紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「グッドラック(Good Luck)」アレックス・ロビラほか

2004年09月02日 | あ行の作家
最後に1冊。ミステリーではありません。癒し系かな。
“幸運を手にする物語”といわれています。
ちょっと目先を変えることと努力したいで、
幸運は手に入るし、幸せになれる、と。
んなこたあ、重々分かってるっての(^^;)。
私はこらえ性がないので、無理なんですが(笑)。

でも、読み終ると元気が出る、という人も多いかと。
(暗に、自分はそうじゃなかったと言いたいらしい)

「グッドラック(Good Luck)」アレックス・ロビラほか

「ダ・ヴィンチ・コード」ダン・ブラウン

2004年09月02日 | た行の作家
読了直後の率直な感想は「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」(笑)。
だってー。どれをとってみてもそうなんだもん。
子供の頃に感じた“どきどきわくわく”が、
大人になっても感じられるとは思いませんでした(^-^)。

ハーヴァード大学教授ラングドンにとって、事件の始まりは
ルーブル美術館館長ソニエールの死体が発見されたことだった。
グランド・ギャラリーでソニエールの死体は、ダ・ヴィンチの
有名な素描「ウィトルウィウス的人体図」をかたどっており、
その周辺には暗号の数々が残されていた。フランス警察から
捜査の協力を求められたラングドンだったが、そこに駆けつけた
ソニエールの孫娘で暗号捜査官のソフィーは、一目でその暗号が
自分にあてたメッセージであることに気付き…。

↑これは、ほんのさわりに過ぎません。ここから、どとーのように
ストーリーは転がっていきます。まさに、傾斜角度90度の
「どどんぱ」並の勢いです(意味なし)。
実際、事件が起こってから一応の決着をみるまで、正味12時間も
経っていないんですよね。そんな短時間に、あれだけのことがおき、
さらに、蘊蓄(情報)も盛りだくさんに詰め込まれているんだから、
ハードカバーで上下巻ってのも納得ですね。しかも、
そのボリュームを感じさせないストーリー展開は秀逸です。

この中で扱われる“歴史の謎”というのは、日本人にとってあまり
馴染みのないキリスト教で、結構深くまで掘り下げます。
が。宗教としてのキリスト教ではなく、宗教学や歴史学、そして
美術・芸術といった学問的な面からアプローチしていくので、
とても興味深く読み進めると思います。また、その歴史の謎だけに
とどまらず、アクションあり、意外な展開あり、人間ドラマありと、
いろんな面で楽しませてくれます。だから、その辺が
「インディ・ジョーンズ」だな、と(笑)。しかも、最後には
人の“心”に救われます。それがとっても嬉しい(^-^)。

頻繁に“暗号”が出てくるんですけど、これまたスケールが
でかい(笑)。解読するのはプロだから、案外スムーズに
解くんですけど(笑)、奥が深い。で。こういうものを見ていると、
改めて鯨さんってすごいなぁ、と(笑)。また後日報告しますが、
ぶん投げ本として名高い(笑)「文章魔界道」、確かに
笑えるし、くだらないんだけど、奥が深いよねえ。

これは訳者の功績も大きいのでしょうが、主人公のラングドンが
象徴寓意図像学者ということもあって、彼の目を通して見る
景色が、象徴的でとても美しいんです。よく出てくる象徴(意匠)が
あるんですが、より美しく、そしてなまめかしく見えるんですよね。
書評なんかを見ていると、評価はまちまちですが、私は
とても楽しむことができました。洋モノは苦手なんですけど、
人物も場所もよく知っているものが出てくるので、日本の歴史モノを
読むより、もしかしたらスムーズに読めたかも(笑)。
お時間と体力のある方には、ぜひおすすめします(^-^)。

「ダ・ヴィンチ・コード(上)」「ダ・ヴィンチ・コード(下)」ダン・ブラウン

「空中ブランコ」奥田英朗

2004年09月02日 | あ行の作家
いわずとしれた第131回直木賞受賞作。
テカテカ光る表紙と逆さまのbabyがなんとなく目を引きます(笑)。

厳密にいうとミステリーではないかも。
でも、面白いんですっ。めちゃくちゃです(笑)。
しかも、読んでて知らない間に癒されてしまいます。
素敵です(^-^)。

サーカスの花形、空中ブランコのフライヤーを務める山下公平は、
仲間との信頼関係が築けず、今日も演技を失敗。上司に
精神科への通院をすすめられ、向かった先は「伊良部総合病院」。
神経科のドクター伊良部は、なんとも妙な人物で…。

伊良部センセ、中年なのに妙に無邪気でテンションが高く、
見かけはアザラシかトドかといったところ。
注射を打たれる患者を見るのが好きとかで、
何はなくとも、まずビタミン注射を処方する。
またそこにいる女性看護士が摩訶不思議(笑)。
でも、これでなかなかいいコンビなようです。

本作は「イン・ザ・プール」に続く、
伊良部センセものの連作短編。
どれも患者の視点で描かれているので、伊良部センセの
実態はよく分かりません(^^;)。
でも、返ってそれがいいのかも。どんな患者も、
最初はとまどいながらも、破天荒な伊良部センセを
受け入れて、結局センセのおかげで病が治ってしまうんですもの。
その過程が、患者の目と心を通しているだけに、
ものすごーくしんどいんだけれども、
楽になったときの解放感がたまりません。

「空中ブランコ」奥田英朗