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ぽせいどんの今日の一枚 +

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POHNPEI 1994 October ダイビング その6

2021-12-12 12:18:54 | 写真 海

                                                     四本目 マンタロード

    ボートが行き足を止めた。
 「あっ、マンタ」ユキ姐が叫んだ。
 海面をニ匹のマンタが水音を立てて泳いで行く。
 ロープ潜行。潮がぶっとんでいる。
 ロープに掴まった身体が水中になびく。
 排気泡は後方に走り抜けて行く。

 水底。流れは緩和されたものの決して穏やかとは言えない。
 中性浮力を取ろうものならそのまま後方に押し流されて行くだろう。
 そして、自力では二度と戻ることはできないだろう。
 ※チャンネルの出口まで押し流されて浮上。ボートにより回収。再びロープ潜行。それ以外の策は無い。
 海底を這うように前進。ネクサスが重い。
 アザミサンゴの根。マンタ待ちポイントに到着。
 運が良ければ頭上をマンタが行進して行く筈だが・・・。
 ただただマリンスノーが舞っているだけであった。
 マコPはガイドの勤めを真摯に果たしている。ひたすらマンタを捜している。
 待った。ただ待った。
 しかし、いつまで経っても黒い怪鳥はその姿を現さなかった。



 近くの根に見え隠れする小魚にカメラを向けて数分を過ごした。
 マンタはいっこうに姿を現さない。
 残圧計の指針が僅かずつではあるがエアの消費を示している。
 諦めムードが漂い始めた。

 残圧が五十となった。
 マコPはまだひたすらマンタを捜している。
 我々に気を配る余裕は無さそうだ。
 バディに残圧計を見せ、顎を杓った。
 バディが頷いた。隣のマコP のフィンを突いた。
 マコPが振り向いた。バディが残圧家を見せて私を指さす。
 マコPの合図でユキ姐が近寄って来た。私を手招きした。
 ユキ姐に従って水中移動。帰りは流れに添うので体力は要しない。
 間もなく潜行ロープが視えて来た。
 『分かった』と頷いた。
 ユキ姐はすぐに取って返して浪速シスターズと水中でじゃれて居る。

 水深五メートル。鯉幟状態で減圧停止。
 三分が経過した頃バディがマコPに伴われて現れた。
 潜行ロープに掴まり私を見上げている。
 拇を上げて浮上する旨を伝えた。
 一足先に浮上。
 マンタの現れないマンタロードは疲れるのみで楽しめるポイントでは無い。
 期待外れだった。
 
 菱見出し画像は初日に現れたマンタ。

 ・・・・・・

 ※Nikonカリブで撮影した街中のフィルムがまだ見つかりません。

 「PCRレストランに行く」ガイドブックを視ながらバディが言った。
 「何処でも大差は無いよ」
 「行きたいの!」
 『・・・・・・グアムでもガイドブックを鵜呑みにして失敗しているだろうが』

 コロニアの街?は既に夕闇が迫っていた。
 歩くこと三十分。目的地に着いた。
 「ショクジ?」店の前にたむろしていた現地人の女に訊かれた。
 「そう」
 「キョウ ダメ ダンタイ リザーブ アシタ マタクル」

 とっぷり陽が暮れた道を足取り重く歩いた。
 道路縁で休息。目の前はパームツリーテラスホテル(廉価のホテル)
 ふと視ると見覚えのある顔。杉浦夫人だった。
 「おい」とバディに顎を杓った。
 「・・・・・・?・・・あっ!」
 それからしばし立ち話。

 杉浦夫人の奨めもあってレストラン『やえこ』へ。
 オーナーは初老のご婦人。本人の名前を店名につけたのだろう。
 「おすすめは?」
 「カレーなんかいいですよ」
 その他はオムライス、ピラフ、フライドチキンのみであった。
 「ではそれにします」
 「飲み物はどうします?。珈琲は一ドル頂きますけどアイスティはサービスですからそちらになさい」
 「では、そういたします」
 ・・・・・・
 まず特大のグラスにアイスティ、大量の胡瓜の漬物。
 暫くして出て来たカレーライスも大皿だった。しかも生卵が付いていた。
 それも小鉢に五六個まとめてだった。
 客は外のテラスに混血と想われる御夫人団体。薄暗がりの中で談笑しながら食事を摂っている。
 「こちらの方は外の方を好むみたいですね」とヤエコオバサン。
 隣の席は若い日本人のカップル。こちらは静かである。
 ヤエコオバサン、日本語に飢えているわけでは無いだろうがよく喋る。
 バディと盛り上がっている。
 「カセレリア」白人の二人連れ。
 「男の方が私達に話しかけてきた」
 「******」
 「・・・・・・?」
 拙い英語力でどうにか理解するまでにはだいぶ時間を要した。
 彼が語るにはCNNニュースで北海道地震を流していたらしい。
 昨年の奥尻地震のことかと思ったがどうもそうではないらしい。
 詳しいことは帰国してからのことだ。

OGPイメージ

北海道東方沖地震 - Wikipedia

 

 

 

 ・・・・・・

 夜。階段の途中に据えてあった本箱から持ってきた文庫本を読んでいた。
 バディはポストカードをフロントに持って行ったきりいっこうに帰ってこない。
 心配の必要は無いだろうが階下へ降りてみた。
 やはりすでに賑やかしさを通り越した笑い声。
 ロビーにはスタッフ一同と浪速シスターズ、そしてバディ。
 「ワッー」私の顔を視て嬌声が湧きおこった。
 『俺を話題にして盛り上がるんじゃ無いよ』
 オーナーが酒の用意を始めた。
 胃が痛み始めた。

 

 つ づ く  

 ※掲載順位がランダムなのでダイビング記事の目次を作りました。
  年代順となってます。

  ダイビング編目次

 

 


 



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