かくれて咲く花

~凛として~

無条件の愛

2009-05-18 17:38:52 | Weblog


先週金曜日、久々に神宮球場へ足を運びました

私は阪神ファンです。学生時代はよく神宮に通いつめました。授業もそこそこに、試合前の練習から見に行ってましたね。週刊ベースボールは毎週読んでたし、あれくらい熱心に勉強していればもっと成績もよかったかもしれない。いまも変わらずトラを愛しているのですが、あの頃と同じくらい情熱を注いでしまうと仕事に支障をきたすので、かなりセーブして社会人生活を送ってきました。私にとって第二の君が代ともいえる「六甲おろし」を熱唱し、風船を飛ばすとき。夜風をほほに感じながら、なんともいえない幸福感にひたることができるのです

神宮にいちばん通っていたころ、90年代の後半の阪神といえばまさに「暗黒時代」。打てない。ピッチャーが頑張っても、スターティングメンバーの打率はほぼ全員2割台だから、点が取れない。先行しても逆転される(だから9回裏まで目が離せない)。あまりにも勝てなくて、見ていて絶望的になるような試合展開。でも我々ファンは明るかった。「明日はがんばりや~」とあたたかい声援を送ったり、ごくごくたまに勝つと勝利の喜びは格別。勝つことがこれほど素晴らしいということをいつも教えてくれた。いまみたいに「阪神は強いから好き」なんていうファンもいなかったので、文句を言いながらも決して見捨てることなく「明日(来年)がある」と前向きで、何より愛があって・・・あのころの阪神は私に「無条件の愛」を教えてくれました。

ある球団を好きになるのにはいろいろ理由はありましょうが、「強いから」とか「好きな選手がいるから」という理由だと、弱くなったら見向きもしないとか好きな選手が他へ行ったり引退したりしたら見なくなるとか、好きになった「理由」がなくなったら、心が離れやすいですね。しかし愛するとは、何があっても心底好きだと言えることではないでしょうか。強くても弱くても、いい時代も不遇の時代も、ベンチがアホでも選手がやる気がなくてもフロントがいつもお家騒動でも外人がすぐ帰っても、忍耐強く応援する。勝ち負けなんて関係ない!ただこの球団が、選手たちが愛しくてたまらないのだ!!という自分の思いだけ。自分でも不思議なのですが、何があっても阪神が好きだ!!!というこの強い思いはどこからくるのだろうと思うほどです。別に私がどれほど阪神を愛そうとも、阪神タイガースにとっては何の関係もないのでしょうけど、だけど「今日は勝ちますように」とか「いやいや、勝利を願うなんて高望みすぎる。いい試合が見れますように」などという小さいけど純粋な祈りや、「負けたけど、ピッチャーはよお投げたなあ」とか「あのヒットはよかったわ」とか、いかに絶望的な状況でもよかったことを見つけて感謝するなど、非常に私の人生観に色濃く影響を与えている存在が阪神タイガースなのであります。

とはいえここ数年強かったとき、最後まで恐ろしくてその快進撃が信じられないというトラウマみたいなのはあります。不遇の時代が当たり前すぎて、いきなりのこの幸せをなかなか信じられないというか。こんなにうまくいってどうしよう、あとから何かあるんじゃないかみたいな疑り深さは、暗黒時代の影響でしょう。だけど暗くても楽しかったな。金曜日の夜、トラキチたちと帰り道、あまりに打てない試合展開に

「なんか暗黒時代に戻ったみたいでしたね」
「でもあの頃はあの頃で楽しかったな~」
「そうそう、そもそも負けて悔しがるなんてあの頃を思えばぜいたくだよ」
「まあ、明日は勝つと信じましょう」

などと語り合いながら、同じくらいトラを愛する同志がいることが嬉しく、やっぱり今日も負けたけど楽しかったなとにこにこしながら帰ったのでした

パウロさまの「すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える」という愛についての言葉。対象が人間になると難しいと思うのに、阪神のことになると「まさにそのとおり」と思えるのが不思議。だけどすべての人に対してそこまでできなくても、愛する人にはできるはず。何をしてくれたからとか、やさしいからとか、あるいは「こういうところを直してくれれば好き」とか、「こういう面を見て嫌いになった」とかいう「条件付き」ではなく、いい面も悪い面も、欠点もふくめて、ただその人の存在がうれしくて愛しい。阪神に対して持つような無条件の愛を、そのことばどおりに、愛する人に対して持ち続けたいと思うのでした。

神宮3タテ食らっても、たとえ今シーズン何位でも、愛は変わらず。今もこれまでもこれからも、ずっとこの気持ちは変わらない。そう言い切れる強さは、暗黒時代を経ないと持てなかった。だからどんなときも変わらず愛することができる。なんというか、まさに「リンダリンダ」なんですね→♪愛じゃなくても恋じゃなくても君を離しはしない 決して負けない強い力を僕はひとつだけ持つ♪