次から次へと
さまざまな事件が持ち込まれます。
そして、どれも容赦ないです。
晶が容赦しないんじゃないくて、その方がいいから。
もちろん、意識して調査に手を抜かないんだろうけど、
それがどんな結果をもたらすか、分かっていながら、
敢えてヒドイことをやっているような気がしてしまいます。
でも。それが“真実”だから。

念願の詩集を出版し、順風満帆に思えた婚約者の
突然の自殺。新しく借りた部屋が1人では広すぎる…と、
相場みのりに声をかけられ、居候することになった晶。
いつしか、みのりの婚約者の死の真相に迫ります。

葉村晶って、とてもハードボイルダーです。
女の中の男って感じ(笑)。
かっこ悪いけど、かっこいい。
まさしく、若竹さんのキャラクターだと思います。
読み進むほどに彼女の性格が分かっていって、
だんだんと彼女に惹かれていくんですね。
手を差し伸べたくなるような、放っておけないような、
そんな目が離せないはかなさを持ってるんだけど、
でも、やっぱり芯は強い。憧れるなあ。

「依頼人は死んだ」若竹七海

「プレゼント」若竹七海

2004年09月06日 | わ行の作家
若竹七海って、ハードボイルドがよく似合いませんか。
どんな状況にあっても、キャラクターが
健気に頑張るんですよね。だから返って、
ホラーなんかだとそれが裏目に出るんです(独り言)。

8つの事件にかかわるのは、フリーターの葉村晶(♀)と、
娘に借りたピンクの自転車で現場に乗りつける小林警部補(♂)。
…ありえないだろう、ピンクの女児自転車って(^^;)。
それでも警察官ですか、あなたはっ! って
怒られるよ、そのうち(てか、なんで今まで怒られてないんだ?)。
とはいっても、2人は交互に登場。どれも悲しい事件を、
ハードボイルドに解決します(そんな言葉があるのか)。
短編の連作、といってもいいでしょう。

葉村晶の物語は一人称で進みます。
そして小林警部補のは三人称。
この微妙な違いにもちゃんと意味があるのね。
そういうところも細かく設定してあるってのが、
にくいね(何)。
若竹さんらしく、最初っから悪意全開で(笑)、
終わりまでずーっと痛いです。でも、そこが面白いんだなぁ。

「プレゼント」若竹七海