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『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

胡蝶蘭

2022-10-04 18:26:52 | 音楽・フルート
お陰様で、10月10日の淡路町・カプチェット・ロットでのカフェコンサートは全て満席御礼となりました。



ありがとうございました!

あとは練習、そしてコンディション管理、ということで、心穏やかな日々となるよう心掛け、比較的のんびり暮らしています。

とはいえ、みよちゃんとの合わせはかなりやりこみました。
明日もぶっちぎりで4時間の予定。

2本のロットもリペアマン・綾部さんに一日仕事で、じっくり調整していただき、万全の体制。

家事をやって、レッスンして、自分の練習して、ピピと遊んで、食べて寝て、といつもの日常です。

そんな中、ついさきほど、来客があり、立派な胡蝶蘭を頂きました。




いらしてくださるだけでも、感謝しているのに、
「10日のコンサートのお祝いです!当日だとお荷物になるので・・」
との、お心遣いが申し訳なくも、有難く、嬉しいです。

すぐにネットで調べると、胡蝶蘭は猫には安心な数少ない花で、きっとそのあたりも調べてくださったのかな、と思います。

丁度、昨年の今頃だったか、菊を飾ったら、なんとなくピピの調子が悪くなったような気がしてから、それまで絶やすことのなかった生花を飾らなくなって、もう一年。

やはり本当の花があるというのは、とても気持ちが癒されます。
・・枯らさないように、ちゃんと面倒みなくては・・

早速、ピピのチェックが入りましたが、すぐに興味をなくしたようです。
美味しい匂いがしないのは確かだろう。





フルートを通しての、様々なご縁に感謝し、良い時間となるよう努めたいと思います。


ー追悼・植村泰一先生ー 『ザ・フルート 10月号』

2022-08-10 00:04:48 | 音楽・フルート
『ザ・フルート10月号』特別企画として、植村先生の追悼記事が掲載されました。

中野真理さん、岩佐和弘さん、吉野裕子さん、という東京音大の植村門下の方々に混ざって、私にも追悼記事の依頼があり「よろしいのですか?」と恐縮していましたが、先生の最後の20年間を知る一人として書かせていただきました。

先生との写真もお貸しください、というので数枚送り、掲載していただきました。
他の方達の写真もあり、いつもの笑顔の先生が本当に懐かしく、また夫々の皆様のお話からも先生のお姿が立ち昇ってくるようで、何度も記事を読み返しました。

追悼記事の他にも、1995年に掲載された先生の記事が再掲載されており、この記事のことは知らなかったので、興味深く読ませていただきました。

「演奏を支えた一本のフルート」ということで、セルマー、パウエル、ロットと先生の楽器の変遷が書かれていました。

「私は吹きにくい楽器を探します。できるだけ鳴らない楽器、鳴らない楽器を、と求めてね。そしてそれを吹き込んでいくのです。」

という先生の言葉に改めて背筋が伸びる思いがしました。


私も受験前は、セルマーの銀、という珍しい楽器。
その後、音大に入ってからは、パウエルの銀、その後ムラマツの9金、14金、マイユショーのルブレ、銀五代目ロット、マイユショー初代ロット・・


とムラマツを除けば、ほぼ同じ!?

セルマーの笛を吹いていた、というのは、とてもレアだと思う。

セルマーはサックスが有名なフランスのメーカーですが、先生も同じだったことが嬉しい。繊細で如何にもフランス、という音色が好きだった・・

生前に、この話が出来なかったのが残念ですが、私もあちら側に行ったら、真っ先に先生にセルマーの笛の話をしたいと思います。

先生の笛の音が大好きになったのは、もしかしたら、高校生の頃のセルマーの笛の記憶に導かれたのかもしれません。

拙文、掲載させていただきます。
・・・・・・・・・・・・・・

2000年から2020年まで、毎月レッスンに通わせていただきました。
数々の貴重な教えを授かりましたが、その中で最も言葉を尽くし何度も仰ってくださったのは「もっと人間を磨け」でした。

どれほど、演奏技術が向上したとしても結局のところ音楽で最も重要なのは奏者の人間性であり、その人間以上の演奏は出来ないのだからと。
 
そして何よりも先生の奏でるフルートの音と音楽に教えられたと感じています。

温かく優しく、しかし同時に力強く深いエネルギーを内包した音色と響きに圧倒されました。どこまでも謙虚で、徹底的に作品を探求され、作曲者とその作品を尊重した凛とした音楽でした。

魂に語りかけて来る、あのような稀有な演奏は先生独自のものではなかったかと思います。
あの演奏をもう聴くことが出来なくなってしまったことが本当に無念でなりません。

最後にお会いしたのは昨年の6月でしたが、別れ際、握手をしてくださりながら
「これからは楽しくて人の役に立つことをやっていこう!」と仰ったのが、最後の宿題となりました。

そして、この日に聴いた先生の笛の音は、私の一生涯の目標であり、手本となりました。

先生、20年間ありがとうございました。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 




記念日 8月4日(木)

2022-08-05 00:33:47 | 音楽・フルート
今日はちょっとした記念日となりました。

初めてバッハのチェロ組曲全6曲を通して吹いた日。
リピートなしではあったし、2曲毎に楽器の水分撤去掃除をし、自分は水分補給などしたけれど、それ以外休むこともなく。

・・こんなことが出来るようになる日が来るとはね・・・

バッハは身体の奥底にアプローチするには最も適した楽曲ではないか?と吹き始めたのだけれど、あまりにも以前と違う流れが面白く、それに身を任せているうちに、このような次第となったのでした。

とはいえ、終わった後は久々にベッドに倒れ込んだ。
(リビングのエアコンが故障中なので自分の部屋でさらっているのだけれど、狭い部屋も結構集中出来て良い。)
右の首の下部と右肩甲骨上部が特に疲労したので、このあたりの使い方がまだまだなのだろうね、という課題も浮かびそれも良かった。


チェリスト達が夢見る様に語っている「全曲を1番から6番まで通して初めて見える世界がある」というのを体感してみたかった。

とはいえ、6番は、まだ音域の設定を決めかねているところも多々あり、つっかえながらではあるけれど。

他の曲も、譜読みレベルなので、「初めて見える世界」には程遠いものではあったけれど、それでも、6番のプレリュードが、これほど、嬉しく祝祭感を持って感じられたことは収穫だった。

CDで通して聴いたことは何度もあるけれど、聴いているだけでは、ここまでの感動はなかった。

6番自体が、この組曲全体のジーグとも言えるのだなあ、という実感。
色々大変なこともあるけれど、まあ踊ろうよ!未来に向かって進んで行こうよ!
とバッハに励まされているような。

そして、4番のプレリュードに挿入されている異国趣味の旋律にも通じるようなモチーフが既に3番のジーグにもあって、一種の兆しになっているということに気が付いたり。


1番は青春真っ盛りの爽やかな20代。
2番は30代。哀しみはあるものの、それを乗り越えていける若いエネルギーがある。
3番も同様で、やはり瑞々しい魅力にあふれている。まあ40代くらい?
これが4番になるとガラっと変化し、より陰影と悲しみが増してくる。50代。
そして深い苦悩の5番は60代。
悟りと救いの6番は70代。

バッハの時代は、もっとこの年齢が夫々10歳くらい若かったかもしれないけれど。

人がその生涯に経験する様々な感情、想いがみな、この組曲に集約され、表現されているのを感じることが出来たのは、やはり、全曲通したからこそだと思う。

バッハのチェロ組曲は人の一生まるごとの表現だ。

こんなことはおそらく既に様々なチェリストがきっと語っているかもしれないけれど、でも自身の実感として得られたことが大きかった。

技は飛躍的に進展中で、だからこそ、20代の頃には考えられなかったこんなことも出来るようになったけれど、生き物的には、やはり衰退に向かう年齢で、そうそう、いつまでも「いつの日にか~」なんて悠長なことも言っていられない。

吹けなくなってしまう前に、全曲通しのソロリサイタルが開催出来ればと思います。


曲決め、楽譜制作、合わせ練習、発表会・・などなど

2022-07-20 21:53:56 | 音楽・フルート
日々、さしたることは何もやっていないのだけれど、あっという間に7月も半分以上過ぎてしまいました。

10月10日のカプチェットロッソでのオータムフルートコンサートの曲は
4月に軽井沢合宿し、5月には拙宅で詰めの練習会をして、6月半ばに決定。
先週水曜日に、3回目の練習を。

そして、本日は、オーナーの植田嘉惠さんより、総カラーの美しいチラシ原稿が送られてきて、最終校正。
ご一緒させていただく、洋画家・柴田俊明先生の絵画も使われていて、上品で豪華な仕上がりです。
プログラムも、提出した作曲家の国と年代も表記してくださり、お客様にとってもわかりやすい詳しいものとなっていました。

完成次第アップしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

6月末には、来年3月18日の曲選びをピアニスト・堀部ともこさんのスタジオにて。
とても暑い日でしたが、良い時間でした。
ピアノと笛2本のアンサンブルは本当に久しぶりで、楽しかったです。
この日に曲も決まり、一安心。

そして、この間に、ラインのやりとりで、3月3日の渋谷伝承ホールでのプログラムを主宰のオペラ歌手・富原淑子さんと相談。

こちらは幸いなことに、ギターの宇高靖人さんが出演してくださることになりました。
またご一緒できることとなり嬉しい!\(^o^)/

また、ピアノとのアンサンブルも、というリクエストがあり、ピアニストの方とはユーのファンタジーを。

さらに3人でフォーレのシチリアーノ、アンコール曲も。
この編曲にここ数日とりかかっていて、一昨日、ようやく完成。
やはり、フルートの編曲譜よりも、オリジナルであるチェロとピアノの譜面の方が、よりフォーレだなあ、と感じる。
これまで本番で演奏したことがなかったので、きちんと検証していなかったのですが、楽曲本来の良さは、断然こっちじゃないか?と思う。

我ながら、よいトリオのアレンジが出来ました。自画自賛。

これで、来年3月18日までの3つのコンサートの曲目と楽譜全てが整いました。

18日・月曜日は淡路町にて楽器店の発表会。
生徒さんにとっても、久々の舞台。開催できることとなり本当に良かったです。
素晴らしい演奏でした。

その後は新宿ドルチェ楽器にて色々用事を。
こちらも、活気が戻ってきていて、お店のスタッフのみなさま、皆、生き生きとされていたのが印象的でした。

そして本日は一日がかりで、耳コピと楽譜制作。

同期バンドWAYAZも、ようやく活動開始。

久々のリハビリだというのに、新曲が2つも。

ビートルズの 「When I'm Sixty Four 」

https://www.youtube.com/watch?v=f7TANPFMf1k

丁度、私達の年齢。9月で私もなってしまう・・
この曲を始めて聞いたのはステージ101で、中学生の頃。
64歳?!と、当時は想像もつかなかったけれど。

「いつやるの?今でしょう!」

とメンバー全員が、賛成して、やることに。
クラリネットの助奏パートをフルートで。
幸い、シンプルな曲なので、数回聴いて、譜面に書いて、今度はそれをみつつ修正。
パソコン動画って本当に便利・・
クラリネット独自のあののんびりとしたまったり感は難しいけれど、なんとか近づけるように音色も工夫。

もう一曲は

桑田佳祐 feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎 - というレジェンド達による

「時代遅れのRock’n’Roll Band」

https://www.youtube.com/watch?v=xsEsyWA2ve8

この曲が出た時、絶対WAYAZメンバーから「やろうぜ!」という声が上がるなと予想していたけれど、その通りに。

ただ聞き流していた時は、シンプルで簡単かな?なんて思っていたけれど、なんのなんの。

演奏することになり、聞き込むと、複雑なハモリや、細かいリズムなど、本当に難しいじゃありませんか。
楽器演奏しつつ、これをさらっとやってしまっている彼等はやっぱり凄い人達なのね、と再認識。

こちらも、キーボード&コーラスの譜面がようやく完成。

WAYAZのみんなは、楽譜も少しは読めるけれど、殆どは耳コピーだけで、なんでもやってしまう。

このあたりも、好きとはいえ、凄いなあ、と毎回感心しています。



・・・・・・・・・
全ての宿題を終え、すっきりしたところで、ようやく明日は「音楽家講座」。

甲野先生の御忙しさは、私どころではないけれど、そんな中、こうして毎月の音楽家講座に登壇してくださり、本当に感謝です。

キャパのある会場ですので、お申し込みがなくとも大丈夫です。
どうぞお越しくださいませ!

写真は、駆けずり回っている隙間時間での一休み。
桃のパフェ!





『徹の部屋 第2回』

2022-07-10 20:49:58 | 音楽・フルート
2019年の王子ホールでのリサイタルや、その後の数々のコンサート、CD録音等でお世話になったチェロ・山本徹さん自主企画のコンサートにうかがいました。

その名も『徹の部屋』。


https://4c99db93-3aa3-45b8-bf85-a1662f8ee050.filesusr.com/ugd/7d3033_eb527efc81df487aa8a4612ef0c78d96.pdf

小さいけれど、音響や空調設備のしっかりとした美しい秘密基地の様な会場。

本当に久々に聴いた山本さんのチェロの響きに心身洗われました。
とても懐かしい響き。
そして、お会いしなかった、この3年の間、大きく進化されているのを感じました。
熟成が進んだという感じ。

後輩の御二人、リンクス・コンソート(チェロ:山根風仁、チェンバロ:山根友紀)
も素晴らしく、瑞々しい響き。

その年齢でないと出せない若さの魅力溢れる音というのもあるのだなあ、と感じたのは自分が年を取ってきた証拠かも。

良いアンサンブルでした。

ボッケリーニのみのコンサート。

フルート作品もあるにはあるけれど、あまり馴染みがないし、演奏される機会も少ない。
正直、あの有名な5重奏の中のメヌエットのフルート編曲版くらいしか知らない。

でも、チェリストにとっては、外せない重要な作曲家。

ボッケリーニの魅力に開眼。

モーツァルトやハイドンと同時代なのだけれど、一人時空を自由に行き来しているような感もある。

バロックぽいな、と思うと、急にロマンティックになったり。
そこらかしこに、人を喜ばせる仕掛けもあり、本当に面白かったです。

ボッケリーニ自身が手練れのチェリストだったので、その楽曲はどれもかなりテクニカル。

ガット弦の響きはダイレクトに細胞が振動する。
チェンバロともとても調和して、新たな響きの相乗効果となる。

エンドピンなしでの演奏だったこともあり、奏者とチェロとが共にダンスしているようでした。

「癒す」という言葉は、本来良い言葉なのだけれど、あまりに手垢が付き過ぎてしまって、ここで使うのはちょっと違うかな?

でも、音楽が人の心身を整え、調和させる、というのは、こういう事なのだろうな、と思う。

しみじみと素晴らしい午後のひと時でした。