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沖縄不安ダイブ & Cカード取得ツアー 1993秋 その8

2021-11-29 12:47:40 | 写真 海

              国際通りへ

 「これから国際通りを廻って夕食にする心算だが・・・・・・お前はどうする?」
 部屋に帰ってT 村はベッドに伏せていた。二日間のボートダイビングは初めてのT 村には少々きつかったのかもしれない。
 「では、我々は出かけるからな。九時過ぎには試験も終わって連中も帰って来るだろうから・・・それまで寝ていろ」
 T 村を残して街へと繰り出した。まずは『パレットくもじ』
 地下に降りて水槽を視た。ロクセンスズメダイ。縞が消えていた。
 たぶん太陽光にあたらないのが原因かと。


 店内をざっと見廻してブルーシール・アイスクリームへ。 私も観光客をしていた。

 久々の国際通りであった。だが感激は無い。
 しかし、どうして女たちはこうもウィンドーショッピングなるものが好きなのだろう。
 私の興味の対象はガラスの向こうには全く無い。ただただ二人を待つだけである。
 公設市場。この通りの怪しい雰囲気は盗難アジアのそれに似て面白い。
 危険な雰囲気と椰子油の匂いがこれにプラスされれば全くそのものと言っても差し支えない。

 女二人は土産物を買い込んでいる。空港で買うよりも多少は安いので生もの以外は暇なときに出向いて調達するのが得策だ。
 私も沖縄蕎麦を購入。
 暇なので頼まれもしないのにサクラに変身。土産物屋のオバチャン、驚いた顔で私を視た。『シャレだよ』
 夕食は二人の希望で琉球料理の店へと向かった。
 国際通りにある店は観光客用のそれである。値段が高いだけで本当の沖縄はそこには無いような気がする。
 『古都里』シマ推薦の店だ。だが琉球料理の店と言うよりも飲み屋そのものだ。
 長いカウンターが設えられていた。テーブル席はほんの僅かだ。

 空席は・・・奥にひとつ、すぐ前にふたつ。
 「・・・三人なのだが」
 「ちょっとお待ちください」
 座っている客を順送りに一人ずつ奥へと移動させた。三人分の席があっと言う間に出来上がった。



 「さて何を喰うか>」メニューを広げても沖縄が初めての二人にはわかるはずがない。
 ラフティ、グルクンの唐揚げ、シーフードサラダ、ゴーヤの天ぷら、沖縄風焼きうどん、揚げおにぎり、ナーベラ炒め、その他にビールと烏龍茶。
※女将のお奨めでナーベラ炒め。ナーベラとは糸瓜です。食用?と思いましたがウリ科ですから。たぶんまだ若いそれは茄子に似てました。
「熱いから気を付けてくださいね」カウンターの向こうから料理を乗せた皿が手渡された。
 「あつっ!」女将がびっくりした顔をして振り返った。
 女二人は「また!」と言った顔で白い目で私を見る。
 三人で適当にそれを突きながら呑み喰いかつ話た。


 酒肴は主にシマであった。
 「年齢は三十三だそうだが・・・結婚はしているのかな?」
 「いても不思議は無いけど・・・指輪はしていなかった」
 「指輪では決められないけれどね。ダイビングには邪魔だし。
  まあ、アタシの見立てでは結婚歴あり、子供が一人二人、女癖が悪く、それが原因で逃げられた。
  ・・・だがいっこうに懲りずに客の若い女を誘って夜ごと徘徊」
 「それって滅茶苦茶悪く言ってません?。シマさんのこと嫌いなんですか?」
 「いや、そうでもないよ。愛すべき奴だと思ってるよ。それに今回はだいぶ気を使ってくれてたし、
  まあこの時期にこれだけの客を引き連れて来れば気を使わざるをえないだろうが・・・」

  空席が目立ち始めた頃に女将が我々の話相手になってくれた。
 「Hダイバーズのシマに紹介されてここに来たのだが・・・御存知ですよね?」
 「はい、よく取り巻きを連れて来てくださいます」
 「若い女ばかりでしょう」
 「そうですね、私なんか相手にもしてくれませんね」
 「ほらみろ、俺の言った通りだろう」
 「でもあそこまでは言ってませんよ」
 「最初に来た時にね、オーナーに聴いたの。イントラのKOは見た通りの堅物なんだと。あいつは私と一緒のタイプだな。
  それに輪をかけて堅いのが今回は居なかったがガイドのKAZU。で一人軟派なのがシマだと」
 ※後日、ちょっと前に訪れた知人(女性三名)から電話が来た。
 「シマさん大丈夫だった?」
 「何が?」
 「毎晩私達と飲み歩いていたんだよ。二時三時まで」
 「古都里でか?」
 「どうして分かるの?」
 「奴が行くところならその辺かなと思ってね。で、奴は・・・?」
 私が古都里で二人に語った推測は殆ど的中していた・・・『やっぱりな!』
 「年に何回か沖縄に来てるからまたお邪魔しますよ」そう言って店を出た。勘定は六千円を少々越えたほどだ。

 再度国際通りへ。
 「あっ、T 村君だ」と架純。
 T 村を先頭に十六名が連れだって歩いて来る。
 「おい、試験はどうだった?」
 「どうにか・・・なったと思いますけれど」三年生の一人が答えた。
 「夕飯か、どこに行く心算だ?」
 「何処かいい処がありませんか?」
 「何を喰いたいのだ?」
 「なんでもいいんです。ぽーさんたちは何を召し上がったんですか?」
 「俺達は琉球料理だが・・・予算は?」
 「千円くらいですか」
 「では琉球料理はやめろ。川の向こう側に行けば極普通の店がある。五百円くらいからでどうにかなる。T 村は分かるだろう。案内してやれ」
 「はい」
 「明日はボートダイブで疲れるからな、あまり遅くなるなよ」
 二人が待っていた。
 「古都里を教えたの?」
 「いや、予算を訊いたらすすめられなかった、それにあの人数だし」
 「そこまで気を遣ってあげるの?」
 「中にはぎりぎりで来ている者もいるからね。夏もろくなものを喰っていなかったり。それに土産のひとつでも買いたいだろう」
 「そう言われれば私も学生時代は貧乏だったな」
 「T 村の奴、偉そうにしていなかったか?」
 「顔が合ったらバツが悪そうにしてました」
 「他の連中も、来年また来たら結構偉そうにするんだぜ」

 部屋に帰って来た。テーブルの上にユンケルの瓶。T 村の披露の度合いが分かると云うものだ。
 ノック!。二人がログブックを持ってやって来た。
 「アタシはもう先に書いてありますので・・・」ログブックを開いて渡した。
 「あの時の魚は・・・?」本日も私は魚類図鑑。
 「何これ!。もう年寄りはこれだから・・・」架純がユンケルの瓶に気づいて言った。
 「俺じゃないよ。部屋に帰ったら有ったんだ。T 村だよ」
 「本当?」と口では言っているが別に私の言葉を疑っているわけではない。
 「今日で三冊目だ。・・・何か書いてください」
 「三冊目と言うと何本だ?」
 「四十五本」
 『三冊目おめでとう。水中で視る貴女はタテキンよりも艶やかです』
 「タテキンって何?」
 「タテジマキンチャクダイ。野崎の終わりの方で出て来た」
 「あのT 村君を押し退けて追いかけて行ったアレ?」
 「T 村で無かったらああはしなかったけれどね」
 「『凄い!あのくらいしなければ撮れないんだろうな』とあの時思ったぁ」


 ※ 別日 別地 で、撮影したタテジマキンチャクダイ 動物の紋様は頭部を上、尾部を下にして決める。
   身体にへばりついているような小魚はホンソメワケベラ。(他の魚の体に着いた寄生虫などを餌としてつついて掃除する魚。クリーニングフィッシュ)

 「私も二冊目終了」丸ポチャが叫んだ。
 「ほとんど同じ本数なんだ?」

 「一本しか違わなかったんだよね」
 「貴方のにも何か書きますか?」
 「お願いします」
 『二冊目終了おめでとう。水中で視る貴女はハリセンボンよりふくよかです』

 

 

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   ※掲載順位がランダムなのでダイビング記事の目次を作りました。
   年代順となってます。

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