2020年の世界全体の政府債務はGDP比で過去最大の98.7%となる=ロイター
【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)は14日公表した報告書で、2020年の世界全体の政府債務が、世界の国内総生産(GDP、約90兆ドル)にほぼ匹敵する規模になると予測した。GDP比で過去最大の98.7%となる。主要国は新型コロナウイルス対策として計12兆ドルの財政出動に踏み切ったが、膨らんだ債務をどう正常な水準に戻していくかがコロナ後に問われることになる。
21年の先進国の政府債務はGDP比125%と予測した。1880年代からの長期データでみると、第2次世界大戦直後の1946年(124%)を超えて過去最大となる。33年の大恐慌時(80%)や、2009年の金融危機直後(89%)を大きく上回る。
新型コロナの感染第2波の懸念がくすぶるなか、景気底割れを防ぐため財政出動がさらに膨らむ可能性もある。景気後退で税収が減り、歳入・歳出ともに悪化する恐れがぬぐえない。
各国の財政拡張は金融緩和で国債を大量購入する中央銀行が支えるが、債務の膨張が続けば、長期的には金利上昇を招いて財政の持続が危うくなりかねない。
新興国の政府債務も過去例のない高水準となる。21年にはGDP比で65%となり、09年の41%から大幅に膨らむ。1946年の終戦直後でも47%、32年の大恐慌時のピークは32%にすぎなかった。途上国も2021年に同50%となり、12年比で21ポイントも上昇する。
国別では、日本が20年にGDP比266%、21年は264%と突出し、19年(238%)から急増する。米国も3兆ドルの財政出動に踏み切り、政府債務は20年に131%と、19年から22ポイントも増加する。ユーロ圏は20年に101%となり、GDPを上回る水準になる。
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