紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「13階段」高野和明

2004年09月24日 | た行の作家
物語が進むにつれ、一瞬、自分は折原一を読んでいるのかと
錯覚しました(笑)って、これはネタバレにはならないよね?

事件当時の記憶がないまま死刑判決を言い渡され、
収監されている死刑囚。彼の冤罪を晴らすべく、
刑務官・南郷は殺人の前科を持つ青年・三上を従えて
調査に乗り出す…。

映画は見ていないのですが、あまり評判はよろしくないようで、
あの宮部すら、映画を否定してますしね(笑)。
確か、記憶の中では、反町は死刑囚役をやっていたような
気がするのですが、原作では彼、ほとんど出てきません(笑)。
映画では、原作と違ったところにテーマを見出したんでしょうね。
と言いつつ、何をテーマにしたのか推し量れませんが。

久しぶりに重たくて痛い作品を読んだな、と(^^;)。
読み始めから“何か”あるな、ってのがすぐ分かるんですよ。
でも、その“何か”が何なのか、なかなか分からない。
そのもどかしさに加え、テーマの重さ、ストーリーが進むにつれ、
増していくスピード感に、心が付いていけない(^^;)。
久々に胃から打ちのめされました(笑)。
胃痛をもよおし、胃薬とともに読んだのは、「青い炎」以来です。
この内容からすると、あのラストは、良い形だと思います。
少しだけでもみんな救われたんじゃないかな、と。
きちんとした“答え”ってのは出ていないのかもしれない。
でも、南郷には決着がついたんだろうし、三上も何かを
見出していてくれればいいなあ、と思います。
ま、ああいう目に遭った“彼”にとっても、
すべて“因果応報”で納得できるのではないかと。
どっちが原因でどっちが結果なのかってのは、
よく考えなきゃいけないでしょうが。でも、それでいいじゃん(^-^)。
なんて、自分が勝手に思いたいだけだったりします。

「13階段」高野和明