先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

SaaS企業、自治体・中小企業のDXで成長

2020年08月14日 08時43分47秒 | 日記
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日経によると『SaaS企業、自治体・中小企業のDXで成長 クラウド経由 業務ソフト安く早く』と目の付け所の良いソフトハウス、着実に成果を上げているという。会計ソフトのFreee 時価総額が2600億円にもなっているというから驚き。長く、無料(Free)で使える経理ソフトを提供していたが、着実に成果を上げていたのか!

 

従来は対面だった営業もオンラインに移行した(ベルフェイスのオンライン営業)

従来は対面だった営業もオンラインに移行した(ベルフェイスのオンライン営業)

ソフトウエアをクラウド経由で提供する「SaaS」企業が、新型コロナウイルス感染拡大の中で成長している。文書などのデジタル化を迫られる自治体や中小企業を支援する新興企業が各地で顧客数を伸ばす。大企業向け事業を続けてきたシステム大手を横目に、機動力を生かし法人向けIT(情報技術)サービスの世界で存在感を増す。

■7月の売上高5倍に

行政手続きの効率化サービスのグラファー(東京・渋谷)には3月以降、自治体からの問い合わせがやまない。同社は住民票の請求などの手続きをスマートフォンで可能にするソフトを提供する。横浜市は5月、グラファーと組み新型コロナ関連の融資に必要な申請をオンライン化した。

グラファーの石井大地最高経営責任者(CEO)は「クラウドなら自治体ごとの作り込みが不要で、素早く導入できる」と話す。企業向けには融資を受ける際などに使う登記簿謄本や印鑑証明書をスマホから取り寄せるサービスを提供し、1万6千社が利用した。7月の売上高は前年同月比で5倍以上という。

■SaaS 「ソフトウエア・アズ・ア・サービス」の略で、サースと呼ばれる。従来の大企業向けシステムは顧客ごとに作り込み、導入や大規模な更新に時間がかかることが多い。一方、SaaS利用には大規模システムは不要で、ネット経由でソフトの機能を使う。月や年ごとに定額を支払うサブスクリプション型のため、会計、営業など領域を絞り初期費用を抑え、自治体や中小企業でも導入しやすいのが特徴だ。

 

 

■コロナ下の「非接触」追い風

近年は専門分野の人材不足や非効率さが残る部門の効率化の手段として急速に普及していた。ベンチャーキャピタル(VC)、BEENEXT(シンガポール)の前田紘典マネージングパートナーは「人手不足の日本こそSaaS企業が生まれる土壌がある」と話す。

そこにコロナ下でデジタル技術で事業を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が広がり、SaaSには追い風となる。クラウド会計のフリーの佐々木大輔CEOは「遠隔で働ける環境づくりへの投資が進む」と語る。

同社のソフトは銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取得し、人工知能(AI)が項目を自動で仕訳する。領収書をスマホで撮影するだけで遠隔で経理作業ができる。中小企業や個人事業主が使い、有料契約する事業所は6月末に22万4千と1年で4割増えた。

企業が「非接触」シフトを進める中、営業や会議のオンライン化を支えるのもSaaSだ。

営業システムを提供するベルフェイス(東京・渋谷)のサービスでは携帯電話で会話しながら、パソコン画面で商談ができる。優れた営業担当者の商談風景の社内での共有、会話データの検索も可能だ。有料の契約数は7月までに累計2千社に達した。

米国では電子署名のドキュサインなど代表的な企業の顧客数が伸びる。ビデオ会議のズーム・ビデオ・コミュニケーションズの1日当たりの会議参加者はのべ3億人に増えた。ズームのセキュリティー面の懸念に対しては、暗号化などの変更をサービス提供側が柔軟にできる強みが生きた。

■株式市場、VCも期待

投資家もSaaS企業の成長に期待を寄せる。サブスクモデルが基本で、サービスが解約されない限り一定収入が見込める。開発費や販促費への投資が先行する間は赤字が膨らむが、粗利率は高く中長期の収益が見通しやすい。

国内で時価総額が大きいSaaS関連6社(フリー、ラクス、マネーフォワード、インフォマートSansanサイボウズ)の7日時点の合計の時価総額は19年末比で22%増えた。米国ではセールスフォース・ドットコムの株価が6日に上場来高値を更新し、時価総額は1800億ドル(約19兆2千億円)を超えた。ズームやドキュサインも最高値圏にある。

VCも投資拡大に動く。ワン・キャピタル(東京・港)とBEENEXTはそれぞれ日本企業に特化した50億円ファンドを立ち上げた。ワン・キャピタルの浅田慎二代表は「SaaS企業は業績が予測しやすく、相対的に不況時に強い」と説く。人事、営業などホワイトカラーの生産性の低さが指摘された日本には拡大の余地があるとみる。

 

 

 

■新興勢、大手の間隙突く
 米調査会社ガートナーによると、20年の世界のSaaS市場は1046億ドル(約11兆円)ある。先行する米国では、従業員数1千人以上の大企業で1人あたり10以上のSaaSを利用しているとの調査もある。セールスフォースなど米国企業が世界市場をけん引してきた。
 富士キメラ総研(東京・中央)の予測では国内市場は23年度に約8200億円と19年度から45%増える。パッケージ型ソフトに匹敵する規模だ。
 パッケージソフトの売り切りモデルを脱した米アドビのような老舗の大胆な転換の成功例もある。同社は13年にSaaSに一本化を宣言して以降、業績が伸び株価は13年末の7倍だ。独SAPも近年はSaaSシフトを進める。
 一方、日本ではNECや富士通などシステム大手の動きは鈍い。大手は顧客から一手に開発を担い、要望に合わせた高額な業務用ソフトを作り込む「ご用聞き」が基本だった。中小企業相手のSaaSはすぐに収益化が難しい面もある。新興勢は領域を絞り込み、大手の間隙を突いて市場を切り開いている。