ぽせいどんの今日の一枚 +

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今回は大勢での沖縄 1994 秋  その7

2022-03-17 12:41:59 | 写真 海

                   アフターダイブ


 「砂辺に寄りましょうか?」エア充填屋を出るとKAZUが言った。
 「講習が終わった頃かな?」
 「そろそろでしょう」
 ・・・・・・・
 車を降りて防波堤に昇った。


 ここの防波堤は遊歩道も兼ねていた。
 所々に白く塗られた中世風の休息所が建てられていた。
 しかし、そのいたるところにスプレーによる落書き。悲しい風景である。
 波返しの上に横たわった。陽の光が心地よい。
 「まだ講習中のようですね」
 「あれがそうだろう」百メートルほど沖合にリングブイが浮いていた。

 「アイスを買いにコンビニへ行こうぜ」とT村が仲間を誘っている。
 「俺にもひとつ頼む」 胃痛対策だ。
 「どんなのがいいですか?」
 「なんでもいい」
 「分かりました」

 「俺もコンビニに行こう」とN村。
 「そうだ、絵葉書があるかどうか見て来てくれるか?」
 「分かりました。視て来ます」」

 漸く海洋実習が終了したようだ。
 KOを先頭に一団が岸に戻って来る。
 「どうだった?沖縄の海は?」
 「最高でした」と主将のSC。
 「あいつら、顔が強張ったままですよ」とT村。
 「お前もそうだっただろう」
 みんな一様にぐったりとしている。
 「オザー!。大丈夫かー?ちゃんとできたかー?」
 「はい」顎が出ている。
 「美友紀!」
 「大丈夫です」
 「マッキー!。歩き方がオバサンしてるぞ」
 「・・・・・・」

 暫くしてSHIMA組が上がって来た。
 「小橋!。どうだ?」
 「耳がなかなか抜けませんでしたが、最高です」
 「ヒナプーは?」
 「ハイ・・・・」ちょっと元気が無い。
 『そんなことだとアズサに愛想をつかされるぞ』
 「綺麗だったー。写真と同じ魚がいっぱいだったー」と一人はしゃいでいるのは直子だ。
 「魚を眺める余裕があれば大丈夫だ」
 エリーとK谷は疲れ切った顔で歩いて来る。タンクが重そうだ。
 後片付けに時間がかかりそうだ。
 「先に行きましょうか?」とKAZUを促した、

・・・・・・

 ダイビングサービスに到着。
 「明日も使うんだからざっと洗えばいいんだよ」
 メッシュバッグから機材を取り出している五人に言った。
 「?」
 水槽の中にバッグごと沈めて軽く揺すった。
 「この程度でいい。明日終わったら丁重に洗え」
 「分かりました」

 店内に入るとKAZUがロギングをしていた。
 「お疲れ様」と、K田がコーラーを運んで来た。
 五人は魚類図鑑を開いて騒いでいる。
 私はどうも手持無沙汰である。横になるスペースも無いし。

 外が賑やかになって来た。講習組が帰って来たようだ。
 「ぽーさん」とKAZU。
 「はい」
 「ログを・・・」
 「持って来てないんだ。部屋に帰ってからみんなでつけますよ。昨日もそうしましたし」
 「そうですか。ではこれをコピーしますね」
 「ありがとう」



 コーナーに置かれたテーブルではMGと矢野嬢がログブックを開いている、
 KAZUの書いたそれを書き写している。
 「どうしてツバメウオって名前なんでしょうか?。全然ツバメに似てないですよね」と矢野嬢がKAZUに訊いている。
 「そうですね。そう言われれば・・・?。今度調べておきますね」
 知識をひけらかす心算は無いのだがここは私の出番だ。
 「私が代わって答えましょうか。あれは横から眺めていては解らないんですよ。下から、腹側から見ると燕のシルエットなんだそうですよ。国鉄スワローズ(※古い!)のマークのような」
 「そうなんだー。今度は下から観てみます」
 「ちなみに英名はスペードフィッシュです。そのままですね」

 ロギングが終わると二人はKAZUにサインを求めている。
 「コメントも書いてください」とMG。
 「これも使ってくださいよ」とぽせいどん製スタンプを棚から持って来た。


 「いいですねこれ」
 「私の土産です。ログブックに押すには事務用のスタンプでは味気ないからね」

 「サインお願いできますか?」とMG。
 「私の?」
 「ええよろしければコメントもお願いします」
 「ぽーさん。スタンプも押せば・・・あっ持って来てないんだ」とN村。
 「明日も潜りますか?」
 「ええ」
 「では、明日、私の似顔絵スタンプを持ってきますよ。今はサインだけを」

 DラスがVTRのスイッチを入れた。
 ファーストシーンはマリーナだった。セッティング風景が映し出された。
 「M山。タンクのバルブは全開してちょっと戻す。だぞ」
 「はい」
 移動中のボート。バウに集まっていた学生五人が映っていた。
 「撮っていたんだ。全然気づかなかった」と五人がはしゃぐ。
 ズームが退かれて私の後ろ姿。薄くなった頭頂部に眼が行く。
 「俺こんなに薄くなっているんだ!。・・・これではアルシンドって言われてもしょうがないな」
 海中。画面はボートの底。バックロールエントリーが次々に映し出された。
 「あっ、これ、俺々」五人は賑やかである。
 私が映し出された。ヘッドファーストで潜行して行く。
 「オッー!」ビギナーの彼らにとっては驚異なのだろうが決して難しい事ではない。
 私の場合は御宿で幼いころから素潜りをしていた。素潜りはヘッドファースートが基本である。
 次々に映し出される海中風景。
 講習組も加わってさらに喧騒は続く。
 

 「では、試験頑張ってな」
 「はい」
 「落ちついて考えれば必ず合格する。いままで私と来て学科試験に落ちた奴はいない」
 「がんばります」
 ・・・・・・
 部屋に戻ってまずは入浴。
 昼食が撒き餌に変わって空腹だった。胃痛が始まっていた。
 ロビー脇の食堂でソーキ蕎麦を手繰った。

 ログブックを手に隣の部屋に。
 「もう今日は大丈夫だよな」
 「はい、魚の名前さえ教えていただければ」
 「思いだす限り書きだすから、またそれを写せ」
 「はい」
 「夕食の件だがTY大の二人が『沖縄料理の店に行きたい』と言ってるんだ。良ければお前たちも一緒に行くか?」
 「何処の店に行くんですか?」
 「国際通りから少し入ったSHIMA御用達の店だ」
 「どんなものが?」

 「それこそゴーヤチャンプル、ラフティ、」ミミガー、アシテビチに・・・行けば分る」
 「行きます」
 W辺とN村が写真を持って来た。
 「おお、もうできたのか。見せてみろ」
 まずネガと照らし合わせて五枚づつ撮影者別に分けた。
 それをテーブルの上に並べた。
 「カメラがカメラだけにこれと言うものは無いな。ほとんどがピンボケ。
  あれは固定焦点だからなぁ。たぶん一メートル前後だろう。
  それより近くても遠くてもボケて駄目だな」
 「そうですよね。はっきり写っているものは無いですよね」
 「それからフラッシュを焚いているだろうが効いていない。
  光量が足りない。水中では陸上の四分の一程度になるしな」

 「どうやって撮ったらいいんでしょうか?」
 「明るい海で、今日みたいな日は出来るだけ水面近くで撮るんだな。・・・本日のコンテストはグランプリ該当作品無しだな」
 「この魚の名前を教えてください」と写真を指さした。
 「いいよ。これが・・・!。オイどうしてツバメウオの写真が一枚も無いのだ?。今日の魚の中では一番撮りやすい魚だったと筈だぜ」
 「あっあー?!」
 「大きさも充分あるから米粒みたいにならなくてグランプリを狙えたのに」

 「魚の名前を憶えたいです」
 「まずはチョウチョウウオにクマノミだな。チョウチョウウオは形と紋様がはっきりしているし、クマノミも区別しやすい」
 「図鑑も買った方がいいですか?」
 「余裕があればね。視ているだけでも結構楽しいし、生態を理解するともっと面白い」

  と、言うわけでそれからはクマノミの話。
 クマノミはイソギンチャクと共生していることでよく知られている魚である。
 英名はアネモネフィッシュ(イソギンチャクの英名はアネモネ)。
 沖縄にはクマノミ、ハマクマノミ、カクレクマノミ、セジロクマノミ、ハナビラクマノミ、トウアカクマノミの六種が棲息している。
 イソギンチャクの毒に何故平気かと言えば、身体の表面に分泌されている粘液に保護されているからだ。
 この粘液を拭き取ると暫くはイソギンチャクには近寄ることができない。
 ひとつのイソギンチャクには大小十数匹(時には数十匹)のクマノミが共生しているがそれらに親子関係は無いとされている。

 
 ハマクマノミ


  クマノミ


  カクレクマノミ (ファイティング ニモです)


  セジロクマノミ


  ハナビラクマノミ

 残念ながらトウアカクマノミの画はありません。機会に恵まれませんでした。

  雌が一匹。成熟した雄が一匹。他は全部未成熟の雄である。
 何らかの理由で雌がいなくなると成熟した雄が性転換をして雌になる。そしてNo.2の雄が成熟し夫婦となるそうだ。

 イソギンチャクに保護されているクマノミですが、イソギンチャクはクマノミを棲息させるメリットはあるのかというと・・・あるそうです。
 この話は長くなりますので次の機会にとさせていただきます。

 午後九時。
 「学科試験はどうだった?」
 「はい、大丈夫だと思います」とSC。
 「沖縄料理の店に行くが、行く者を十分後にロビーに集合させてくれ」
 「わかりました」

 「エリーさんとK谷さんは実習で疲れたので行かないそうです」と直子。
 「あの二人が言い出したんだぞ・・・まあいいか。では出発」
 総勢十五人の行列が夜の那覇を行く。

 古都里。値段が安い所為であろう。やはり混みあっていた。
 全員の席が出来るまでに暫く待たされた。
 メニューは当然沖縄の言葉で記されている。
 私が解説役なのだが全部を理解しているわけではない。いくつか代表的な沖縄料理を頼んだ。
 「あとはそこのカウンターに並んでいるものを指さして頼め」


 私を含めた少数以外はまずビールを注文。
 ビール、烏龍茶、料理が運ばれて、それでなくても賑やかな連中が更に賑やかになった。
 「ねえねえ、ビールもっと飲みたくない?。半分づつにしようか?」 とアル中オバサンの直子が向かいの席のヒナプーにアプローチ。
 ヒナプーも嫌いでは無い方なので拒まない。
 暫くするとまた同様に。
 「オイ、奴の隣に座っているのは彼女だ」と小声で囁いた。
 「エッー!本当?。全然気づかなかった。気を悪くしたかなぁ?」
 「そんなことは無いと思うが少しは気を遣え」

 

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   ※掲載順位がランダムなのでダイビング記事の目次を作りました。
  年代順となってます。

  ダイビング編目次

 



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