紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「沈黙の教室」折原一

2004年09月15日 | あ行の作家
まず、ハヤカワミステリ文庫じゃないのに驚き。
(ハヤカワ文庫なのね)
日本推理作家協会賞長編賞受賞なのに。

青葉ケ丘中学3年A組。“沈黙の教室”と名付けられた
悪魔のようなこのクラスでは、生徒にだけ
「恐怖新聞」が発行され、“粛清”の対象に
指名された生徒には残酷ないじめが待っていた。
それから20年。同窓会の告知が新聞に掲載され…。

“粛清”。
その響きだけで、なんかびびりますよね(笑)。
自分が中学生の頃、命にかかわるような暴力を
振るわれたわけではなかったけれども、
いじめられるのって、結構しんどかったと思うんですよ。
どちらかというと、じめられる側だったので(^^;)。
そんな、いたたまれないというか、もうどうしようもないという
いじめられる側の諦めの気持ちと、いじめる側の邪気のない残酷さ、
そして、“大人”の受け止め方。どれも交わらない。
3本の線がどこまでも平行に、もしかしたら、
違う次元に存在しているのかも、というくらい、
接点を持てない。で、その隙に生じるのが、“倒錯”。
あ。やっぱ倒錯してるんじゃん(笑)。ま少しですが。

日本推理作家協会賞長編賞受賞というだけあって、
ちゃんとミステリーです。後半、何度も読み返すほど(笑)、
折原“プチ倒錯”ワールドを醸し出してます。
折原を読んでいるといつも思うのですが、
この人の作品、最後まで手が抜けませんね(笑)。

「沈黙の教室」折原一